知の扉シリーズ【完全版】天才ガロアの発想力
―対称性と群が明かす方程式の秘密―

[表紙]【完全版】天才ガロアの発想力 ―対称性と群が明かす方程式の秘密―

紙版発売
電子版発売

四六判/292ページ

定価1,958円(本体1,780円+税10%)

ISBN 978-4-297-10627-0

電子版

→学校・法人一括購入ご検討の皆様へ

書籍の概要

この本の概要

2010 年に刊行した『天才ガロアの発想力』を大幅加筆しました。
主な加筆は次の3点です。

  • ベクトル空間を導入したガロアの基本定理の完全証明
  • 四則計算とべき根で解ける方程式,解けない方程式についても具体的に解説
  • 補足章として,本書で扱った補助定理(アーベルの定理,コーシーの定理,デデキントの定理など)の証明を収録
これまでにないガロアの定理の完全解説本です。

こんな方におすすめ

  • ガロア,ガロア理論に関心がある人
  • 群,体について学びたい人
  • 方程式が解けるなぞを知りたい人
  • 有名定理の証明に興味がある人

本書のサンプル

本書の紙面イメージは次のとおりです。画像をクリックすることで拡大して確認することができます。

サンプル画像1

サンプル画像2

サンプル画像3

サンプル画像4

サンプル画像5

目次

第1章 方程式の歴史をめぐる冒険

  • 2次方程式を最初に解いたのは古代バビロニア人
  • 2次方程式に解が2つあることはインド人が発見した
  • 3次方程式の舞台はイタリアになった!
  • 秘密の必殺技はなぜ漏れたのか?
  • 4次方程式にも悲劇の歴史が
  • 方程式と対称性の関係に気づいた人々
  • 悲運の数学者アーベル
  • 天才ガロアの登場
  • ガロアの前代未聞の発想

第2章 2次方程式でガロア理論をざっくり理解

  • 飽和した数の世界
  • ルート数の作る体
  • 分母の有理化が役に立った!
  • 有理数の拡大体はいろいろある
  • ベクトル空間という見方
  • 2次拡大の2次拡大は4次拡大
  • 体Kをかき混ぜる
  • 体Q(ルート2)の自己同型は2種類ある
  • 体をベクトル空間と見ると同型写像はどうなる?
  • 体Q(ルート2)の自己同型は他にもあるか?
  • 2次方程式でガロアのアイデアをかいつまもう
  • 2次方程式の解から代数体を作ろう
  • 2次体の自己同型を突き止めよう
  • 自己同型を突き詰めていくと解の公式が得られる!

第3章 「動き」の代数学〜群とは何か

  • 「群」という発想
  • 入れ替え操作から群を作る
  • あみだクジが生み出す群
  • 群を正式に定義しよう
  • あみだクジの秘密
  • 有限群とお近づきになろう
  • まずは,非常にシンプルでばかばかしい例
  • 図形の対称性は群の源だ
  • 群は,私たちの実生活でも役に立っている!
  • Column ガロアの別定理〈前編〉

第4章 群は対称性の表現だ〜部分群とハッセ図

  • 群のおなかの中の小さな群
  • 正方形の対称操作の群の部分群をすべてみつけよう
  • 巡回群という特別な群
  • ハッセ図とは,部分群の家系図
  • 部分群を使って群全体を分類する
  • 区分けした領域が再び群の構造を持つことがある

第5章 空想の数の理想郷〜複素数

  • 負数とその平方根
  • 3次方程式の解法がタブーを突破した
  • 虚数単位iは,どっちがどっち?
  • 虚数単位から体を作ろう
  • 空想の理想郷〜複素数
  • 複素数を目に見えるようにする
  • 1のべき根の作る美しい図形
  • べき根を付け加えた体はどんな体か

第6章 3次方程式が解けるからくり

  • 3次方程式の解の公式
  • 3次方程式の解の公式を学校で教わらない理由
  • フォンタナは3次方程式の解の公式をどうやって見つけたか
  • 3次方程式はなぜ解けるのか
  • 3次方程式の解の作る代数体の自己同型
  • 体Kの自己同型の群とその部分群たち
  • ガロアの発見した部分群と固定体との対応
  • 固定体Mの自己同型はどんな群?
  • ハッセ図から解の公式へ
  • Column ガロアの別定理〈後編〉

第7章 5次以上の方程式が解けないからくり

  • ガロアの成し遂げたこと
  • ガロアの定理の証明:超ざっくり版
  • ガロアの定理の証明:簡易版
  • 「それなり版証明」を開始しよう
  • 4次方程式で具体例を見てみよう
  • 自己同型写像を全部求める
  • 自己同型群の解への作用
  • 中間体を見つけよう
  • ガロアの基本定理1の証明
  • 解けない方程式の「からくり」はこうだ(それなり版証明)
  • x^5−10x+5=0が解けない理由
  • 6次以上の方程式にも解けないものがある
  • 解ける方程式の「からくり」はこうだ

第8章 ガロアの群論のその後の発展

  • ガロアの発想は数学の最先端へ
  • こんがらがった紐の理論〜基本群
  • 曲面の上でのループの群を考える
  • ポアンカレ予想を解決したペレルマン
  • 繰り返し模様の幾何学
  • 箱と包み紙の幾何学
  • トーラス面の被覆空間
  • 被覆空間の基本群
  • 被覆空間の基本群は元の空間の基本群の部分群になる!
  • 被覆空間にもガロアが降臨する
  • 微分方程式のガロア理論

補足章

  • あとがき
  • 参考文献,かつ,お勧めの本
  • 索引

著者プロフィール

小島寛之(こじまひろゆき)

1958年東京都生まれ。
東京大学理学部数学科卒業。
同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。
経済学博士。現在,帝京大学経済学部経済学科教授。
専攻は数理経済学,意志決定理論。数学エッセイストとしても多方面で活躍。
そのわかりやすい語り口には文系・理系の読者を問わず定評がある。
主な著書
『使える!経済学の考え方』
『数学入門』(以上,ちくま新書)
『ナゾ解き算数事件ノート』
『21世紀の新しい数学』『証明と論理に強くなる』(以上,技術評論社)
『無限を読みとく数学入門』(角川ソフィア文庫)
『数学的推論が世界を変える』(NHK出版新書)
『世界は素数でできている』(角川新書)
『暗号通貨の経済学』(講談社選書メチエ)
など多数。