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宇宙はどこから生まれて,どこへ行くのだろう?
私たちの住んでいる宇宙は,今から137億年の昔,熱い火の玉として生まれた。この火の玉が膨張したあと冷えていくうちにガスが固まり,銀河がつくられ,その中で星が誕生し,豊かな構造を持った宇宙がつくられた
――これが「ビッグバン宇宙モデル」と呼ばれている,現代の科学的な宇宙モデルです。
しかし,この「ビッグバン宇宙モデル」でも解けない謎が,依然として残っていたのです。なぜ宇宙は「火の玉宇宙」として始まらなければならなかったのか,銀河の巨大な群れなどの豊かな構造はどうしてできたのか,なぜ宇宙は限りなく平坦なのか……。
こうした問題に答えるべく,筆者は次のようなモデルを提唱しました。
宇宙は始まりの頃,「真空のエネルギー」に満ちていた。このエネルギーが働き,空間を押し広げる力によって,宇宙は加速度的な膨張を起こした。この膨張が終わるときに「真空のエネルギー」は熱エネルギーとして解放され,灼熱の火の玉宇宙(ビッグバン)が生まれた
この急激な膨張によって,宇宙がどこまでも平坦であること,銀河団など宇宙の巨大構造体が生み出されたことが示されることになりました。この理論は,その後「インフレーション理論」と命名され,今日の初期宇宙の標準モデルとして認知されることとなります。
本書は,「インフレーション理論」提唱者の一人であり筆者である佐藤勝彦氏の軌跡を辿りながら,宇宙創生の姿に迫ろうと試みたものです。その姿に迫るには,火の玉宇宙の起源や成り立ち,その中で起こっている森羅万象すべてを統一的に理解することが必要であり,とてつもなく大きな「野望」を秘めなければ,たどり着けないものでした。
こうした野望によって導き出された理論は,宇宙物理学に大きな飛躍をもたらします。しかし,そのなかから,新たな謎が生まれてきました。新たに生じた謎,それは「この世界を構成する物質の96%が正体不明である」ということでした。私たちが観測によって突き止めた宇宙はたったの4%で,96%はわかっていなかったのです。
宇宙の残り96%の占める正体不明なモノとは何なのか……,その正体を突き止めるのは,もしかしたら本書を手に取るあなたなのかもしれません。
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宇宙論の飽くなき野望―それでも96%は未だ謎、だから面白い
本書の著者である佐藤勝彦さんは,「インフレーション宇宙論」を提唱した,世界的な宇宙物理学者である。本書は,彼の功績である「インフレーション宇宙論」にいかにた...

