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地形が教えてくれる、これからも起こる大災害
―「千年に一度」は今、目の前にある危機―

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未曾有の被害をもたらした東日本大震災は,千年に1度といわれる地震であっても,いつ起こってもおかしくないことを私たちに見せつけました。そしてそれは,今後も想定される地域において,地震や火山噴火などが発生する危険性が常にあるということに他なりません。私たちはそのような地震や火山噴火などの災害列島に暮らしているのです。

今後想定される地震はいくつかありますが,東海・東南海・南海地震はそのうちの一つです。この地域で起こった最近の地震は1944年の昭和東南海地震(M7.9)⁠1946年の昭和南海地震(M7.9)でした。現在はそれから70年近く経過していて,今後30年以内に地震が発生する確率が東南海地震はM8.1規模で70%程度,南海地震はM8.4規模で60%程度と算定されています(地震調査研究推進本部発表)⁠

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この地域はフィリピンプレートの沈み込みによって,ユーラシアプレートが引きずり込まれ,そのひずみが限界に達したときに起こる海溝型地震の多発地帯です。立体地図から見て取れるように,プレートの境界と,境界に沿ったてひだ状の地形が重なっていることがわかります。引きずり込まれていた陸側が跳ね上がるため地震の規模が大きく広範囲に及びます。東海・東南海・南海地震は震源域の違いによって区別されていますが,どれも90年から150年の周期性があり,同時に起こるか数年の時間差をもって連動して起こるのも特徴です。

東日本大震災は津波被害が甚大でした。東海・東南海・南海地震の津波はかつてどのような被害をもたらしたでしょうか。記録とし残っている津波のうち,被害が大きかったものに,遠州灘沖で起こった1498年の明応地震,1854年の安政東海地震があります。このとき,波源に近い静岡沿岸より150キロも離れた三重県沿岸に高い津波が押し寄せた記録が残されています。安政東海地震では,志摩半島の国崎にある「常福寺津波流失塔」の碑文に津波が20メートル以上になったと記されています。リアス式地形など津波を誘導しやすい地形の場所に甚大な被害をもたらす点も大きな特徴です。

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