インタビューで知るCMS導入のポイント―イー・アクセス株式会社

開発不要のパッケージCMSでPDCAサイクルを素早く回す

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イー・アクセス株式会社は、会社設立以来、日本のブロードバンド通信環境を支えるサービスを提供し続けています。同社ではWebを活用しユーザに対して迅速な情報発信を行いながらコミュニケーションを図っています。今回、イー・アクセス株式会社広報室課長 目崎勝彦氏、同主任 八木沼恭子氏、制作を担当した株式会社インターワークWeb Service事業部ディレクター 岩波全亮氏、中尾達也氏、デザイナー 山田恵子氏にお話を伺いました。

独自開発のCMSは変更ごとに時間と費用がかかる

目崎:イー・アクセスは1999年に会社設立、ADSLサービスを開始した翌2000年にサイトを開設しました。当時はまだ新しい技術だったADSLをお客様に知って頂き、サービスに加入して頂くという顧客獲得と、申込から開通までをサポートすることがサイトの主な目的でした。

八木沼:2004年頃、上場やビジネスの成長とともに増え始めたプレスリリースをなるべく人手をかけずに更新するために、独自のCMSをスクラッチで開発しました。それにより、プレスリリースの更新作業自体は楽になったのですが、デザインや動線などに変更が生じるたびに社外の開発元へ依頼して工数を見積もって頂き、カスタマイズして頂く。そしてこちら側で確認をするというように、時間と費用がかかりますので、なかなか気軽にできないことが問題と感じていました。

目崎:そこで、コンテンツの適性を考え、既存のプレスリリース以外には、スクラッチでないパッケージ型の運用へとCMS環境を見直すことにしました。

CMS選定のポイントは初期コストと柔軟性

目崎:実際にCMS製品について調べ始めたのは2005年頃です。当時はCMSというキーワードがちょうど浸透し始めた頃で、セミナーや雑誌記事などで情報を収集しました。ひととおりの製品はチェックしましたが、そのほとんどがライセンスだけで数百万円からというハイエンド製品でした。その中で興味を持ったのがWebRelease 2でした。

WebRelease 2は、小規模なライセンスが用意されており、少ない予算でスタートして順次規模を拡げていきたいというベンチャー企業ならではの我々のニーズに合っていました。

また、他社のCMSの導入事例は大手企業の大規模サイトばかりで、我々には参考になりませんでしたが、WebRelease 2の場合は大規模サイトだけではなく、大手企業の部分導入や中小企業の事例もあり、ユーザの業種も様々で安心感がありました。

開発元のフレームワークスソフトウェアではサイト構築を請け負わず、複数の制作パートナーがいることも、導入後の制作や開発が特定の会社に縛られないという点においてプラスの材料でした。実際に、CMSはWebRelease 2に決めたのち、実績が豊富な4社を選び提案を依頼しました。その中で、我々の段階的に導入していくというプランに最も柔軟に対応して頂けそうなのがインターワークさんでした。

テンプレート作成はアジャイルで

岩波:コーポレートサイトにCMSを導入する場合、あらかじめ情報設計を入念に行ったうえでデザインを制作し、テンプレートを作成するというパターンが多いのですが、今回は部分的な導入で、デザインに関してもすでにクオリティの高いものができあがっていたこともあって、いきなりテンプレートを作成し、現物を見てフィードバックを頂いて微調整していくというスタイルでプロジェクトを進めました。ソフトウェア開発でいうアジャイルと似ていますね。

WebRelease 2のテンプレートは開発効率が高く、また弊社は2003年以降、数十社への導入経験があり独自のノウハウを持っていますので、とても短い期間でテンプレートを作成することができます。ですのでプロジェクト中にこうしたPDCAサイクルを何度も回してお客様のニーズにフィットさせていくこともできます。今回は目崎さん、八木沼さんのお二人がスクラッチのCMSのご経験をお持ちで、基本的な部分をとても早くご理解頂けたからこのような進め方ができたのだと思います。

中尾:プロジェクトは2006年11月から始まり、翌年1月頃から「サービスのご案内」「FAQ⁠⁠、⁠フォトニュース」などを段階的に公開していきました。当初はページ数も300ページ程度だったため、WebRelease 2のライセンスは500ページ制限版のWorkgroup Edition、CMSサーバにはMacminiと、初期費用を抑えた構成をご提案をしました。その後順調にコンテンツが増えていき、2008年春にページ無制限版のEnterprise Editionへアップグレードして頂き、IRや採用のコンテンツも部分的にWebRelease 2へ移行しました。

現在のCMS管理ページ数は約1,200ページ、作成したテンプレートは入力用と各種設定用のものを合わせて約20です。

イー・アクセス株式会社 広報室 課長 目崎勝彦氏(右から二番目⁠⁠、広報室 主任 八木沼恭子氏(左から三番目)
株式会社インターワーク Web Service事業部ディレクター 岩波全亮氏(左から二番目⁠⁠、Web Service事業部ディレクター 中尾達也氏(左端⁠⁠、Web Service事業部デザイナー 山田恵子氏(右端)

イー・アクセス株式会社 広報室 課長 目崎勝彦氏(右から二番目)、広報室 主任 八木沼恭子氏(左から三番目)/株式会社インターワーク Web Service事業部ディレクター 岩波全亮氏(左から二番目)、Web Service事業部ディレクター 中尾達也氏(左端)、Web Service事業部デザイナー 山田恵子氏(右端)
取材日時 2010年4月15日

サイト全体を迅速にブラッシュアップ

八木沼:WebRelease 2導入後は私達の作業は随分楽になりました。FAQは、以前はカスタマーセンターからの依頼を受けて社内もしくは社外でページ制作をしていましたが、現在は直接WebRelease 2に入力してもらっています。ユーザの追加や権限・役割の設定は簡単で、すぐに現場に振ることができましたし、担当者も特別なトレーニングなどなしに操作を覚えることができました。余談ですが、自分の部署で更新するようになってからは、以前にも増してアクセス数に興味を持ってもらえるようになりましたね。

独自CMSでは、ユーザを追加したり、コンテンツのカテゴリを増やしたりといった些細なことでも開発元に依頼する必要がありましたが、WebRelease 2の場合は、ちょっとしたテンプレートの変更まで、私と目崎とで対応できるようになりました。インターワークさんに変更をお願いした場合でも迅速に対応して頂いています。

WebRelease 2は、テンプレートを修正すると、そのページで作成された全ページに修正が反映されるので、サイトリニューアルは以前は比べものにならないくらい早く、簡単に行えるようになりました。手作業でページを制作していた頃は、リニューアルのたびに全ページのリンクをチェックしなければならず、長時間かけて作業していたものですが、テンプレート上で定義しておけばリンクは自動生成されるので、そういった単純作業からも解放されました。コンテンツによっては、担当部署の意向を聞きながらの調整作業も大変でしたが、テンプレート化によりデザインやレイアウトが統一されたので、そうした作業も必要なくなりました。

さらに段階導入、イントラネットにも

目崎:数年前と比べてサイトのコンテンツは数倍に増えていますが、運用業務量は最小限にとどまり、これはCMSの成果だと実感しています。私達のようなベンチャー企業では、ビジネスの成長度合いやサービスの多様化に、Webサイトは迅速かつ柔軟に対応していかなければなりませんが、その点で今回のCMS導入は成功したと思っています。

今後もコンテンツの適性を見極めながら導入を進めていくつもりです。現在はイントラネットにWebRelease 2を利用できないか検討しています。WebRelease 2は複数のサイトを管理できるので、ライセンスの追加費用なしにイントラへ導入できるのはありがたいですね。

山田:WebRelease 2は、テンプレートにPHPを書いて動的サイトを生成することもできるので、ログイン認証して閲覧コンテンツを制限するようなサイトも構築できますね。またWebRelease 2のXMLリーダの機能を使って、社内のブログやWikiのRSSを複数取込んで集約するような、社内ポータル的なサイトもおもしろいと思います。

製品名:WebRelease 2
問合せ先:⁠株⁠フレームワークスソフトウェア
URL:http://www.frameworks.co.jp/
TEL:03-3547-3676

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