新春特別企画
2010年のWordPress
2009年12月にバージョン2.9がリリースされたWordPress。このアップグレードは,ゴミ箱方式の採用,oEmbed対応,画像エディターの搭載など,より素早く便利に投稿ができる機能がたくさん盛り込まれたものとなりました。2.9のリリースが表しているように,WordPressプロジェクトは新しい技術・トレンドやユーザからのフィードバックを取り入れつつ,一歩一歩着実に成長を遂げています。さらに気になる2010年の動きを,6つのキーワードを元に予想してみました。
WordPress MUとの統合
春以降の公開が予定されている次バージョンの3.0では,WordPress MU(複数ブログ対応のWordPress)とシングルインストール型WordPressの統合というかなり大きな変更が告知されています。これにより,現在はWordPress MUのみに対応しているソーシャルネットワークサイト構築用のBuddyPressプラグインセットの使い勝手が良くなり,複数のブログやユーザをつなげてオンラインコミュニティを形成していく使い方が数多く見られるようになってくるのではないかと思います。
WordPress as CMS
WordPressはもともとブログを書くためのツールとして生まれたプロジェクトではありますが,2009年にはオープソースCMSアウォードの大賞を受賞しています。これは,純粋に「コンテンツを作成し,公開する」ことを追求していくことで,結果してとても使いやすいコンテンツマネジメントシステムとして成長してきたことの表れだと言えます。
ブログツール・CMS・フレームワークなどという名称や枠組みにとらわれず,柔軟な使い方ができるのがWordPressの強みです。今後も追求するゴールに向けて改善を重ねていくことで,独自にカスタマイズしたサイト上でコンテンツを公開するために欠かせない重要な存在となっていくはずです。
GlotPressを使った翻訳
日本語圏のユーザとしては,GlotPressからも目が離せません。WordPressの国際化担当者として活躍しているニコライ・バチスキー氏がスタートしたGlotPressプロジェクトは,現在WordPress.comの翻訳向けにすでに運用が始まっています。
今後,WordPress.orgのコアファイルはもちろん,プラグインやテーマなどの翻訳にも同様の手法が適用されていくことで,世界中の拡張用リソースがより身近になり,さらに WordPress の便利さが高まることは間違いないでしょう。日本や世界でのさらなる普及のために,とくにこの分野で前進が見られることを期待しています。
ビジネスユーザへの対応
今後,WordPressのビジネスユーザ向けの情報を提供・共有する場がさらに求められるようになっていくはずです。その1つとして,WPbiz.jpの動きにぜひ注目していきたいところです。また,Automattic社のVIP ホスティング・サポートサービスも,日本でのビジネスユーザー拡大の弾みになると思っています。
「カノニカル」プラグイン制の導入
来年取り込まれる可能性が高い,新しいプラグインプロジェクト管理の仕組みにも注目したいところです。「カノニカル」プラグインと仮称がついているこの仕組みでは,多くのユーザに重要な意味を持つプラグインに関し,開発者個人に管理・開発を一任するのではなくオープンな協業を進めていく形態が提案されています。コアバージョンアップグレードへの対応の足並みを揃え,プラグインに対するセキュリティ面での不安を払拭するための大きなステップとなりそうです。
コミュニティの活性化
2010年2月にはすでに福岡でのWordCamp開催が決定しています。昨年は各地での WordBench 勉強会,懇親会などが活発に行われ始めた年でしたが,引き続きオンライン&オフラインでのコミュニティのつながりが深まっていくはずです。
さらに今後は,他のオープンソースコミュニティやサービス・テクノロジーに関わる人たちにもWordPressを知ってもらい,プラグインや連携の仕組みを作り出していく動きがあればもっと面白いのではないかなと思っています。また,日本の優れた技術やアイディアを持つ方々がテーマやプラグインを公開し,世界のコミュニティと共有していくことで,新しい流れが生まれることもあるはずです。個人的にはこういった面の支援についても考えていきたいと思っています。
コミュニティが決めるX年後のWordPress
WordPress創始者マット・マレンウェッグ氏は,「X年後のWordPressはどうなっていると思う?」と聞かれる度に,「それは僕にはわからない。なぜなら,コミュニティが決めていくことだから」と答えています。オープンで使いやすく,柔軟なパブリッシングツールを作るという方向性がぶれることはないと思いますが,そのために必要な機能や仕組みはこれからもユーザの反応によって形作られていくはずでしょう。
私もWordPress日本語版チームの一員として,また,WordPress.comのハピネスエンジニアとして,日本の皆さんの声を届けるために工夫を凝らしていきたいと思います。

