The Analytics──誰のためのWebアクセス解析か?

第6回 グラフ化してわかる「変化」を見逃すな

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「先日導入したアクセス解析ツールなんだけど,他の部署の部長から定期的なレポーティングを期待されていてね。何か定期的にレポーティングしてもらえないか?」

先日学んだ直帰率の改善によって,直帰してしまうお客様が少し減った。これにより,平均ページビュー数も少し上がったようだ。部長に報告したところ満足げだったので,安心していたところの発言だった。

しかし,どうして部長という種族はこうもすぐに質問をするのだろうか。とりあえずどんなものが必要なのかはわからないので,数日中にドラフト版を部長にお見せしますと言ってしまった。

さて,どんなレポートにすべきか…。

指標を選定する

とりあえず,まずは全体感がわかれば良さそうであろう。とりあえず下記の項目を並べておいてみた。

月別指標
月別訪問者数
月別訪問回数
月別ページビュー数
日別指標
日別訪問者数
日別訪問回数
日別ページビュー数
平均ページビュー数(ページビュー数÷訪問回数)

日別の方は数字を表示にして並べてもなんだかよくわからなかったので,グラフにしておいた。Excelはすぐにグラフを作成できるので便利である。

ページビューが上がった原因?

「えっ…あ,わかりません」

他の部長も見るということなので,それぞれの指標の説明を簡単にレポートに書き込み,一度部長に見せに行った時のことだった。

「この8月5日がグラフで伸びている原因は?」

部長が内容についてこんな質問をしてくるなんて…。グラフにしたことで,予想外に内容について突っ込まれてしまった。グラフにした際にあまり気にしていなかったが,これは調べた方が良さそうだ。席に戻って少し調べることを伝えて戻ってきた。

しかし,数字の羅列と違い,部長でも見るべきポイントをつかめるグラフの威力はすごい。

これは…なんだ?

図1 

図1

再度グラフを眺めていると,8月5日のページビュー数は上がっているものの,平均ページビュー数は落ち込んでいることに気がついた。逆に訪問回数はページビュー数と同じように伸びている。他の日を見るとこんなことは無いようだ。

平均ページビュー数は日別のページビュー数を訪問回数で割ったもので算出している。これは1回の訪問あたり,おおよそどのくらいのページを参照しているかを表しているはずである。つまり,このページビュー数が上がった日は1回の訪問で見るページ数が少ない人が多かったということだろう。もしかしたら,直帰をした人が多かったのかもしれない。

そこで8月5日のページごとの直帰率を計算し,直帰率改善指標と合わせてみてみることにした。そうすると,A.htmlというページが直帰率が高く,入口数も異常に多くなっている。どうもこのページに原因があるのかもしれない。

さらに深堀分析

直帰率を見てみることでどうもA.htmlに原因がありそうなことがわかった。そこで,このページをもう少し見てみることにした。このページの直帰率が高く,入口数も高かったということは,他のページなどからの直接の流入が高かったということである。

どこから来たのかということを知るにはリファラというものを見ると詳細にわかるらしい(ツールのヘルプで確認したので,詳細は矢島に聞いてみる)。これを確認してみたところ,サーチエンジンの流入が多いようだ。前日と比べたところ,非常に高くなっていることがわかった。どうもこれが原因のようだ。

他にも色々とツールをいじっていると,このページの検索ワードごとの流入数を確認することができた。そうすると,このA.htmlに載っている商品Bの商品名での検索が異常な数値となっている。

…いったん整理しよう。

図2 

図2

どうも,何らかの原因で商品Bの商品名がたくさん検索されたために,その商品の詳細が掲載されていたA.htmlに流入が多くなったようである。

ネットで少し商品Bについて調べてみた。ブログに書かれている内容を見ると,とあるテレビ番組において有名女優が商品Bを紹介したようである。

しかし,残念ながら我が社のサイトにあるA.htmlは商品Bを紹介しているものの,あまりにナビゲーションがわかりづらいページであった。恐らくこのために,せっかく来た来訪者が他のサイトへ行ってしまったのだろう。

とりあえず,この結果をレポートに添付して部長に報告した。

「そういうことだったのか。テレビの影響もサイトに出るんだな。今回購買につながらなかったのは残念だが,こういったことがわかるようになったことは我が部署としても前進だろう。次回に向けてここは対策を考えておくように」

なんだか褒めているのかどうなのか,よくわからないコメントをもらった。まぁ,なんとか部長がレポートを受け取ってくれたので,一安心である。

「ところで,先日行ったCキャンペーンのことなんだけど,アクセス解析から結果をレポートにできる?」

えっ,あれは柏木さんが行ってたから…とは言えず,ひとまずレポーティングの方法を考えますと伝えて席に戻ってきた。

すでに今日の自分はキャパいっぱい一杯である。つまり,そろそろ矢島の助けが必要なわけだ。

キャンペーンを評価する?

「…というわけで,8月5日のページビュー数があがった理由を見つけられたんだ」

「おぉ,良いところに目をつけたな。少しずつ慣れてくれば,もっと早くその原因も見つけられるかもな。そうやってグラフにしたことは良いことだ。それで変化が見つけやすくなる」

なるほど。グラフによって可視化をした上で,変化をうまく見つけられるようにすれば良いのか。これはいい事を聞いた。

矢島の話によるとおおよそのプロセスとしてはこんな感じである。

図3 

図3

最初はどの数値を見ていいかわからない場合も多い。そういった時には,とりあえず全体感が見れるページビューや平均ページビュー数,訪問回数などをグラフ化していくと見えてくることが多いそうだ。

さて,本題である。キャンペーンの評価について聞いてみた。

「なるほど,キャンペーンを評価したいのか。そうしたら,こういった方法で…」

つづく

著者プロフィール

安西敬介(あんざいけいすけ)

大手Eコマースサイトにおいて、システムエンジニア、コンテンツディレクターを経て、マーケティング戦略の支援や、Webサイトの分析を行う。

URLhttp://an-k.jp/blog/


松田恵利子(まつだえりこ)

ダブルクリック株式会社 アナリティクス事業部

WEBサイト制作・開発,Webディレクター,モバイル向けマーケティングツール事業の立ち上げを経て,2005年ダブルクリックに入社。さまざまな企業へのアクセス解析ツールの導入を担当する。現在は,アクセス解析チームを取りまとめる一方,Webマーケティングサービスの事業開発を行う。

URLhttp://www.doubleclick.ne.jp/

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