クラフトマウス ~パソコンで作る四季の手作りクラフト

第27回『アニメーションをつくろう(その1)』

暑い日が続きますね。

あまりに暑くて表に出られない。

そんな理由をつけてテレビでアニメ番組にかじりついているあなた、そして子供たち。

自分たちでアニメーションをつくって上映してみませんか。

アニメーションの仕組みもわかって、夏休みの自由研究にももってこいのクラフトです。

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今回はこんな円盤をアニメーションの上映機に使います(どう使うかは次回のお楽しみ⁠⁠。必要なコマ数は12コマにしましょう

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12コマでどんなアニメーションにしようか、まずは、アニメーションの設計図になる絵コンテを描いていきます(専門家は⁠絵コンテをきる⁠といいます⁠⁠。

上映機が円盤形をしていますね。ということは。これをクルクル回して上映するわけですから、アニメーションの内容も始まると終わりがつながったエンドレスな物が適しています。

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無理にオチをつけたりする必要はありません。踊りを踊っているカバとか、玉乗りを続けるネコ、手紙を食べっこしてしまうヤギさん、などなど、動作の繰り返しでOK。

ただし長方形のコマで考えてください。最初から三角形のコマで考えてもいいですよ。

キャラクターのトレースをしてみましょう

さあ、アニメーションの下準備はここまで。ここからキャラクター作りの実践です。

今回はIllustrator などで自由に描画するために避けて通れないベジェ曲線を使って描いていきましょう。方向線の扱いがめんどくさくて、投げてしまう人が多いのですが、なに、慣れてしまえば自由自在。

習うより慣れろです。アニメーションの完成を楽しみに、ひたすらトレースに励みましょう。

トレース用PDF作例のダウンロード

作例は、A4サイズでプリントするように作ってあります。

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  1. トレース練習用の下絵を準備しました。まずはこれを使って練習しましょう。慣れてきたところでご自身がスケッチした物や写真を下絵にオリジナルのキャラクターを描いてみてください。

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  2. [ファイル⁠⁠→⁠配置]を選択して下絵を取り込みます。

    濃度を50%にしてありますから、テンプレートにチェックを入れても入れなくても構いません。

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  3. 肩慣らしに、楕円ツールを使って顔の輪郭と目をトレースしましょう。

    大体の形に合わせて描画したら、回転ツールや拡大縮小ツール、自由変形ツールで下絵にあわせていきます。

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  4. 今回は練習ということで、なるべく下絵にあわせてるように描いていきますが、普通に描くときは、下絵はあくまでも目安と考えて構いません。

    下絵のおかしいところを描きながら修正していく位でちょうど良いのです。

ペジェを使ってみる

  1. では、ベジェを使って描いていきます。

    ペンツールを選んでください。

  2. 描き始めの位置をクリックし、そのままドラッグして下絵の曲線に沿うように方向線を引き出します。方向線の角度と長さで描かれる曲線の丸みが決まります(なるべく曲線に沿わせて三分の一程度の方向線を……など色々あるようですが、最初の方向線をわざと短く引き出して、次の方向線をぐっと伸ばしたり、またその逆もありますから、これはなんともいえません⁠⁠。

    描いたあとでいくらでも修正がききます。トライアンドエラーで感覚をつかんでください。

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  3. 耳の折り返しでクリック

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  4. ドラッグして方向線の長さと角度を調整し、曲線を下絵にあわせマウスボタンを離します。

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  5. ここで切り返します。折り返しのポイントをクリック。ポイントを中心とした方向線の関連が解除(分割)され、描いた曲線に影響を与えることなく、新しい方向線を引き出すことが出来ます。

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  6. 方向線を引き出します。

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  7. 終了点をクリック、必要であればさらにドラッグして曲線を調整。ペンツールをクリックして描画完了です。

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切り返しの時にアンカーポイントをクリックしドラッグしたままオプションKey(Windowsだと[Alt]キー)を押して方向線を分割することもできます。

描画終了時もコマンドキー(⁠⁠Ctrl]キー)を押して、選択ツールを呼び出し、パス以外の任意の場所をクリックしてやるとパスの選択が解除され、描画を終了することができます。

慣れてくれば、このほうが効率よく作業できます。

さあ、もう片方の耳でおさらいしてみましょう。

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※クリック:
ポインタを所定の位置に置いてマウスボタンを一度押すこと
※ドラッグ:
マウスボタンを押しながらマウスを動かすこと

修正をいれる

パスを描いたあとの修正のやり方です。

修正は基本的にダイレクト選択ツールで行います。

  1. パスを描き終わります。

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  2. パスを直接ドラッグして修正。

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  3. パスを選択し、方向線を表示させ、方向線を調整しての修正。

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  4. 修正完了。

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  5. パスの起点や終了点が離れてしまったときも、ダイレクト選択ツールでアンカーポイントを移動し方向線を使って修正してやりましょう。

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流れるようなパスを描く

次はS字を描く、流れるようなパスの描き方です。

  1. 起点をクリック・ドラッグします。

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  2. ひとつの目カーブと次のカーブの中間あたりでクリック・ドラッグ

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  3. 足下でクリック、軽くドラッグして方向線をひっぱり

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  4. そのまま終了点をクリックして、描画完了。

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  5. 描き進めているパスが前に描いたパスの端ポイントに繋がってしまい、描画の妨げになることがあります。

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    そんなときは前に描いたパスを選択して、オブジェクト→ロックをかけておきます。

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    このコマンドもよく使いますからショートカットを覚えておくといいでしょう。

    Macコマンド+2
    Win[Ctrl]+2
  6. 直線の連続するパスは、コーナーコーナーをクリックして繋いでいくだけです。描画しながらShift キーを使うことで角度を45°づつ固定することがでいます。

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  7. きれいにトレースできたでしょうか。

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    トレースには他にも違ったやり方があります。

    機会があるごとに紹介していきますね。

    高橋正之著IllustratorCS・トレースマスター(技術評論社刊⁠⁠』にも詳しい手法が紹介されています。参考にしてください。

    キャラクターに色をつけてみましょう

    最後に色をつけてあげましょう。

    閉じていないパスを使って描いてきましたから、そのまま塗りを指定しても、こんな風になってしまいます。

    ※閉じていないパスをオープンパス。閉じたパスをクローズパスといいます。

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    1. レイヤーを複製し、上層のレイヤーにロックをかけて不可視にします(鍵と目玉アイコンをクリック⁠⁠。

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    2. 塗りを指定するレイヤーのロックを解除して準備完了。

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    3. 閉じていないパスを閉じていきます。

      このとき、クローズしたオブジェクトが重なり合っているよう注意してください。

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    4. 上記の状態で塗りを指定してやれば抜けのないシルエットができますが、あとで移動したり、色を変更したりするとき、取りこぼしや塗り残しなどのミスをなくすために、オブジェクトをパスファインダ→形状エリアに追加+拡張ですっきりさせておきました。

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    5. 上のレイヤーを可視にして、好きな色に塗ってやりましょう。

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    6. アニメーションにすることを考えて、シンプルな黒猫にしました。

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    7. 全てのコマをトレースします。

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    8. 色を指定して、さあ準備完了です。

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    ベジェ曲線を自在に使えるようになるには、ひたすら慣れるしかありません。

    筆や鉛筆で絵を描いている……という感覚で取り組んでいると嫌になってしまうかもしれません。カッターやはさみを使って、切り絵を描いているところをイメージしながら続けてみてください。きっと楽しい明日が待っています。

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    さあ、次回はアニメーション作りです!

    お楽しみに。

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