読むウェブ ~本とインタラクション

第13回 電子書籍の種類とEPUBフォーマット

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文字主体の欧文の書籍に適したEPUBフォーマット

それでは,EPUBについて詳しく見ていきましょう。EPUBは,IDPF(International Digital Publishing Forum)という米国(ニューヨーク州)の標準化団体が策定しているオープンな電子書籍フォーマットです。すでにGoogleやApple(iBooks)が正式採用し,Sony ReaderやBarnes & Noble Nookなど,Amazon Kindle以外の主要なリーダーはほぼ対応しているため,事実上の標準規格になりつつあります。

EPUBフォーマットは,⁠文字主体」の欧文の書籍に適しています(もともと欧文小説のデジタル化がベースになって検討された仕様⁠⁠。書籍のページは,XHTML 1.1のサブセットでマークアップしますので,作成が容易です。サブセットですから一般的なWebデザインのごく一部しか表現できませんが,プレゼンテーション機能は,電子書籍を読むためのリーダーアプリケーション側で実行しますので,特に問題はないでしょう。

図6 EPUBフォーマットのサンプルをiPhoneのStanzaで表示。CSSのfloatプロパティで簡単なレイアウトを表現している

図6 EPUBフォーマットのサンプルをiPhoneのStanzaで表示

図7 EPUBファイルの内容。XHTMLファイル,CSSファイルでコンテンツ(本体)が作られている。EPUB電子書籍のオーサリングについては,本連載の第16回から予定している

図7 EPUBファイルの内容

Webデザインのような自由度がないため,結果的にシンプルでセマンティックな構造化ドキュメントとして品質保証されているという状況かもしれません(制作者側から言えば「誰が作っても同じ」ということになりますが⁠⁠。

ただし,詳細に見ていくと同じEPUBフォーマットでも,素人ぽい画面の書籍と見栄えの良い書籍があります。これは,制作者側のスキルの問題ではなく,リーダーアプリケーションのデフォルトスタイルが原因です(見出しと段落が過度に接近しているレイアウトなど⁠⁠。見栄えが整っている電子書籍は,CSSのスタイルで上書きしており,書籍の全ページを手作業で調整しているようです。素人ぽいデザインの書籍は,⁠自動変換」で処理しているのでしょう。

図8 左側の画面は,小見出し(見出しレベル3)と上の段落が接近している。右側の画面は均等なマージンになっている

図8 左側の画面は,小見出し(見出しレベル3)と上の段落が接近している。右側の画面は均等なマージンになっている

日本語の対応はこれから

現在,日本語については「表示できる」というレベルですから,国内で普及している独自フォーマットのように,縦書き表示や禁則処理,ルビなどは適用できません。

IDPFは,4月6日(現地時間)次期バージョン「EPUB 2.1」に関する草稿(現行バージョンは2.0.1)を公開しましたが,日本語の仕様についても記載されています(IDPFに加盟している日本電子出版協会が策定したEPUB日本語要求仕様案を参照してください⁠⁠。

図9 iPhoneのアプリ「SkyBook」でサンプルの電子書籍を表示(青空文庫のルールに沿って記述している⁠⁠。EPUBフォーマットで実現するには,独自に拡張しなくてはいけない

図9 iPhoneのアプリ「SkyBook」でサンプルの電子書籍を表示

図10 Lovely Readerの縦書きモードでEPUBフォーマットのサンプルを表示。日本語の組版ルールが実装されていないため,正しく表示されていない

図10 Lovely Readerの縦書きモードでEPUBフォーマットのサンプルを表示

図11 Androidの「縦書きビューワ」でEPUBフォーマットのサンプルを表示。バランスが良く読みやすい

図11 Androidの「縦書きビューワ」でEPUBフォーマットのサンプルを表示

著者プロフィール

境祐司(さかいゆうじ)

インストラクショナル・デザイナー[Instructional Designer]として学校,企業の講座プラン,教育マネジメント,講演,書籍執筆などの活動をおこなう。2000年より情報デザイン関連のオンライン学習実証実験を始める。現在,教育デザイナー育成を目的としたフォーラムを立ち上げるため準備中。著書に「速習Webデザイン Flash CS4」(技術評論社),「Webデザイン&スタイルシート逆引き実践ガイドブック」(ソシム)などがある。

URLhttp://admn.air-nifty.com/monkeyish_studio/

著書