デジタルブランドマネジメント

第12回 ブランドをつくるコンテンツマーケティング

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マーケティングには,優れたコンテンツが不可欠です。どんなに素晴らしい広告も,メディアの魅力的で有益なコンテンツ無しには見てもらうことができません。消費者はいつの時代も広告ではなくコンテンツを求めています。

しかし,今や企業はデジタルを通じて消費者に直接コンテンツを届けることができるようになりました。メディアに依存せずに,消費者との直接的な関係の構築・維持が可能なのです。

マーケティング施策の現在

現代の消費者は自分のニーズに合ったコンテンツを無数のチャネルから積極的に収集し,多くのデジタルコンテンツを消費します。企業が効果的にターゲットにリーチするためには,メディアに広告を載せるだけでなく,自らコンテンツを作り発信していかなければなりません。これには立ち上げ時に多くの企業努力を必要とし,投資をメディアから人員,制作,そして配信へと切り替える必要があります。しかし,その投資対効果は通常のマーケティング施策とは異なり,時間とともに累積的に改善するため,対応が急がれています。

大企業のマーケターもソーシャルメディアの効果を最大化するために,積極的にマーケティング予算をコンテンツへとシフトさせています。アメリカでは既にB2Bマーケティング予算の26%がコンテンツに投資されているといいます。また,コカコーラなどの世界的な企業もコンテンツマーケティングへの本格的なシフトを発表しています。しかし,コンテンツマーケティングに必要とされるのは大きなメディア予算ではなくクリエイティビティであるため,このような企業にとっても大きな挑戦であることは違いありません。

Coca Cola Content 2020

コンテンツマーケティングを行うために

コンテンツマーケティングは従来のマーケティング施策とは異なり,⁠売る」のが目的なのではありません。有益なコンテンツを無料で提供し続けることで,より多くの潜在顧客との関係を構築し,維持するのがゴールなのです。このため,現代のマーケターは新商品の発売時だけでなく,常にコンテンツを作り,配信し続ける編集者のような立場へとシフトする必要があります。コンテンツを通じてターゲットを教育し,信頼を獲得すること。様々なニーズに応え,リーチを広げ,リードを獲得すること。そして,関係を構築した消費者とエンゲージメントを続けていくこと。コンテンツオーサリングの力は,これからのマーケターにとって不可欠なものとなるはずです。

消費者自らが求め,消費するコンテンツはブランドにも大きな影響を与えます。優れたコンテンツはストーリーを伝え,ブランドイメージを表現し,競合との差別化を実現し,消費者の記憶に留まるのです。ブランドがコンテンツマーケティングを成功させるためには一般的なコンテンツを配信していてはなりません。有益であり,人に伝えたくなるブランド独自のものが必要です。

コンテンツの作り方

では,ブランドはどのようにコンテンツをつくり,配信すれば良いのでしょうか?

6つのステップに分けて考えてみましょう。

1.ターゲットユーザーを知る

有益なコンテンツは誰かが何かを学んだり,活用したり,楽しむことができるものです。対象となる相手を知らなければそれを実現することはできません。潜在顧客の中でも最も一般的なユーザー像を定義し,抱えている問題や,一番必要としているもの,積極的に求めているもの,重要なトレンドなどをリストアップします。利用しているSNS,読んでいるブログ,いいね!をしているページなどのインターネット上での行動を定義します。そのターゲットユーザーが商品を購入する前に一番調べることは何であり,どのように商品を購入し,他人へ勧める購買行動も定義します。

既にコンテンツが豊富なWebサイトが存在すれば,ユーザーの行動から,求められるコンテンツやその効果を知ることができます。ターゲットユーザーの特性を詳細に定めることで,効果的なコンテンツの制作や配信はより簡単になります。

2.コンセプトを決める

ブランドが配信するコンテンツは消費者が抱くブランドイメージに大きな影響を与えるため,一貫したコンセプトが必要となります。単にユーザーのニーズに応えるだけでなく,ブランドの価値観や理念に共感できるものであれば,一つ一つのコンテンツの積み重ねがユーザーとの関係をより強固なものにします。

ブランドはユーザーのニーズを解決することで,どのように社会に貢献しようとしているのでしょうか。また,ブランドが掲げる理想は何であり,コンテンツの配信はどのようにその理想の実現に役立つのでしょうか。ブランドの本質的な部分をコンテンツのコンセプトとすることで,ブランドを強化することができます。

これには,中小企業のビジネスに役立つコンテンツを配信するアメリカンエクスプレスのOpen Forumや,より良い住環境作りに役立つコンテンツを配信するP&GのHome Made Simpleなどはブランドを強化するコンテンツマーケティングの良い事例です。他にもファッションを楽しむKate SpadeのブログMr. Porterのエディトリアルコンテンツ,アスリートやアクティビストが情報を発信するPatagoniaのThe Cleanest Lineなどたくさんの優れた事例が存在します。

著者プロフィール

荻野英希(おぎのひでき)

デジタルマーケティングエージェンシー,FICC inc. 代表取締役社長。
デジタルがブランドをどのように強化し,その役割はブランド毎にどう異なるのか? デジタルブランドマネジメントの仕組みを検証する。

URLhttp://www.ficc.jp/

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