デジタルブランドマネジメント

第13回 ブランドを守るデジタルコミュニケーション

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あなたは最近,検索やクチコミを参考にして何を購入したでしょうか? それは入念な比較検討が必要なほど高額なものだったでしょうか? もしかしたら,シャンプーや洗剤などの日用品だったかもしれません。

今やインターネット上の情報はどんなブランドのビジネスにも大きな影響を与えてしまいます。そしてその情報は企業の意図に関係なく消費者から発生し,ブランドの評判を左右します。

すべてのブランドはインターネット上のネガティブな情報に対し,常に何らかのリスクを抱えています。そしてさらなるリスクを恐れ,ソーシャルメディアやデジタルマーケティングへの取り組みに消極的なスタンスをとる企業も少なくありません。しかし,一番のリスクは問題を正しく把握せずに,放置することです。ビジネスに直結するブランドの評判を守るためには積極的なデジタルマーケティングへの取り組みが必要となります。

ブランドをインターネット上で自然発生した情報に左右されず,その評判を積極的にコントロールするためには4つの取り組みが必要です。消費者の声を聞く「モニタリング」⁠ブランド自ら情報を発信する「コンテンツオーサリング」⁠ポジティブなコメントを広める「アドボカシープログラム」⁠そして顧客との接点を作る「レスポンス」です。

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各々の取り組みで留意すべきポイントと,有用な無料ツールをあわせて紹介しましょう。

モニタリング

インターネット上の情報はブランド担当者に見えない場所で発生し,急速に広まる可能性があります。消費者とブランドの接点をしっかりと把握し,常にモニタリングをしなければ,ビジネスの損失を防ぐことはできません。

たった1つのコメントがブランド名の検索結果に何年にも渡って表示され,会話を生み続け,ブランドの評価に大きなダメージを与えることがしばしば起きています。しかもそのコメントの真意は検索エンジンには関係ありません。発信元が本当に不満を持った消費者であるか,競合や過去の従業員による虚偽の情報であるかなどを確認する術はないのです。

責任あるブランド担当者は,たった今も誰かがブランドの情報を勝手に発信し,消費者に接触し続けている現状を認識し,情報をモニタリングし続けなければなりません。

モニタリングに有用な無料ツールは以下のとおりです。

Googleアラート

特定のキーワードを含む新たな検索結果を定期的にメールで送信してくれるサービス。ブランド名を含む最新のWebページ,ブログ記事,ニュースなどを常に把握しておくことができます。

Twitter検索

特定のキーワードを含むつぶやきを検索できるページ。ブランド名を含むつぶやきを検索し,検索結果をブックマークすることも可能です。

Googleキーワードツール

ユーザーが検索しているキーワードとそのボリュームを調べることができるツール。ブランド名と一緒に検索されているキーワード(例:ブランド名+「評判」など)を知ることで,検索結果を効率的にモニタリングすることができます。

コンテンツオーサリング

ネガティブな情報を消し去ることは非常に困難ですが,その影響力を減らすことはできます。まずはブランドが自ら情報を発信することができるチャネルを増やし,検索結果においてコントロールの範囲を増やすことです。FacebookやGoogle+などのソーシャルメディアアカウント,ブログなどを立ち上げることで,ブランド検索の上位表示を獲得することができます。ネガティブなコメントが存在する場合,それらの表示順位を下げることができるのです。

しかし,検索順位を下げるだけでは根本的な解決にはなりません。ネガティブなコメントの影響を打ち消すには,消費者の信頼を獲得する情報を発信し続けなければなりません。ブランドに品質等の問題が指摘されている場合はそれを改善し,向上した品質の情報を積極的に発信しましょう。インターネット上では過去の情報が繰り返し参照され,解決済みの問題がブランドの評判を落とすことさえもあります。ブランドの担当者はできるだけ広く,多くのチャネルを通じて,情報を発信し続けなければなりません。

Google+

ブランドがページを持つことができる,Googleのソーシャルネットワーク。FacebookやYoutubeなど,他のアカウント情報を登録することで,Googleにブランドとの関連性を伝えることができます。

アドボカシープログラム

インターネット上で最もブランドの評判に影響を及ぼすのは顧客の声です。もちろん満足した顧客からのポジティブなコメントとの接触が多いほどブランドへの評価は高まります。そのため,ブランド担当者はブランドサイトだけでなく,外部のサイトにもより多くのポジティブなコメントが掲載されるよう継続的な努力を行わなければなりません。

レビューサイトやソーシャルQ&Aなど検索に強く,影響力の高い外部サイトにポジティブなコメントを集めるためには,ブランドを推薦してくれる顧客との関係構築を行い,情報やきっかけを提供します。なかでも,積極的に投稿を行う顧客を抽出し,製品サンプルや現品を提供することもコメントやレビューの獲得に有効です。

SurveyMonkey

誰でも簡単にオンラインでアンケートを作成し,実施できるサーベイモンキー。顧客データベースに対して,商品の満足度や,コメントを投稿するサイトなどの質問を投げかけることで,影響力のある推薦者を抽出することができます。

レスポンス

インターネット上の情報に距離や時間の制限は無く,たった1つのコメントがソーシャルメディアを通じて広く,速く伝播する可能性があります。これはネガティブなことに限らずブランド側もソーシャルメディアのアカウントを持つことで,迅速に消費者の声に対応できるということです。ポジティブなコメントをさらに広め,不満を抱えた顧客からのネガティブなコメントには誠意を持って対応し,ポジティブなブランド体験へと変えることができます。

もちろん,内容によっては返答を行わず,静観すべき場合もあります。重要なのはブランドのソーシャルメディア担当者が自身の判断で,迅速に返答を行うためのガイドラインを設けておくことでしょう。

ブランドの評価が下がれば,消費者からの信頼を失い,売上,そして利益の低下につながります。インターネット上の情報は,もはやどのようなブランドのビジネスにも大きな影響を与え,無視することはできません。デジタルマーケティングへの積極的な取り組みこそが,自然発生するクチコミからブランドを守り,ビジネスの損失を防ぎます。

今,あなたが自身のブランドのインターネット上での評価を知らなければ,対策は急務です。問題が改善できないほど,手遅れになる前に,情報を収集し,迅速な対応を可能にする体制を整えなければなりません。

著者プロフィール

荻野英希(おぎのひでき)

デジタルマーケティングエージェンシー,FICC inc. 代表取締役社長。
デジタルがブランドをどのように強化し,その役割はブランド毎にどう異なるのか? デジタルブランドマネジメントの仕組みを検証する。

URLhttp://www.ficc.jp/

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