デジタルブランドマネジメント

第19回 ブランドアドボケイトというデジタルマーケティング資源(1)

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1,000万人にリーチするCMと,積極的に商品を知人に勧める1,000人の既存顧客,どちらが売上に貢献するでしょうか。CMを視聴した1,000万人の消費者の0.1%と,1,000人の既存顧客1人が周囲の知人に商品を薦め10人が購入に至ったとすれば,その効果は同じです。しかし後者のほうが遥かに安く,そして持続的に活用することができます。ブランドの商品やサービスを熱心に勧める人々(ブランドアドボケイト)の大きな影響力を無視できるマーケティング担当者はいないはずです。さらに,彼らを効率よく集客・活性化し,ビジネスに活用できているマーケティング担当者も決して多くはないはずです。

ブランドアドボケイトとは?

ブランドアドボケイトは,謝礼と引き換えにブランドの宣伝を行うアンバサダーとは異なります。アドボケイトはブランドに対するロイヤルティが高く,積極的にエンゲージメントを求める顧客です。しかも決して小さなセグメントではなく,アメリカでは4人に1人の割合で存在しているとも言われています。そして,ブランドが持つ顧客データベースにアンケートを実施してみると,さらに驚くような結果が出ます。自主的にブランドのFacebookページやメールマガジンに登録した消費者の半数ほどがブランドアドボケイトである可能性があるのです。

ブランドアドボケイトの強い影響力は消費者からの信頼に起因します。友人や知人からのレコメンデーションは広告の中でも最も信頼される分野であり,ニールセンの広告信頼度調査Global Trust in Advertisingでも9割に共感され,常にトップに位置しています。また,彼らの9割も知人の購買行動に影響を及ぼしていると自覚しており,その影響力は他の広告手法の何倍もあることが明らかです

さらに彼らの影響力はソーシャルメディアによって大きく増幅されます。一般的な消費者の発言は多くても平均150人ほどに向けて発信されると言われていますが,ブランドアドボケイトのネットワークは平均でその倍以上です。何千,何万ものブランドアドボケイトがソーシャルメディアを通じてあなたのブランドを知人に勧めれば,マスメディアよりも大きな効果を生み出すことができるはずです。

では低コストであるにも関わらず,このずば抜けた効果を発揮するブランドアドボケイトというマーケティング資源が活用されていない理由は何なのでしょうか? 理由は2つ考えられます。1つはブランド側が彼らを特定することができないこと,もう1つは彼らを活性化することができないことです。

ブランドアドボケイトを特定するには?

ブランドアドボケイトはたった1つの質問で特定することができます。ネットプロモータースコア(NPS)という指標を使い,ブランドの商品やサービスを知人に勧める可能性を0~10の11段階で評価してもらうだけです。0~6をデトラクター(批判者)⁠7~8をパッシヴ(中立者)⁠9~10をアドボケイトとします。NPSについては日本語でもたくさんの情報がありますのでぜひ検索してみてください。

ブランドアドボケイトを活性化するには?

彼らには様々な活用方法があります。商品やサービスを勧めるだけでなく,レビューやテスティモニアルを投稿したり,ブランドの代わりに潜在顧客の質問に答えたりしてもらうのです。ブランドからの情報やプロモーションをシェアし,トラフィックを生み,新製品のローンチなどをサポートします。また,クリエイティブなアイディアや既存製品のフィードバック,ブランドにとっての脅威や機会などを教えてくれたりもします。

アメリカのZuberanceという会社は非常に面白いサービスを提供しています。NPSのアンケートから特定したアドボケイトに対し,ただちにレビューやテスティモニアルを求め,さらにソーシャルメディアやレビューサイトへの投稿を求めるのです。

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ブランドアドボケイトにフォーカスしているため,投稿されるレビューのレーティングは平均で4.5以上。1回のキャンペーンで何千件ものポジティブなレビューが投稿・拡散されます。Zuberanceのサイトや書籍BRAND ADVOCATESなどにはこのブランドアドボケイトの活性化を通じたケーススタディが数多く紹介されており,どれも担当者が驚くほどのROIを実現しています。デジタルマーケティングで売上効果を上げたいと思う人はぜひ一度目を通してみてください。

次回は活性化の手法をより詳しく説明します。

著者プロフィール

荻野英希(おぎのひでき)

デジタルマーケティングエージェンシー,FICC inc. 代表取締役社長。
デジタルがブランドをどのように強化し,その役割はブランド毎にどう異なるのか? デジタルブランドマネジメントの仕組みを検証する。

URLhttp://www.ficc.jp/

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