デジタルブランドマネジメント

第20回 ブランドアドボケイトのマーケティング活用

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前回の記事を読み,早速ブランドアドボケイトをマーケティングに活用したいと思った方も多いのではないでしょうか。しかし,ブランドを勧める見込みを0~10で回答させるNPSのアンケートからアドボケイトを特定できたとして,彼らをどのように活性化し,売上へとつなげることができるのでしょうか?

今回はブランドアドボケイトの今すぐビジネスに役立てるため,その収集と4つのアクティベーション方法を紹介します。

ブランドアドボケイトの収集

アドボカシーはその数が重要です。Zuberanceの調査では「1人のアドボケイトは3人の新規顧客を連れてくる」としています。ユーザーとのすべてのタッチポイントでNPSのアンケートを実施することで,ブランドはより多くのアドボケイトを収集し,マーケティングに役立てることができます。

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まずはメールマガジンやFacebookページなど,既存のデータベースに対してアンケートを実施しましょう。Webサイトにもアンケートを掲載し,すべてのキャンペーンに追加します。また,最もブランドアドボケイトと効率よく接触できるのが製品自身です。パッケージなどからの動線も積極的に作るようにしましょう。

アンケートに答えたユーザーは3つのグループに分類します。0-6はデトラクター(非難者)とし,それ以上のエンゲージメントを控えます。7-8のニュートラル(中立者)にはさらなるユーザーの獲得のためにキャンペーンやプロモーションの共有を求めましょう。そして,9-10のブランドアドボケイトには次の4つのアクティベーション方法を通じてブランドのビジネスへの貢献を求めます。

アクティベーション①:レビューの投稿

ブランドアドボケイトが大きくビジネスに貢献できる方法が外部サイトのレビューやレーティングの改善です。Amazon,カカクコム,@cosmeなどのサイト上の評価はブランドや商品の売上に大きな影響を与えますが,少数の批判者によって不正確なイメージが作り出されてしまうことがあります。このような場合,ブランドアドボケイトに「無償で」⁠率直な意見を」⁠自主的に」書き込んでもらうことでレーティングやレビューの質は大幅に改善されます。

重要なポイントは,NPSのアンケートで9や10の選択を通じて商品やブランドを「積極的に勧める」と答えた直後にレビューの投稿を求めることです。すぐに投稿を求められることにより,自身の行動の「一貫性を保ちたい」という心理が働き,レビューを投稿しやすくなります。さらに,他のユーザーからのポジティブなレビューを表示すれば,書きやすさが増します。投稿後には各種レビューサイトや,ソーシャルメディアへのリンクを表示し,さらなる投稿・共有を促します。

アクティベーション②:テスティモニアルの紹介

ブランドアドボケイトのテスティモニアル(体験談)は,コンテンツマーケティングに大きく役立ちます。商品の品質や機能性を評価するレビューとは異なり,テスティモニアルには企業やブランドの価値や,その便益をエモーショナルに伝える表現が含まれます。ブランドからではなく,第3者の声として信頼されるため,FacebookやWebサイトなどに掲載するコンテンツとして効果的です。

レビューのフロー同様,テスティモニアルもNPSのアンケートの直後に求めます。投稿された内容の掲載場所は事前に告知し,必要なパーミッションを得るようにしましょう。また,他のユーザーが見て楽しめるよう,画像や映像の投稿も受け付けるべきでしょう。投稿後にはソーシャルメディアへのリンクを表示し,共有を促します。

アクティベーション③:潜在顧客からの質問への返答

ブランドアドボケイトとのダイレクトなコミュニケーションは潜在顧客の購買意欲を大きく刺激する可能性があります。ユーザーフォーラムやオープンなQ&Aサイトを運営するブランドは,ブランドアドボケイトの積極的な参加を促すことで,より多くのユーザーの信頼を獲得することができるでしょう。Zuberanceの書籍BRAND ADVOCATESではWebサイトから受け付けた質問をアドボケイトにメールで転送し,返答を求めている事例も紹介されています。潜在顧客とブランドアドボケイトのエンゲージメントは簡単ではありませんが,必ずやビジネスに大きく貢献するはずです。

アクティベーション④:プロモーションやコンテンツの共有

ソーシャルメディアを活用するブランドアドボケイトの大きな影響力の源は,その情報発信力です。彼らがブランドからのプロモーションやコンテンツを共有しやすくすることで,トラフィックや売上を大きく伸ばすことができます。ブランドアドボケイトから発信された情報はその信頼性から他の広告よりも高いコンバージョン率を実現します。

ポイントは「どれだけ簡単に共有をさせることができるか」⁠共有したいコンテンツのパーマリンク,ソーシャルメディアのボタンや,投稿テキストの定形フォーマットは必ず用意しましょう。また,ソーシャルメディアだけでなく,メールでも簡単に共有できるようにしましょう。特に,クーポンやプロモーションなどはメールで共有されることが多いようです。

ブランドアドボケイトは最もコスト効率が良く,影響力の強いメディアなのです。彼らが見返りを求めることはありませんが,継続的なエンゲージメントを怠っていはいけません。彼らのブランドに貢献したいという気持ちを育むために,フィードバックやアイディアを求め,エクスクルーシブな情報を提供し,イベントなどを通じてブランドに近づく特別な機会を提供しましょう。最善のケアを提供し続けることで,彼らは継続的にマーケティング資源としての価値を提供し続けてくれるはずです。

著者プロフィール

荻野英希(おぎのひでき)

デジタルマーケティングエージェンシー,FICC inc. 代表取締役社長。
デジタルがブランドをどのように強化し,その役割はブランド毎にどう異なるのか? デジタルブランドマネジメントの仕組みを検証する。

URLhttp://www.ficc.jp/

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