デジタルブランドマネジメント

第41回 デジタルの役割を明確にするパーセプションフローモデリング

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十分な理解と協力が得られない

デジタルマーケティングが期待される成果を出すためには,他部署との綿密な連携が必要になります。そのためには,同僚や上司の理解とサポートが欠かせません。しかし,多くの組織では,デジタルの役割とその重要性に対する共通認識がなく,十分な協力が得ることができていません。

エージェンシーが上手く連携できない

デジタルマーケティングの担当者は,広告やWeb,ソーシャル,メールなど,多くのチャネルを管理しています。それぞれ個別のエージェンシーが業務を担当する状況で,施策毎の役割が明確に定義されていなければ効果的な連携は不可能です。

このような状況では,デジタルがビジネスに貢献することはありません。予算は削られ,ブランド担当や営業のサポートを単発的に行うだけになります。結果,メディア接触時間の4割を占めるデジタルのタッチポイントを戦略的に活用することができず,マーケティング効果のさらなる低下を招くことでしょう。

FICCでは,マーケティング活動全体の中でのデジタルの役割を定義し,社内や,エージェンシー間の連携を可能にするために,消費者の購買行動の全貌を描く,パーセプションフローモデリングという手法を採用しています。

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購買行動のマッピング

まずは,購買行動を関心(Attention)⁠興味(Interest)⁠購入(Purchase)⁠リピート購入(Loyalty)⁠クチコミ(Advocacy)の5段階に分けます。私達は消費財のマーケティングを専門としているため,このような段階になります。段階ごとに,ターゲットとなる消費者の思考(Perception)⁠行動(Behavior)⁠刺激(Driver)⁠接点(Touchpoint)を1つずつ定義することで,施策やチャネル毎の役割を,詳細に理解できるようになります。

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起点となるインサイト

パーセプションフローを描き始めるには,インサイトが必要になります。インサイトはターゲット自身が意識していない,思考と行動の因果関係であるため,アンケート調査やグループインタビューなど,対話を伴うリサーチからは見えにくいものです。また,消費者への影響を最小化するエスノグラフィー調査は,十分な柔軟性がなく,多くのコストと時間がかかるため,現実的ではありません。FICCでは,この課題を解決するために,ソーシャルデータのマイニングから,インサイトの発掘を行っています。

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ソーシャルメディア,特にTwitterには,特定の商品やカテゴリーの購買動機を含んだ発言が多く存在します。数千件単位の発言を目視で分析し,購買動機毎に分類をすることで,その傾向や,競合との違いなどを発見できます。さらに,特定の購買動機を持つグループを詳細に分析することで,ターゲットを見つけることができます。

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上記の例では某アイスクリームブランドのユーザーが「ご褒美」⁠幸せ」⁠癒し」⁠贅沢」などの理由で購入をしていることがわかります。これらの製品機能とは無関係な購買動機を持つユーザーは,おそらくマーケティングの影響を受け,ブランドと何らかのつながりを持っています。ターゲットは,⁠広告に反応し,十分なビジネスボリュームと,継続購入の見込みが高い人物」と定義するため,これらのユーザーが該当する可能性は十分にあります。

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ターゲットとなるユーザーのソーシャルメディアアカウントを選定し,過去3~6ヶ月の発言を目視で分析します。FICCでは,それぞれに共通するデモグラフィック,行動(購買行動)⁠嗜好,課題,願望,価値観から,一人称の文章で,一人の人物像を描く「アイ・アム・ステートメント」という手法を採用しています。ペルソナのように箇条書きではなく,心理的要因(サイコグラフィック)を詳細に書き出すことで,インサイトを理解し,定義することができます。インサイトは必ず「◯◯と思うから,◯◯を買う」のように,思考と行動の因果関係を描き,本人が意識していないものにします。

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先ほどの,⁠ご褒美」⁠幸せ」⁠癒し」⁠贅沢」などの理由でアイスクリームを購入しているユーザーを分析し,共通点をまとめると,上記の忙しく,自分の時間がないユーザー像になり,⁠自分の限られた時間を少しでも楽しみたいから,ハーゲンダッツを買う」というインサイトが見えてきます。

商品特性をインサイトと結びつけることで,ベネフィットを定義することができます。このアイスクリームの場合,ベネフィットは「限られた時間を楽しめる」になり,競合と差別化する特性を結びつければ,効果的なコミュニケーションを設計できます。

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著者プロフィール

荻野英希(おぎのひでき)

デジタルマーケティングエージェンシー,FICC inc. 代表取締役社長。
デジタルがブランドをどのように強化し,その役割はブランド毎にどう異なるのか? デジタルブランドマネジメントの仕組みを検証する。

URLhttp://www.ficc.jp/

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