ECの成長の鍵は検索にあり~あなたのサイトにもネットコンシェルジュを

第7回 パーソナライズについて

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今回は前回の予告通り,パーソナライズについて考えてみます。

レコメンドはパーソナライズの代表格

前回前々回と検索とレコメンドについて述べましたが,そもそもレコメンドはパーソナライズの代表格です。パーソナライズという広い分野の一部に,レコメンドがあるというのが正確なところでしょう。

そしてもちろん検索も,パーソナライズによる大きな進化の可能性を秘めています。

検索とレコメンドの違いは,⁠狭義の)レコメンドはそれ自体がパーソナライズの一部(手段)であるため,レコメンド=パーソナライズという図式が成り立つのに対して,検索はパーソナライズはあくまでもその手段の1つであるということです。

むしろこれまでは検索にはパーソナライズという手法はあまり導入されていなかったとも言えるでしょう。ちなみに,広義のレコメンド(オススメ)はこの限りではないことは,前々回の連載を読んでいただければわかるかと思います。

(狭義の)レコメンドはパーソナライズの一部であるのに対して,パーソナライズは検索の一部と,その位置関係が逆転しています。このあたりは機会があればより詳しく解説してみたいと思います。

パーソナライズとは何か?

そもそもパーソナライズとは何でしょうか。簡単に言えば「人によって違う」ということです。

たとえば「今日の特売品」はオススメですがパーソナライズではありません。⁠◯◯さん向けの××が入荷しましたよ」だとパーソナライズです。EC(Web)の場合,⁠仕組み上の)GETにせよPOSTにせよ,同じリクエストで同じ結果が返ってきたらパーソナライズではない,とも言えます。

実際の店舗での店員さんというのは,いわゆる「馴染み客」だとパーソナライズされていると言えるでしょう。たとえば町のなじみの金物屋に包丁を買いに行ったら,事情や腕前や予算に応じた包丁を見繕ってくれるでしょう。大きいディスカウントストアだと,定番で無難な包丁をオススメしてくれるかもしれません。デパートの優秀な店員さんだと,色々ヒアリングして馴染みでないのに最初から最適の包丁を出してくれる可能性もあります(そもそも包丁じゃなくて洋服とかのほうがはるかにわかりやすい気がしますね)⁠

この例の場合,金物屋は行動履歴を活用したパーソナライズだと言えます。だいたい町の商店というのは地域に根ざした商売というのが差別化要因であり強みです。

すなわち顧客の顔を知っているということです。

上のデパートの例は,同じ答えをする人であれば同じモノを提案するでしょうから,厳密にはパーソナライズとは言いません。パーソナライズではなく,よくできた検索インターフェースです。ディスカウントストアの例は,画一的な検索インターフェースですね。

本連載でずっと述べているのは,この中でいうとむしろデパートの事例です。行動履歴があろうがなかろうが,そのお客さんに最適の商品の提案ができるということです。そして,デパートの優秀な店員さんは,⁠馴染み客であればさらに最適な商品の提案ができる可能性」が高くなります(いや,こう書くと,金物屋さんやディスカウントストアを貶めているように見えますがそういうことではありません。あくまで例えです)⁠

つまり,ここで述べたい重要なことは,優秀な検索インターフェースはもちろん大事ですが,そこにパーソナライズが加わると更に良くなる,ということです。パーソナライズは検索と相性が良い,と言い換えても良いかもしれません。

 行動履歴の有無に関わらず優秀な検索→パーソナライズでより優秀に

図 行動履歴の有無に関わらず優秀な検索→パーソナライズでより優秀に

ECにおける検索の本質は「提案」

筆者が考える,ECにおける検索の本質は「提案」です。良い提案をするためであれば,行動履歴だろうが,レコメンドだろうが,パーソナライズだろうが,なんでも使えます。

ではどういった要素がパーソナライズに使えるか,考えてみましょう。

もちろんその筆頭は行動履歴です。⁠レコメンドはパーソナライズの代表格」と書きましたが,同一視すらされている場合もあるかもしれません。行動履歴の活用によって,かなり検索はパーソナライズすることができるでしょう。でもこれだけでは,前回までの検索とレコメンドの融合,から話が発展していません。

パーソナライズのカギを握るソーシャルネットワーク

他にも活用できるパーソナライズの元情報として有望なものは,ソーシャルネットワークです。その人がその分野において信頼している消費者の意見,というのは大変重要です。

カメラであればAさんの意見,ラップトップであればBさんの意見,映画やドラマのDVDであればCさんの意見,レストランであればDさんの意見,などです。

面白いのは,ある人にとってAさんの意見はカメラは信頼する一方で,それ以外のAさんの意見,たとえばレストランについての意見はそんなに信頼していない可能性が高い場合があることで,さらに,ほかの人からするとAさんの意見はカメラにおいても信頼していない可能性があるということです。消費者の価値観はバラバラなように,消費者が信頼する消費者の価値観もバラバラです。

ほかにも,アクセスしているエリア,リファラ情報,その他個人情報(年齢性別世帯年収家族構成など)などももちろんパーソナライズには重要な情報です。また過去にパーソナライズにどう反応したか,という「メタ行動履歴」的な情報(フィードバックとも言えます)も大変有用です。

最近はオムニチャネルという言葉が注目されていますが,これもオンラインとオフラインをクロスオーバーして,パーソナライズを進めていこうという試みに他なりません。結局商売というのは,消費者毎に最適化すべきというのは,ある意味究極の理想と言えます。ECにパーソナライズが持ち込まれるのは,必然の流れと言えるでしょう。

著者プロフィール

山崎徳之(やまざきのりゆき)

青山学院大学卒業後,アスキー,So-netなどでネットワーク,サーバエンジニアを経験。オン・ザ・エッヂ(現ライブドア)のデータセンターである「データホテル」を構築,運営。2003年にベイエリアにおいてVoIPベンチャーであるRedSIP Inc.を創業。2006年6月に株式会社ゼロスタートコミュニケーションズ(現 ZETA株式会社)を設立,代表取締役就任(現任)。ECソリューションの「ZERO-ZONE」シリーズとして検索エンジンやレコメンドエンジンを開発,販売している。

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