はじめてのLiferay─短時間で高度なWebシステム構築

第3回 Liferay IDEで始めるポートレット開発

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Liferay IDEとは

簡単なポータルサイトを構築する場合は,Liferayおよびコミュニティで作成されたポートレットで十分かもしれませんが,企業で使う場合は機能が足りない場合もあります。そのような場合はポートレットを開発することを検討しますが,ポートレットの開発がとても複雑で生産性が悪いと認識されている人が多いと思います。その原因は,従来のポートレット開発の敷居が高かったからです。JSR286仕様書を読んでも,具体的にどのようにプログラムを書いたら良いのか読み取れません。また,プロパティファイルを複数作成しなければなりませんでした。

Liferayもバージョン6までは,開発環境を整えてantスクリプトを使ってポートレットを開発する必要がありました。途中でエラーになった場合は,エラーの原因と対応を探すのに時間が掛かりました。しかし,Liferay6からLiferay IDEの開発が始まりました。Liferay IDEとは,Liferay用プラグインの作成を支援するためのEclipseプラグインです。はじめは機能も限定されていたのと,バグが多かっため,antスクリプトでプラグインを作成した方が効率は良かったのですが,今ではLiferay IDEなしでLiferayプラグインを開発することは考えられません。

Liferay IDEには以下の特徴があります。

  • ①Eclipseにプリインストール版がある
  • ②Pleiadesもプリインストールされている日本語版がある
  • ③ウィザードを使えば,コーディングなしでデプロイできるポートレットのテンプレートとプロパティファイルが生成される
  • ④プロパティファイルはGUIページから編集することができる
  • ⑤メニューからLiferayサーバに開発中のポートレットをデプロイすることができる

これらの特徴のため,ポートレットの知識がそれほどなくてもポートレットを開発することができるようになりました。日本語版Liferay IDEは,Eclipse EEにLiferay IDEとPleiadesがプリインストールされているバンドルです。ダウンロード,解凍,実行で使い始めることができます。

今回はLiferay IDEをセットアップして,実際によく使われるスライドショー・ポートレットを作成します。練習のためにjQuery版,Alloy UI版とLiferayのWebコンテンツ・ポートレット版を別々に作成して,その手順を説明します。

Liferay IDEのインストールとセットアップ

Liferay IDEは既存のEclipse用のプラグインとEclipseにプリインストールされている配布ファイルがあります。以前はプラグインのみでしたが,Eclipseの版とかEclipseのバージョンとLiferay IDEのバージョンの対応とかで問題が多かったので,最近はLiferay IDEがプリインストールされているEclipseも提供されるようになりました。

Liferay IDEのインストール

EclipseがプリインストールされているLiferay IDEのインストールはLiferay本体と同じように,①ダウンロード,②解凍で終わりです。解凍されたフォルダ内のeclipseファイルをダブルクリックするとeclipseが立ち上がり,Liferay IDEの機能を使うことができます。

残念なことに,Liferay IDEのメッセージはプログラムにハードコードされています。開発者に問い合わせたらすべてのメッセージをプロパティファイルに切り出すと言っていましたが,2年以上もされられなかったので,私の方で日本語版を作成ました。修正したソースコードはgithubのpull requestを出して承認されましたので,次バージョンからはLiferay社から提供されるLiferay IDEのメッセージは日本語で表示されるかもしれません。

それまでは以下のページから日本語版Liferay IDEをダウンロードすることができます図1)⁠

SourceForge.JP:OSS_Ja_JPプロジェクト
URL:http://sourceforge.jp/projects/oss-ja-jpn/releases/?package_id=13423

図1 ダウンロード可能な日本語Liferay IDE版

図1 ダウンロード可能な日本語Liferay IDE版

Linux 32bit版,Windows 32bit, Windows 64bitを用意しています。これらの違いはEclipseのみです。プリインストールされているLiferay IDEは同じです。間違った版をダウンロードするとEclipseが正しく起動しないので注意してください(ちなみに,利用されているEclipse版はEEです)⁠

Liferay IDEの起動とレイアウト変更

ダウンロードしたLiferay IDEを解凍してeclipseフォルダ内のeclipse.exeをダブルクリックし,起動させます図2)⁠

図2 Liferay IDEの起動ファイル

図2 Liferay IDEの起動ファイル

Liferay IDEが起動すると,先ず環境情報を保管するために使われるワークイスペース・ランチャーダイアログが表示されます。デフォルトで表示されたフォルダ名を作成しても問題がなければ,⁠OK」ボタンを押下します。

Liferay IDEが立ち上がり,図3のような画面が表示されます。

図3 Liferay IDEの初期画面

図3 Liferay IDEの初期画面

Eclipseの説明を読まれた後に「ようこそ」タブの右に表示している「×」をクリックしてタブを閉じます。次に画面レイアウトをLiferayポートレット開発用に切り替えます。メニューから「ウィンドウ」「パースペクティブ」「Liferay」を選択します。画面は図4のように6つのビューから構成されます。

図4 Liferay開発用のレイアウト

図4 Liferay開発用のレイアウト

  • ①パッケージ・エクスプローラー・ビュー:プラグイン開発用のプロジェクトおよびフォルダ/ファイル
  • ②サーバー・ビュー:開発したポートレットをデプロイしたLiferayの起動/停止
  • ③エディタ・ビュー:①で選択されたファイルの内容
  • ④マーカー・ビュー:マーカー/コンソール/エラーメッセージ
  • ⑤アウトライン・ビュー:エディタ・ビューで表示しているコードのアウトライン
  • ⑥Antビュー:実行できるantスクリプト/プロパティ/エラーログ

著者プロフィール

小沢仁(おざわひとし)

株式会社オージス総研

米シカゴ育ち。シカゴ大学で物理を専攻。Oracle XDKを日本に紹介,Seasar英語ページを作成,ESB Muleコミッタとして同ソフトの日本ローカライズ/日本語サイト構築,WaveMakerの日本語ドキュメントを作成,Apache ManifoldCFコミッタ/日本語ページやMySQL対応を貢献。IEEE APSCC 2009などでSOAの研究発表も行っている。

Liferayに興味をもち,Liferay.comフォーラムでサポートしたりWikiページを作成している。Liferay6およびLiferfay IDEの日本語化や日本語資料も作成している。2012年にLiferay社からグローバルレベルでの「Liferay Community Contributor of the Year 2012」を受賞。

現在,米ナッシュビルで開催されるAgile2013カンファレンスでオフショア開発についての発表申請に時間を費やしている。

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