2010年版SEO体得講座

第6回検索アルゴリズムを分析してみよう! (3) 分析ツールの紹介(前編)

今回は検索アルゴリズムを調べるための分析ツールである「ALGO BUSTER」⁠アルゴバスター)の概要を説明します。

アルゴバスターを知る

Yahoo!やGoogleの検索アルゴリズムが今どうなっているかを調べるのはとても大変です。本連載の中では検索アルゴリズムを調べるためのツールを使いながら解説をしてきました。今回はその分析ツールである「ALGO BUSTER」⁠アルゴバスター)の概要を説明します。アルゴバスターは次の4つのステップでSEO対策に役立てられるように構成されています。

  1. 最近の検索順位変動状況をグラフで確認する。
  2. 現在の検索アルゴリズム全体の傾向を数値で把握する。
  3. 設定したキーワードにおけるSEO競合状況を数値で把握する。
  4. 設定したキーワードにおける上位10サイトと、設定したURLの違いを数値で確認し、SEO対策の指針とする。

アルゴバスターを起動したときのダッシュボード画面は図1のようになっており、全体のサマリーが一覧できるようになっています。

図1 アルゴバスターのダッシュボード画面
図1 アルゴバスターのダッシュボード画面

画面上部にYahoo!とGoogleのスイッチがあり、クリックすることで画面を切り替えられます。まず最初に、キーワードとURLの組を設定します。この図では、キーワードが「SEO内部対策⁠⁠、URLがhttp://talabagani.jp/になっています。それでは1~4を順番に見ていきましょう(今回の前編では1、2を、次回の後編では3、4を解説します⁠⁠。

1.最近の検索順位変動状況をグラフで確認する

画面上部には2つのグラフが表示されています。そのうち上のグラフは、設定キーワードにおける設定URLの順位の推移を表したグラフです。この図では、3月15日に8位であったものが上下を繰り返して4月12日時点で11位になっている様子が表示されています。これはみなさんお馴染みのいわゆる順位グラフです。

下のグラフはちょっと変わっています。平均順位変動幅グラフと呼んでおり、設定キーワード(図では「SEO内部対策⁠⁠)の上位100サイトの順位が、前日の順位と比べて何位動いたかを調べ、その平均値を棒グラフにしたものです。このグラフを見ると黄色い棒グラフが普段は低いのですが、Yahoo!検索アルゴリズムアップデートなどがあると突然高くなります。そのときは「Y」という文字で赤いマークが表示されます。

このように対象サイトの順位だけでなく、検索エンジン全体の順位変動状況も毎日把握できるようになっています。アルゴバスターは、SEO対策を日々の業務としている方に毎日確認していただくツールとして作られており、まずチェックするのがここの部分です。Yahoo!, Googleともに、順位に大きな変動がなく、また順位変動幅も小さければ、その日の確認作業は終了してよいでしょう。

2.現在の検索アルゴリズム全体の傾向を数値で把握する

検索アルゴリズムの傾向を噂ではなく数値化して捉え、より合理的なSEO対策の指針とすること。それがアルゴバスターのメイン機能です。その数値は、アルゴバスター上では「アルゴリズムINDEX」と呼ばれています。まずこの仕組みについて説明します。

検索アルゴリズムの順位決定要因にはたくさんのものがあります。タイトルタグに対象キーワードが含まれているほうが良いとか、評価の高いサイトからリンクがたくさん張られていれば順位が上がりやすいなどです。すべての順位決定要因を我々は知ることはできませんが、確認したり計測したりできるものもあります。

アルゴバスターでは2010年4月の時点で32種類の順位決定要因の候補となるものを実装しており、キーワードの検索結果上位100件の各サイトについて、その32種類の要因の値を毎日自動的に調べています(表1⁠⁠。

表1 32種類の検索順位決定要因(候補)
要因名 説明
インデックス数 Yahoo!JAPAN Web検索コマンド「site:」で表示される検索結果数を表しています。
ページランク Google PageRankの値を表しています。
ドメイン年齢 該当ページのドメイン年齢を表しています。
⁠平均値を算出する都合上、10進数表記とさせていただいております⁠
ファイルサイズ 該当ページのHTMLファイル容量を表しています。
被リンク数 Yahoo!JAPAN Web検索のコマンド「link:」で表示される検索結果数を表しています。
例⁠⁠ link:http://devo.jp/
被リンクドメイン数 被リンク検索で表示されるURLの最大ドメイン数を表しています。
被リンクIP数 被リンクドメイン数のうち、ユニークなIPの数を表しています。
TOPページからの被リンク数 TOPページからの被リンク数を表しています。
被リンク数(外部) 外部サイトから張られているリンク(アンカー)の総数となります。
例⁠⁠ link:http://devo.jp/ -site:devo.jp
被リンク数(内部) サイト内部から張られているリンク(アンカー)の総数となります。
例⁠⁠ link:http://devo.jp/ site:devo.jp
キーワード関連被リンク数 外部サイトから張られているリンク(アンカー)のうちマイサイトのキーワードに関連するものの総数となります。
例⁠⁠ link:http://devo.jp/ -site:devo.jp SEO対策
キーワード関連被リンクドメイン数 キーワードに関連する被リンク検索で表示されるURLの最大ドメイン数を表しています。
Yカテゴリ登録 該当ページがYahooカテゴリに登録されているかどうかを表しています。
⁠0は登録なし、1は登録あり⁠
Yカテゴリ名キーワード出現率 登録されているYahooカテゴリのカテゴリ名の中に、マイサイトキーワードが存在しているかどうかを表しています。
⁠0は登録なし、1は登録あり⁠
Yカテゴリ登録名キーワード出現率 Yahooカテゴリに登録されているリンク(アンカー)テキスト内に、マイサイトキーワードが存在しているかどうかを表しています。
⁠0は登録なし、1は登録あり⁠
Yブックマーク登録数 該当ページのYahooブックマーク登録数を表しています。
キーワード比率 該当ページ内における、マイサイトキーワードの出現比率を表しています。
キーワード出現数 該当ページ内における、マイサイトキーワードの出現回数を表しています。
総単語数 該当ページ内テキストを単語に分解し、その数を足した数値を表しています。
<meta keywords>キーワード出現数 <meta keywords>タグ内に存在するマイサイトキーワードの出現回数を表しています。
ユニーク単語数 該当ページ内テキストを分解し、重複のない状態で足した数となります。
明日⁠という単語がページ内に複数存在しても、数を1とカウントします⁠
<h1>キーワード比率 <h1>タグの中に含まれるマイサイトキーワードの比率を表しています。
<h1>キーワード出現数 <h1>タグ内でのマイサイトキーワード出現回数を表しています。
<h2>キーワード比率 <h2>タグの中に含まれるマイサイトキーワードの比率を表しています。
<h2>キーワード出現数 <h2>タグ内でのマイサイトキーワード出現回数を表しています。
<h3>キーワード比率 <h3>タグの中に含まれるマイサイトキーワードの比率を表しています。
<h3>キーワード出現数 <h3>タグ内でのマイサイトキーワード出現回数を表しています。
<title>キーワード比率 <title>タグの中に含まれるマイサイトキーワードの比率を表しています。
<title>キーワード出現数 <title>タグ内でのマイサイトキーワード出現回数を表しています。
発リンク数 該当ページ内から張られているリンク(アンカー)の総数となります。
発リンク数(外部) 該当ページ内からサイト外部に対して張られているリンク(アンカー)の総数となります。
発リンク数(内部) 該当ページ内からサイト内部に対して張られているリンク(アンカー)の総数となります。

そしてその100件の値と順位との間にどれほど相関があるかを統計学でいう相関係数という計算方法を使って算出しています。これを順位相関度と呼んでいます。順位が100位のサイトから1位のサイトに行けば行くほど、値が大きくなる場合、すなわち完全な相関がある場合を10とし、逆に値と順位の間にまったく関係が見られない場合を0としています。これを32種類の要因それぞれについて算出しています。

しかし、1つのキーワードだけで計算してはそれが検索アルゴリズム全体の傾向を表しているとは言えません。局所的にはずいぶんとばらつきがあるからです。そこでアルゴリズムINDEXとしては50個のキーワードを選定し、それぞれで順位相関度を計算して平均を取っています。50個のキーワードの中にはビッグキーワードからスモールキーワードまでまんべんなく含まれるようにしています。この50個のキーワードの平均をとった順位相関度をdevo50と呼んでおり検索アルゴリズムの傾向を表現する数値として使っています。株価でいうところの日経225のような感じです。

アルゴバスターのアルゴリズムINDEX画面(図2)では、上部に平均順位変動幅グラフが表示されています。

図2 アルゴバスターのアルゴリズムINDEX画面
図2 アルゴバスターのアルゴリズムINDEX画面

これはダッシュボードに表示されていたグラフと同じ形ですが、設定キーワードの順位変動幅ではなく、devo50に含まれる50個のキーワードの順位変動幅の平均を取ったグラフになります。すなわち検索エンジン全体の順位変動がどのくらい起こっているかを表します。そしてその下に、順位決定要因が順位相関度の高い順に並んでいます。つまり上の方に表示されている要因ほど順位との相関が高く、SEO対策上の重要な要因となる可能性があります。また順位相関度を1週間前と比較し、相関度が高くなったもの、低くなったものがわかるように上矢印、下矢印で表示しています。この画面を観察していてわかるのですが、この順位相関度は時間とともに変化しています。検索エンジンも日々進化しているということかもしれません。

さてこのアルゴリズムINDEX画面でYahoo!の順位決定要因のベスト3を見てみましょう。

要因順位相関度
1位:被リンクドメイン数7.5
2位:キーワード関連被リンクドメイン数7.5
2位:被リンクIP数7.2

これは2009年12月12日時点での状況ですが、被リンクの中のドメイン数、IPアドレス数が分散しているほうがより検索結果の上位に来ていることを表しています。ちなみに単純な被リンク数は7位で順位相関度は5.6なので、被リンクの数が多いだけではあまり効果がなくなってきていると判断できます。

(以下、後編に続く)

参考ツール

検索アルゴリズム分析ツール「ALGO BUSTER(アルゴバスター⁠⁠」

http://algobuster.jp/

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