スマホ時代のCGMサイト 企画・UI/UXのポイント

第1回スマホ時代のCGM、成功例、そして失敗例

注目されるCGM

ユーザー密着型のデバイスであるスマートフォン(以下スマホ)の市場拡大に伴い、新しいサービスにもチャンスが増えました。

その中でも注目される業態がCGM(コンシューマージェネレーテッドメディア⁠⁠。

本連載では、スマホ時代のCGMの成功例、そして失敗例を元に、成功するための秘訣や落とし穴について考えていきたいと思います。

スマートフォンによって台頭したCGM
スマートフォンによって台頭したCGM

筆者は現在、グルメサイトRettyをディレクターとして運営しており、前職はコミュニティ・ファクトリーで、現在2,000万ダウンロードのDECOPICをディレクターとして立上げました。

RettyもDECOPICも、スマホに特化したUIとUXで、ユーザー数を拡大することに成功しました。そこから得た教訓と失敗を本連載でお伝えできればと思います。

この連載の対象となる方

読者対象は以下になります。

  • これからCGMサービスを立ち上げようと計画している人
  • いまCGMサービスを運営していて、スマホ戦略について考えたい人

補足

本連載でいうCGMは、ユーザーが主体でコンテンツが生成されるサービスを指しています。その点で、一部のSNSも広義のCGMと捉えて執筆します。

なぜスマホ時代にCGM成功のチャンスがあるのか

ユーザー密着型デバイスのスマホが拡大するのに伴い、CGMにもチャンスが増えました。

スマホとCGMの相性が良い点としては、以下が挙げられます。

スマホとCGMの相性が良い点
  • スマホは常に手元にあるので、ユーザー体験が発生する瞬間を逃さず発信しやすい(家に帰ってから投稿するつもり→結局投稿しない、ということも起きにくい)
  • 隙間時間に投稿できる
  • カメラと通信機が一体化しているので、写真系コンテンツを集めやすい
  • 閲覧者からのリアクションを、リアルタイムで受け取りやすい(投稿者がメリットを感じやすい)
  • 上記により、相対的にPCよりもユーザーから発信されるコンテンツ・アクションが多い

逆に、スマホならではの問題としては、以下のような事があります。

スマホならではのCGMの問題点
  • 気軽に投稿できる分、断片的なコンテンツとなる
  • コンテンツの質にこだわりにくい、意味の薄いコンテンツになりやすい
  • 相対的にPCよりユーザー層が低年齢なので、サービスによってはマッチしないこともある

上記のような問題点を解消し、スマホならではの利点を生かせるCGMであれば、チャンスがあると言えるでしょう。

CGMで成功しているサービス・失敗したサービス

CGMで成功しているサービスとしては、⁠クックパッド」⁠食べログ」⁠みんなのウェディング」などが有名です。

これらのサービスは「PCサイト時代に集まったコンテンツ」を、スマホでも使えるようなユーザー体験にうまく転換できている例と言えます。

反対に、⁠スマホ時代に集めたコンテンツ」でユーザー体験を作り、急拡大しているサービスもあります。

「iQON」⁠Snap Dish」⁠Snapeee」⁠room clip」などです。

これらのサービスの共通点は、

  • スマホに最適化された投稿UI
  • 「写真のみ」⁠短いテキスト」など断片的なコンテンツを、価値あるUXに昇華できている
  • 投稿者がリアクションや充実感を得やすい
  • 継続的に、ユーザーが増える仕組みがある

などが挙げられます。

「iQON:ユーザーが作ったファッションコーディネートを雑誌のように見て、購入することができるサービス。」

「iQON:ユーザーが作ったファッションコーディネートを雑誌のように見て、購入することができるサービス。」

「Snap Dish:料理の写真を投稿してアプリ上の友人からのリアクションをもらって楽しむ、コミュニティアプリ。」

「Snap Dish:料理の写真を投稿してアプリ上の友人からのリアクションをもらって楽しむ、コミュニティアプリ。」

「Snapeee:プリクラのように写真を加工して、投稿するアプリ。ツールとコミュニケーション、雑誌の要素がある。」

「Snapeee:プリクラのように写真を加工して、投稿するアプリ。ツールとコミュニケーション、雑誌の要素がある。」

「room clip:ユーザーが部屋の写真を投稿するアプリ。インテリアの配置や購入の参考にすることができる。」

「room clip:ユーザーが部屋の写真を投稿するアプリ。インテリアの配置や購入の参考にすることができる。」

失敗したサービス

成功したサービスもある反面、失敗したサービスも多数ありました。

グルメ系のCGMサービスで言うと、2011年から「ぐるなび」⁠ホットペッパー」が本体とは別のグルメ系CGMをリリースしましたが、投稿数、ユーザー数が順調に増加しているようには見えない状態です。

2013年にリリースされた「Yahoo!トモメシ」は、同年閉鎖となりました。

サイバーエージェント系列のCAモバイルが運営する写真&音楽共有サービスの「ally」は、電車広告、吉本とのタイアップなどで会員数35万を超えましたが、2013年に閉鎖されています。

これらのサービスに共通するのは、

  • (とくに投稿の)UIがわかりにくい、使いづらい
  • ユーザーが投稿するメリットを見つけづらい(インセンティブの不足、リアクション設計の失敗)
  • ユーザーが継続的に増える仕組みがない
  • 投稿を「スマホに最適化された価値あるユーザー体験」に変換することができない

などが挙げられるでしょう。

いったい何が問題なのか

これらの事例を見て思うのは、⁠CGMというサービスの複雑さ」「スマホ独自の問題への、対応の難しさ」です。

連載第2回目以降は、これらの2つの問題に対応するために、以下のような内容を書いていきたいと思います。

CGMの理解
  • CGMはどうやって成り立っているか
  • Rettyの例
  • 落とし穴(ランキング疲れ、ステマ、あらし問題など)
スマホ独自の問題
  • UI(狭い画面)
  • 断片的なコンテンツになりやすい
  • 投稿者向け機能と、閲覧者向け機能のバランスをどうとるか
これからのCGM、成功のポイント
  • ユーザー獲得
  • コンテンツ数
  • ビジネス

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