企業ユーザのためのクラウド導入の手引き(IaaS編)

Chapter3:クラウドを実現した技術(仮想化)

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理想的なインターネットの姿とも言えるクラウドコンピューティングですが,どのような技術に支えられて実現したのでしょうか。ここでは,クラウドを現実のものとしたさまざまなインターネットテクノロジーの中で,もっとも重要な技術である「仮想化」について見ていきます。

仮想化とは,1台のコンピュータを複数のコンピュータとして仮想的に分割したり,反対に複数のコンピュータを仮想的に1台のコンピュータにまとめたりする技術です。仮想化技術自体はコンピュータの黎明期,メインフレームの時代にはすでに実用化されていたもので,貴重なコンピュータ資源を複数ユーザに分配したり,逆に,高い処理能力が必要となった場合に,複数のコンピュータ資源を集結するのに使用されていました。

リソース統合

複数のコンピュータ資源を1つに見せかける技術です。性能の低いコンピュータを多数集めて統合して,高性能なコンピュータ資源を作ることも可能です(図1)⁠⁠チリもつもれば山になる」を地でいく技術で,グリッド・コンピューティングもその一例と言えます。

図1 リソース統合のイメージ

図1 リソース統合のイメージ

リソース分配

1つのコンピュータ資源を複数に分割する技術です。実際にメモリやHDDといったコンピュータ資源を物理的に叩き割って分割するわけではなく,それらの能力値を数値に換算し,その数値を割り振ることで「分配していることにする」のです(図2)⁠

図2 リソース分配のイメージ

図2 リソース分配のイメージ

リソース統合→分配

統合したリソースを複数に分配することも可能です。

とりあえず募金を集めて,まとまった額になってからさまざまな支援先に分配するようなものです(図3)⁠

図3 リソース統合→分配のイメージ

図3 リソース統合→分配のイメージ

コラム:クラウドはバズワードなのか?

クラウドはビジネス世界での流行語である「バズワード(専門用語のように見えるが,明確な合意や定義のない用語のこと)⁠に過ぎない,という意見も多くあるようです。単なる流行の1つに過ぎないから,そう深刻に受け取るものでもない,そのうち忘れ去られるんだから真剣に考える必要はない,と。

確かに,さまざまなインターネットサービスベンダーが,新たなマーケティングキーワードである「クラウド」に安易に飛びつき,クラウドと名称を付けたサービスを乱発してしまい,クラウドがなんなのかさっぱりわからなくなってしまったという側面はあります。しかし,本当にクラウドを真剣に考える必要は無いのでしょうか?

「クラウドコンピューティング」は本来,⁠関連技術の進歩によって変化した新しい形のインターネットサービス全般」を示した総括的な言葉です。

そのような総括的な言葉のことを「アンブレラターム」と言います。⁠クラウド」という言葉はいろいろな言葉の総称ですので,⁠クラウドの中の○○」というように使われるのは良いのですが,⁠クラウド」という言葉そのものが一人歩きしてしまうのは好ましくありません。

また,そのようにクラウドという言葉はアンブレラタームなのにも関わらず,⁠クラウド=SaaS」⁠クラウド=PaaS」⁠ のようにある特定のサービスのみをクラウドというように表現してしまう場合も多くあり,これもクラウドが良くわからないといわれてしまう原因になっています。

実際には,⁠クラウドコンピューティング」という言葉自体にはたいした意味はありません。

しかし,クラウドコンピューティングの考え方は,より効率的に,より便利にインターネットを使うためにはどうすればいいか,ということから始まっています。

その現時点での答えがクラウド・コンピューティングであり,新しい形のインターネットサービス全般なのです。

クラウドをバズワードとして考え,無視してしまうというのは「より効率的に,より便利にインターネットを使うための新しい形のインターネットサービス」に目を背けてしまうことになってしまうのではないでしょうか?

著者プロフィール

アイル True CLOUD(GMOホスティング&セキュリティ株式会社)

URLhttp://www.truecloud.jp/

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