WEB DESIGN WORKSHOP「正しいウェブデザイン」

第10回 User Exit Care「ユーザー離脱のケア」

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協議

コンバージョンのアクションに対する経済的なリスクが大きい(製品が高額である)ほど,ユーザーが自分の判断だけで購買アクション(購入,問い合わせ)を行わなくなる。法人サービスであれば上司の決済・承認が必要となり,ラグジュアリー製品であれば配偶者の許可などが必要となる。また許可,承認が必要で無い場合もアクションを行う際に他人に意見を求める事は多い。この「協議」を行うためにユーザーはウェブサイトを離脱する。

例としてFICCのサイトのユーザー行動履歴を見てみよう。多くの場合,コンタクトを行うユーザーは事前にコンテンツを見ることなく,コンタクトフォームへ直接アクセスする傾向がある。これはコンテンツを見ていないのではなく,コンタクトの前に「協議」を行うための「離脱」を行っているのだ。

画像

この協議が行われなければ購買アクションへの誘導はできない。ユーザーが離脱している間に決済者と協議を行いやすくするためのツール提供も重要な「ユーザー離脱のケア」である。

協議を行わせるためのツール
比較を行うための情報コンテンツを決済者に見せるためのツールを提供することで,ユーザーが離脱中の協議を行いやすくすることができる。
(例⁠
  • ページのメール送信
  • ページのプリントアウト
  • PDF版のダウンロード

上記のツールをサイト内でボタンとして提供することにより,決裁権の無いユーザーに,より安易に「協議」を行わせることができる。

リアルとの連動

目的のアクションがウェブ上ではなく店頭などのリアルな現場で行われる場合は,その場所への誘導を促すモバイル転送やプリントアウト等のツールの提供が必要となる。パソコンから離れた場所への誘導・コンバージョンは最も難しいため,ある程度のインセンティブの提供も必要だ。割引や,プレゼント等のクーポンを提供することにより,ユーザーの誘導を行う。

モバイルに情報を送信する事は情報を「携帯」するということだけではなく,リマインダーとしても機能する。QRコードやモバイル用URLを用意する際は必ずURLをメールで送信するフォームも用意するべきだ。

更なるユーザーの誘導

パッシブなユーザーを誘導するためにはサイト到達時にインセンティブを提示する必要がある。ユーザーにとって「何かが貰える」など,明確なメリットが確認できればパッシブなユーザーの離脱すら防げるのだ。また,キャンペーン等に応募した後,通常は確認ページからトップに戻るなどという措置が取られるが,これはあまりにももったいない。インセンティブに食いついたパッシブユーザーこそ,次へ誘導するべきである。

インセンティブの提示
もしサイト内にインセンティブとなるようなコンテンツがあれば,ユーザーが見やすい場所に配置するべきだろう。全ページ共通のナビゲーション内に注意を引くようなバナーを設置するなどして,パッシブなユーザーの注意を引きつけて誘導する。
応募,登録後ユーザーの誘導
インセンティブに対して個人情報を提供したユーザーは大体の場合「応募完了ページ」のような場所からトップに戻される。しかし,個人情報入力というハードルを越え,歩み寄ってくれたユーザーを再度パッシブな導線に戻すことはない。比較的低いインセンティブとなる「インタラクティブ・コンテンツ」「ダウンロード・コンテンツ」へと誘導し,製品やサービスとの接触回数を増やすのだ。また,それらのコンテンツからインセンティブの無い「製品・サービス情報コンテンツ」へと誘導する事は言うまでもない。

ユーザーの到達から離脱のケアまでを行えば,ウェブサイトは目的のアクションを達成する事ができる。次回は達成率の検証と効果測定について説明する。

著者プロフィール

荻野英希(おぎのひでき)

FICC inc. 代表。ファッションブランドのアートディレクターを勤め,ウェブプロデューサーとして様々なブランドや企業のウェブプロモーションを手がける。デザインポータルAnotherbookmarkの運営や雑誌連載の執筆など,幅広い活動を行っている。

URLhttp://www.ficc.jp/