Webデザイン業界の三位一体モデル

第1回 イマジナティブ(後編) 広告代理店の存在価値

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Web広告寄りの視点から,Webデザイン業界の未来を探ろうというのが本連載の趣旨だ。1回目に登場いただくのは,Webクリエイターの立場であるイマジナティブのお二人,水藤氏と深澤氏。今回はその後編。

広告主と長期的な信頼関係を築く

新野:

広告賞ってクリエイターにばかりスポットが当たりますが,いいサイトを世に出していく上で広告主の果たす役割ってすごく大きいと思うんですね。

クリエイターがどれほどいいアイデアを出したとしても,広告主の社内でいろいろな政治的な事情でどんどん変なふうに変えられちゃうことって多いですし。

そういう例もたくさん見てきました。

「皆さんはいいものを作ってください。俺はそれをキチンと社内で通して世にだしてみせる。」みたいな企業担当者ってすごく大事かと。

水藤:

クライアントが話しの判るひとかどうかは,すごく注意深く見るようにしてますね。

そういえば,一緒にシェアオフィスをしているカイブツの木谷さんもその辺はすごくよく見てると思いました。

深澤:

クライアントと長期にわたっていい関係を築けるよう心がけてます。やっぱり初めて一緒に仕事して,最初からうまく行く訳ないじゃないですか。

何回か一緒に仕事をしていくうちに信頼関係ができてくる。ハインツさんなんてまさにそうですね。

クライアントを表彰する賞とかあってもいいのに。クライアントアワードとか。

水藤:

そうですね,Webに限らず広告主を表彰するってあんまり聞かないですよね。

今年の東京インタラクティブアドアワードで,ベストメディアアーキテクト賞にMSNの中山さんが選ばれてましたけど,そういうことがもっとあっていいですよね。

どの人と仕事するかが大事。会社はあんまり関係ない。

新野:

イマジナティブは,直接広告主から発注をうけるスタイルが多いように見受けますが,ぶっちゃけ「広告代理店要らない」とか思ったりしませんか?

水藤:

さっきも言いましたが,テレビを見なくなってきたりしているなかで,従来メディアを発展させる機能としてはもちろん必要ですが,『新しいメディアを作り出す』という意味では広告代理店という大きな単位でなくてもよいかもしれないですね。

ただクリエイティブの人達だけじゃ成立しないので,そこの間に立つポジションは必要だと思います。

それが広告代理店である必要はなくて,広告主側の人だったり,フリーランスの人だったり。会社はあんまり関係ないんです。

むしろ人ですね。どの人と仕事するかが大事です。

新野:

さっき,水藤さんがおっしゃっていたような,イベントをやってそれとWebを連動させるとか,いろいろなことを連動してやる場合って全てを仕切れるひとってなかなかいないじゃないですか。

企業のWebの担当者も,Webのことはわかっても普通イベントは仕切れないし,もし仕切れたとしても社内の権限がなかったりするから,どうしてもいろんな部署と一緒になってやることになる。

だから,広告代理店で従来から培ってきたイベントなどのプロモーションの担当者や,CMの担当者,Webの担当者などがプロジェクトごとにチームをつくって対応できたらいいと思ってるんです。それができれば広告代理店の存在価値もあるかなと。

深澤さん(左),水藤さん(右)。(撮影:白石奈緒美)

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水藤:

そうですね。それは存在価値あります。僕もその部分を一緒に考えてもらえる人はいつもほしいと思ってます。ただその部分はお願いね,って完全に任せきってしまうとダメで,そこはインタラクティブなメディアとして作り手側もある程度をセンスを持ってないとダメなのだろうなと。お互い補完しながらというイメージです。

いろいろな専門家でチームが組めるのはいいですが,でもそれぞれの役割を完全に切り離しちゃうとダメかと。

新野:

まだ,業界も未成熟ですし,あと数年は完全な分業みたいなことは無理でしょうね。 Webの知識を持っている人がいろいろと立ち回ることが多いでしょうから,そういうスキルを持った人は貴重ですね。


新野:

最後になにか一言いただけますか。

水藤:

初心忘れるべからず。

仕事でも,人生でも。

イマジナティブのサイトのトップページにも書いてあるんですよ。

深澤:

英語だからよくわからなかったけどそういう意味なんだ(笑)。

新野。

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新野:

初心は大事ですね。

変なプライドとか出てきて,謙虚になれなくなるとダメだよなって思います。

これからもお互い初心を大事にがんばりましょう。

今日はお忙しいところ,ありがとうございました!

インタビューを終えて

イマジナティブのお二人は独立前から存じ上げていた。常に実験的な新しい試みに取り組もうとする姿勢は当時も今も健在だ。

しかし,そういった実験的でチャレンジングな試みは,だれもやったことの無いものであればあるほど,リスクを恐れ無難なアイデアへと収まってしまうケースも多い。

そんななか,広告主との良好な関係を築き,信頼関係のなかで次々とチャレンジを実現させている彼らの活躍ぶりを見て,アイデアだけではなくそれを実現する力の重要性を再確認した。

著者プロフィール

新野文健(あらのふみたけ)

1999年よりWeb業界に身をおき,2004年 NEC ecotonoha(エコトノハ)でアジアで初のカンヌ国際広告祭サイバー部門グランプリを獲得。2007年ハーマンミラー 「Get Real キャンペーン」バナーで,東京インタラクティブアドアワード Gold等,他受賞多数。2005年6月よりビーコンコミュニケーションズにてシニアプロデューサーとして,世界的メガブランドの日本サイト本格立ち上げに尽力。

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