Microsoft Web PIが変えるWebアプリケーションサイト構築

第4回Web PI 3.0の新機能とWebMatrix

今回は、すでにベータ版がリリースされているWeb PI 3.0を見てみることにしましょう。前回の記事で使用していた、Web PI 2.0をインストール済みの環境をそのまま使っていきますが、何もインストールされていない状態からWeb PI 3.0をいきなりインストールすることも可能です。

Web PI 3.0の導入

Web PI 3.0は、こちらのURLからダウンロードできます図1⁠。

図1 Web PI 3.0の紹介ページ
図1 Web PI 3.0の紹介ページ

ページ内の「Download Now」ボタンをクリックするとダウンロード用のページ図2に移動するので、⁠Download Web Platform Installer Now」をクリックすると、インストーラーをダウンロードできます。

図2 インストールページ
図2 インストールページ

インストーラーを起動すると自動的にインストールが開始され、しばらく待つとWeb PI 3.0の画面が表示されます。Web PI 3.0での最も大きな変更点は、Webアプリケーションを簡単に管理・作成するための「WebMatrix」というツールがインストールできるようになっていることです。インストール直後の場合は、Web Matrixについての説明画面が表示されます図3⁠。

図3 Web Matrixについての説明画面
図3 Web Matrixについての説明画面

画面左上のボタンでトップページに戻ることができます。トップページを見てみると、Web PI 2.0と比べてユーザインターフェースが大幅に変更されていることがわかります図4⁠。

図4 Web PI 3.0のユーザインターフェース
図4 Web PI 3.0のユーザインターフェース

それではWebMatrixを使ってみましょう。Web PI 3.0インストール直後であれば、すでに「Microsoft WebMatrix Beta3」は選択済みになっているので、そのまま「Install」ボタンをクリックします。そして、次の確認画面で「I Accept」ボタンをクリックしてしばらく待つと、必要なコンポーネントも含めて自動的にインストールが完了します図5⁠。インストールが終了後の画面で、⁠Launch」ボタンをクリックすると、WebMatrixが起動します図6⁠。

図5 WebMatrixインストールメッセージ
図5 WebMatrixインストールメッセージ
図6 WebMatrix起動画面
図6 WebMatrix起動画面

WebMatrixでは、WebサイトやWebアプリケーションを新しく作成したり、あるいはVisual StudioなどのようにテンプレートからWebサイトを作成していくことができます。しかし、一番大きな特徴は「Webアプリケーションギャラリー」からOSSをダウンロードし、そのまま改良していくことができる、という点でしょう。前回の記事で紹介したように、WebアプリケーションギャラリーにはたくさんのOSSがアップロードされているので、それらのカスタマイズを行ったり、あるいは学習用途でソースを読んだりということが、簡単にできるようになるのです。

WebMatrixでWordPressのテーマ編集を行う

それでは、ここではWordPressをダウンロードし、テーマの編集を行ってみることにしましょう※。WebMatrixのトップページから、⁠Site From Web Gallary」をクリックします。すると、WebアプリケーションギャラリーにアップロードされているOSSの一覧が表示されるので、その中から「WordPress」をクリックし、⁠Next」ボタンをクリックします図7⁠。

図7 OSS一覧メニュー
図7 OSS一覧メニュー
※ WordPressを使ったことがある人であればご存じでしょうが、テーマ編集はWordPress自体の管理画面から行うこともできます。しかしソースを編集し、Webブラウザで結果を確認する、という作業を何回も繰り返すのであれば、やはりローカルマシンで直接編集作業を行った方がスムーズです。

インストールされるコンポーネントの一覧とEULA(使用許諾契約書)が表示されるので、⁠I Accept」ボタンをクリックします図8⁠。

図8 インストールされるソフトの使用許諾画面
図8 インストールされるソフトの使用許諾画面

後はWeb PIからインストールする場合と同じように、データベースなどの設定を行うことで、WebMatrix上でWordPressを動かせるようになるのです図9図10⁠。⁠データベース名はデフォルトだと「WordPress」になっているので、この連載の前回の記事と同様にすでに「WordPress」という名前のデータベース名を作成している場合は、⁠Database Name」の値を「wordpress2」などの別の名前にする必要があります。)

図9 インストール設定画面
図9 インストール設定画面
図10 インストール完了のメッセージ
図10 インストール完了のメッセージ

ちなみに、この場合はWeb PIからインストールする場合と異なり、WebMatrixによって管理される簡易Webサーバ上でWordPressが稼働することになります。

WordPressのセットアップ終了後に、⁠OK」ボタンをクリックしてWebMatrixに戻ると、WebMatrix上でWordPressのプロジェクトを開いていることがわかります図11⁠。

図11 WordPress起動
図11 WordPress起動

それでは、まずWebMatrix経由でWordPressを起動してみましょう。WebMatrixのリボン(メニュー)にある「Run」ボタンをクリックすると、Webブラウザが起動し、WordPressの画面が開きます。今回はWordPressの初回起動なので、WordPressのセットアップ画面が表示されます図12⁠。とりあえずここでブログ名などの設定をしておきましょう。

図12 WrodPressセットアップ
図12 WrodPressセットアップ

WebMatrixによるソースコード編集

それでは、WordPressの起動が確認できたところで、今度はWordPressのソースコードを見てみることにします。Web Matrix自体が開発ツールとしての機能を含んでおり、C#やVBを使用したASP.NETによるWebサイトや、PHPを使用したWebサイトの開発ができるようになっています。WordPressはPHPで記述されているため、WebMatrixを使用して編集を行うことができるというわけです。

WebMatrixの画面左下にある「Files」をクリックすると、現在WebMatrixで管理をしているWordPressのフォルダにアクセスすることができます。その中にあるphpファイルをダブルクリックで開くと、WebMatrix内でエディタが開き、そのままPHPのソースコードを変更できます図13⁠。また、画面を見ていただくとわかるように、HTMLのソースコードだけでなくPHPでのキーワードもハイライトしてくれます。

図13 WebMatrixのコード編集画面
図13 WebMatrixのコード編集画面

ここで、たとえばデフォルトテーマのサイドバーに表示されている「Blogroll」を非表示にしてみましょう図14⁠。

図14 WordPressのサンプル画面
図14 WordPressのサンプル画面

「wp-content」フォルダ-⁠themes」フォルダ-⁠default」フォルダと開いていって、その中のsidebar.phpを開きます。そして、sidebar.phpの60行目あたりにある「<?php wp_list_bookmarks(); ?>」というソースコードを削除した後図15⁠、変更を保存してWebブラウザでページを再読込すれば、サイドバーの「Blogroll」が非表示になったことが確認できます図16⁠。

図15 ソースコードを編集
図15 ソースコードを編集
図16 サイドバーのBlogroll表示が消えた
図16 サイドバーのBlogroll表示が消えた

またWebMatrixでは、データベースの管理図17やSEO用のチェック図18も行えるようになっています。つまり、WebMatrixとは、Windows上でさまざまなOSSのカスタマイズするための開発環境であると同時に、本番リリースに向けたブラッシュアップなど、Webサイト・Webアプリケーションの作成・管理を一括して行うためのツールであると言えるのです。

図17 データベースのチェック
図17 データベースのチェック
図18 SEO用の被リンクなどのチェック
図18 SEO用の被リンクなどのチェック

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