いま,見ておきたいウェブサイト

第16回 HTML5 Canvas and Audio Experiment,Marunouchi.com,NHK 戦争証言アーカイブス トライアルサイト

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後世に伝える,はじめの一歩

『NHK 戦争証言アーカイブス トライアルサイト』

戦争体験者の証言を取材して,さまざまな番組を制作してきたNHKの「戦争証言プロジェクト」の新しい取り組みとして開設されたウェブサイト,⁠NHK 戦争証言アーカイブス トライアルサイト』です。

図7 

図7 

NHKが全国の約100人の戦争体験者の方々に行ったインタビュー映像や制作したドキュメンタリー番組,貴重な戦時中のニュース映画や録音資料などを,検索機能などを利用しながら視聴できます。

図8 映像や音声などさまざまな資料が視聴できる

図8 映像や音声などさまざまな資料が視聴できる

『NHK 戦争証言アーカイブス トライアルサイト』では,今回の試みについて次のように説明しています。

戦争体験についての証言は,これまでもテレビのドキュメンタリーなどで部分的に紹介されてきましたが,日本人の戦争体験全体を,体系的・総合的に整理し公開するのは初めてのことです。また,証言してくださった方の中には,戦後長く封じ込めてきた記憶や思いを,次世代のためにと,今回初めて語ってくださった方もいらっしゃいます。この「戦争証言アーカイブス」を通じて,戦争体験が「社会の共有財産」となることを願っています。未来に伝えるために。

戦争体験を今後もしっかりと伝えていくためには,何よりも「戦争体験者の声を生で聞く機会を増やすこと」が大切だと思います。しかし,戦争体験者の高齢化により,その機会がなかなか作れなくなってきているという現実があります。

今回のアーカイブスを設置するという試みが,貴重な証言を知るための機会を少しでも増やしていくだけではなく,インターネット上のアーカイブスのあり方について,新しい流れを生み出すのではないかと期待をしています。

Note:
現在は2009年8月13日から10月12日の2か月間限定のウェブサイトですが,2010年夏にはプレサイト,そして2011年冬には1000人の証言を集めたウェブサイトとして生まれ変わる予定となっています。

文化としてのアーカイブ

個人的にも感じていますが,現状ではインターネット上のコンテンツの多くが短期間で消えてしまったり,大きく内容が変化したりするために,後から確認することは非常に困難です。そのため,コンテンツの全体,すなわちウェブサイト自体をアーカイブするという行為が,非常に重要であると考えています。

現在でも,GoogleのキャッシュやWayback Machine』⁠ウェブ魚拓などのサービスを利用して過去のウェブサイトを閲覧することもできますが,完全な形で保存されているものは多くありません。また,現状では,ウェブサイトのコンテンツをアーカイブするために,著作権などの知的財産権や技術的課題など,まだまだ解決しなければならない問題も存在しています。

図9 国立国会図書館によるプロジェクトWARP

図9 国立国会図書館によるプロジェクトWARP

とはいえ,世界各国の国立図書館では,インターネット上で公開されている情報資源を,重要な文化遺産として保存を考える動きがあります。日本でも,国立国会図書館によるインターネット情報選択的蓄積事業 WARP(Web Archiving Project)が始まるなど,少しずつではありますが変化も見られます。

インターネット上のアーカイブスが,後世に伝えていくための有効な手段として発展しながら、どのような影響を与え,人々を変えていくのか。これからの動向を興味深く見守りたいと思います。

というわけで,今回も最後まで読んでいただき,ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。

著者プロフィール

Lançamento(ランサメント)

国内外のウェブサイトを日々紹介する Blog『Lançamento』を運営する,自称“フリーランスという名の無職”。目指すは“エクスペリエンスデザイナー”(O'REILLY『Web情報アーキテクチャ』11ページ参照)。2008年の“ジェフの奇跡的な残留”を目の前で見たサッカー好き。

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