いま,見ておきたいウェブサイト

第49回 2011年特別編 2010年の特徴,2011年の展望

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あけましておめでとうございます。⁠Lancamento - Website, What a Wonderful World!』を運営しているLancamento(ランサメント)です。

『いま,見ておきたいウェブサイト』では,昨年一年間,国内外のウェブサイトをさまざまな角度から解説してきました。2011年の初回である今回は,特別編として,ウェブサイトの持つ特徴から2010年を振り返っていきたいと思います。

特徴その1 "素材"として使われはじめた「Twitter」

2010年のウェブサイトを語る上で,決して外せないキーワードが"Twitter"でしょう。世界中でユーザーが爆発的に拡大し,日本でもTwitterがプロモーションサイトやキャンペーンサイトで使われる事例が急増しました。

すでに前年(2009年)から,Twitterがウェブサイトに組み込まれていたとはいえ,昨年までは,Twitterの持つ情報の広がる速さやリアルタイム性を生かし,⁠発信する情報やコンテンツを,どのように拡散させるか」という点を重要視した事例が多かったと思います。

TwitterのフォロワーとパレードできるIS Parade』⁠ツイートやアイコンなどを利用した表現が見事なウェブサイト

Twitterのフォロワーとパレードできる『IS Parade』。ツイートやアイコンなどを利用した表現が見事なウェブサイト

2010年は,Twitterのツイートを単純に表示させるだけでなく,Twitterが持つ文字情報やハッシュタグ,アイコンなどを,コンテンツを形づくる"データの一部"として利用することで,より多彩な表現を実現したウェブサイトが登場してきました。

昨年一年間,大幅に事例が増えたことで,ウェブサイトにおけるTwitterの使い方は,すでに多様化・成熟化していますが,今後もさらに私たちを驚かせるような,斬新なウェブサイトが登場することを期待しています。

特徴その2 個人から広がった動画配信の楽しさ

インターネットを使って動画を配信する場合,必要な機材や場所の確保,配信システムの用意など,さまざまな準備が必要でしたが,その高いハードルを一気に引き下げたのが,動画共有サービスのUstream(ユーストリーム)です。

ウェブカメラやiPhoneなどのモバイル端末など,身近な機材を利用して,簡単に映像を配信できるこのサービスによって,個性的な動画コンテンツが数多く誕生しました。

今までにない高画質・高音質の中継を実現したDOMMUNE(ドミューン)』⁠マスメディアにも劣らないオリジナルの放送コンテンツが多数の視聴者に支持されている

今までにない高画質・高音質の中継を実現した『DOMMUNE(ドミューン)』。マスメディアにも劣らないオリジナルの放送コンテンツが多数の視聴者に支持されている

2010年をもって活動休止するアーティスト,宇多田ヒカルさんのライブも『Ustream』を通じて生中継された

2010年をもって活動休止するアーティスト,宇多田ヒカルさんのライブも『Ustream』を通じて生中継された

有名ミュージシャンによるコンサートの生中継にも使われましたが,個人的には,マスメディアで取り上げられないようなイベント(例:プロ野球のソフトバンクのリーグ優勝祝賀会)や,行動範囲の広いモバイル端末による生中継から,今までに体験したことのないコンテンツが生まれるのではないかと期待しています。

特徴その3 行動と意識を変える"使い勝手"

私たちの生活の中には,⁠使いにくいけど,とりあえず利用できるから」と,あきらめにも似た感覚を持ちながら,日々利用しているサービスが多数存在しています。2010年は,誰もがそう感じていた身近なサービスを,インターネットを利用して,より使いやすく,便利なものへとシフトさせる試みが多数登場してきました。

図書館にある書籍とその貸し出し状況を検索できるカーリル』⁠Libron(リブロン)と併用することで,図書館の積極的な活用が可能となった

図書館にある書籍とその貸し出し状況を検索できる『カーリル』。「Libron(リブロン)」と併用することで,図書館の積極的な活用が可能となった

受信機がなくても,インターネット経由でラジオが聴けるradiko.jpは,ラジオの聴き方を大きく変えた

受信機がなくても,インターネット経由でラジオが聴ける『radiko.jp』は,ラジオの聴き方を大きく変えた

『カーリル』『radiko.jp』も,"インターネットで既存のサービスを使いやすくしただけ"だと思うかもしれません。ですが,⁠使える」から「使う」へと,"人々の意識と行動を変えた",非常に画期的なウェブサービスだと思います。

私たちが使いづらいと感じるサービスは,まだまだ多数存在します。そのひとつひとつが使いやすいものへと変化すること,そして,それがインターネットの力を利用するものであることを,これからも期待したいと思います。

2011年のウェブサイトを考えてみる

最後に,2011年のウェブサイトについて,少しだけ考えてみました。

多様なTwitterの使い方が登場したことで,今年は単にTwitterを使ったウェブサイトで注目を集めることは難しくなるでしょう。制作側にとっては,すでに登場している多数の事例とは異なる,新たなTwitterの可能性の模索と実現が課題となるはずです。個人的には「ユーザーに目的意識を持たせ,行動へと導き,動かすコンテンツ」が今年のトレンドとなるのではないかと思っていますが,その予測を覆し,新たな驚きを与えてくれるウェブサイトの登場を期待しています。

SNS関連では,日本におけるFacebookの立ち位置にも注目したいと思います。世界中で5億人を超えるユーザーが利用しているFacebookですが,現在,日本ではあまり普及していません。海外ではFacebookのファンページを利用したキャンペーンなどが活発に行われていますが,日本でもユーザー数の増加に応じて,独自のキャンペーンが生まれて来るのか,注目して行きたいところです。

さて,大きく成長したUstreamの陰に隠れ気味でしたが,昨年はYouTubeにも大きな動きがありました。マスメディアが獲得するようなコンテンツの放映権を獲得したり,映画のレンタルサービスを始めたりと,さらに成長するためのビジョンが見えてきました。

中でも,注目されるのは"課金"です。UstreamもYouTubeも,動画共有サイトの新たな仕組みとして,各コンテンツに対する課金をシステム化していく年となりそうです。その仕組みを生かして新たな価値をどう生み出すのか,注目していきたいと思います。

これ以外に,タブレット端末の普及や電子書籍サービスの拡大,PC用の周辺機器(Kinectコントローラーなど)の登場など,外部環境に対するウェブサイトの変化も,非常に興味深いところです。

著者プロフィール

Lançamento(ランサメント)

国内外のウェブサイトを日々紹介する Blog『Lançamento』を運営する,自称“フリーランスという名の無職”。目指すは“エクスペリエンスデザイナー”(O'REILLY『Web情報アーキテクチャ』11ページ参照)。2008年の“ジェフの奇跡的な残留”を目の前で見たサッカー好き。

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