いま、見ておきたいウェブサイト

第50回ずるっこ!Do Nothing for 2 Minutes、CAMPFIRE

雨という天気を忘れそうなほど空気が乾燥して、風邪やインフルエンザにならないように早寝早起きを心がけている今日このごろ、皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた、素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。

"ずる"して、英単語を覚えよう

ずるっこ!

英語で書かれたウェブサイトの内容を読み進めることで、英単語を自然に覚えられるウェブサービス、⁠ずるっこ!』です。

図1 英単語を自然に覚えられる『ずるっこ!』
図1 英単語を自然に覚えられる『ずるっこ!』
credit:登 大遊

英語で書かれたウェブサイトのURLを画面上のボックスに入力し、⁠ずるっこする」ボタンを押すと、ウェブサイトの英単語の上にルビを振る形で、日本語の意味が表示されます。

図2 ガジェット系Blog「Engadget」『ずるっこ!』で表示した場合
図2 ガジェット系Blog「Engadget」を『ずるっこ!』で表示した場合

知っている英単語がある場合は、英単語をクリックすると、表示されている日本語のルビが消えます。消した英単語は意味を覚えた英単語としてまとまられ、Cookieを利用して記憶されていきます。

そのほかにも複数のPCやブラウザで覚えた単語のリストの共有や、英語のページからそのまま翻訳できるブックマークレットなど、便利な機能も用意されています。

ユーザーの求める"サービス"とは

個人的に、海外のウェブサイトで英文記事を読むことがあります。特に「文章の大意をつかみたい」という場合に、よく翻訳サイトを利用するのですが、意味のわからない単語を調べるため、何度も別の辞書サイトへと行き来しなければならない部分に不便さを感じていました。

『ずるっこ!』で翻訳されたウェブサイトでは、文章全体の英単語の上に意味が表示されるので、単語を調べるために辞書サイトへ行く数が激減しました。その結果、文章をスムーズに読み進められるため、大意が素早くつかめます。

また翻訳サイトで多く使われている「原文と翻訳とを別々に表示する」機能では、はっきりしない翻訳がある場合、原文と照らし合わせるために目線を上下に動かさなければなりませんでしたが、⁠ずるっこ!』で翻訳された場合はその必要もなくなりました。

"何気なく繰り返している行為を効率化する"ことで、今までにない使い勝手を持つ、⁠ずるっこ!』のようなウェブサービスが生まれてくる可能性はまだまだありそうです。そして、その「ずる」を簡単に使えるようにすることこそが、ユーザーが求めている最大の"サービス"ではないかと思います。

"2分"という時間の価値

Do Nothing for 2 Minutes

「2分間、何もしないこと」をユーザーに勧めるウェブサイト、⁠Do Nothing for 2 Minutes』です。

図3 2分の間、何もしてはいけないウェブサイト『Do Nothing for 2 Minutes』
図3 2分の間、何もしてはいけないウェブサイト『Do Nothing for 2 Minutes』
credit:Alex TewBen Dowling

画面上で波の音と美しい夕焼けの写真をバックに、2分間のカウントダウンが始まります。表示されている注意"Don't touch your mouse or keyboard."を破って、マウスを操作したり、キーボードに触れたり、ブラウザの画面外に移動したりすると、FAIL(失敗)という文字が表示され、カウントダウンがリセットされてしまいます。

図4 2分間を無事に過ごせば「well done(よくやった⁠⁠」の文字が表示される
図4 2分間を無事に過ごせば「well done(よくやった)」の文字が表示される

「Do Nothing for 2 Minutes」というタイトルの通り、⁠画面の前で何もせず、ただ2分間過ごす」だけのウェブサイトですが、実際にその行為を体験すると、さまざまなことを感じ、考えるのではないでしょうか。

自分の時間を見つめ直す

TwitterやFacebook、mixiなどを使ったコミュニケーションやGoogleやYahoo!などを利用したさまざまな検索、ポータルサイトを利用したニュースのチェックやRSSリーダーによる情報収集…今やPCの前に座っていれば、誰もが時間の切れ目なく、さまざまな形でインターネットを利用しています。

筆者も実際に『Do Nothing for 2 Minutes』を体験してみましたが、マウスやキーボードの入力なしに、2分間をじっと画面の前で過ごすのが、非常に苦痛に感じられました。そして、短い時間でもPCから目を逸らすことがいかに難しいか、また何か違うことをやろうとした時、その行為のほとんどがPC上で展開されているのだと思い知ることになりました。

インターネットが身近なものとなり、日々の生活の中において、誰もがインターネットと切っても切れない関係を結びつつあります。その反面、⁠便利だから」とついつい惰性にも似た感覚で時間を使ってしまうことも多いでしょう。この「何もしない2分間という時間をどう感じるか」という体験をもとに、もう一度、自分の一日の過ごし方、PCを使う時間のバランスなどについて、見つめ直してみるのも良いのではないでしょうか。

そのプロジェクト、実現させます

CAMPFIRE キャンプファイヤー | マイクロ・パトロン・プラットフォーム #campfirejp

クリエイターが立ち上げるプロジェクトの活動費用を、少額の支援によって調達しようという、資金調達プラットフォーム『CAMPFIRE(キャンプファイヤー⁠⁠』です。

図5 プロジェクト費用を多数のユーザーによる少額支援でまかなう「CAMPFIRE」
図5 プロジェクト費用を多数のユーザーによる少額支援でまかなう「CAMPFIRE」

「CAMPFIRE」を使って、クリエイターは自身のプロジェクトを告知(必要な活動費用や支援の募集期間など)します。プロジェクトでは"リターン"と呼ばれるさまざまな特典(クリエイターの過去のプロダクト品やノベルティ、最新情報など)が設定されており、ユーザーは支援した金額に応じて、その特典を獲得する権利を得ます。募集期間内にプロジェクトに必要な活動費用が達成されると、集まった活動資金がクリエイターに手渡されるという仕組みです。

ユーザーの支援を促す"Pledge(誓約)"

海外では、音楽活動に特化したSellaband⁠、ファッションに特化したFashionStakeなど、創作活動を支援する資金調達プラットフォームが多数存在しています。

図6 クリエイティブに関する、あらゆる活動の資金を支援する「Kickstarter」
図6 クリエイティブに関する、あらゆる活動の資金を支援する「Kickstarter」

最も有名なのは、2009年から始まったKickstarterでしょう。最近ではSOURのミュージックビデオ「映し鏡」の制作予算獲得のためにも使用されています。

この「Kickstarter」でも、プロジェクトが実現した場合、支援した金額に応じたユーザーへの"Pledge(誓約)"と呼ばれる特典が用意されています。この特典があるため、"見返りを求めない"寄付とは異なり、⁠プロジェクトを実現させて、自分の欲しい"Pledge"を受け取る」ために参加するユーザーが多いのも、多くのプロジェクトで資金調達が成功している原因でしょう。

図7 ⁠Kickstarter」で殿堂入りしたプロジェクトTikTok+LunaTik Multi-Touch Watch Kitsでは、最終的に94万ドル(約7,700万円)もの資金調達に成功した
図7 「Kickstarter」で殿堂入りしたプロジェクト『TikTok+LunaTik Multi-Touch Watch Kits』では、最終的に94万ドル(約7,700万円)もの資金調達に成功した

デザイナーやミュージシャン、映画監督などのプロジェクトを対象とした「Kickstarter」は、すでに数千万円もの活動資金を調達した事例も登場するなど、クリエイターのプロジェクト開始における資金面の障害を解消する、なくてはならないプラットフォームへと成長しています。日本でもようやく実現した資金調達プラットフォーム「CAMPFIRE」から、世界が注目する日本独自のプロジェクトが次々と生まれてくることを期待したいと思います。

というわけで、今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧