いま,見ておきたいウェブサイト

第73回 2012年特別編 2011年の特徴,2012年の展望

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あけましておめでとうございます。⁠Lançamento - Website, What a Wonderful World!』を運営しているLançamento(ランサメント)です。

『いま,見ておきたいウェブサイト』では,2011年も国内外のウェブサイトを解説してきました。2012年の最初となる今回は,特別編と題して,2011年の登場したウェブサイトの特徴を振り返りながら,2012年の展望を語っていきたいと思います。

特徴その1 東日本大震災とウェブサイト

2011年3月11日,東日本大震災が発生しました。東北地方で発生した大地震と津波によって,多くの人命が失われたこの大震災は,ウェブサイトにも大きな影響を与えました。振り返ってみれば,震災発生の前後で,表現の質が大きく変化した一年でもありました。

そんな中,大震災の直後から,被災地の状況を外部へと伝えるマスメディアの報道とは異なり,被災した地域の人々が生活するための必要な情報を提供するウェブサイトが登場しました。こうしたウェブサイトは,単なる情報発信だけでなく,被災した人々からの要望・意見を拾い上げる役割を担い,さらに,情報によるコミュニケーションで不安を感じる被災者を支える役割を果たしました。

図1 震災後,わずか6時間後に開設された『SAVEJAPAN! PROJECT』⁠震災直後の錯綜していた情報が整理され,有用な情報を拡散するメディアとなった

図1 震災後,わずか6時間後に開設された『SAVEJAPAN! PROJECT』。震災直後の錯綜していた情報が整理され,有用な情報を拡散するメディアとなった

また,⁠被災者のために,何かアクションを起こしたい」という気持ちと,"日頃から鍛えられていたクリエイティブ"が見事に結びついた事例も数多く登場しました。

図2 震災地の復興を手助けする『⁠復興の狼煙」ポスタープロジェクト』⁠ポスターの収益は撮影された自治体へと寄付される

図2 震災地の復興を手助けする『「復興の狼煙」ポスタープロジェクト』。ポスターの収益は撮影された自治体へと寄付される

震災から10か月が経った現在も,立ち上げられたウェブサイトは,まだその役目を終えていません。1995年の阪神・淡路大震災を例とするならば,震災からの復興には,震災直後はもちろんのこと,被災地への長期に及ぶ持続的なサポートが必要となります。ウェブサイトを通じて,震災の中から誕生した被災者・被災地への活動が,今後も長期にわたって継続され,復興への足掛かりとなることを期待したいと思います。

特徴その2 "パララックス(視差)"という表現方法

2011年は,"パララックス(視差)"という言葉をよく耳にしたのではないでしょうか。"左右の目で見える像の差で,奥行きのある立体的な視覚を得る"という,人間の持つ特性を利用した表現を取り入れたウェブサイトが数多く登場し,本連載でもそのいくつかを紹介してきました。

図3 Nikeの考える未来への取り組みを紹介した『Nike Better World』も,パララックスを利用しているウェブサイトの一つ

図3 Nikeの考える未来への取り組みを紹介した『Nike Better World』も,パララックスを利用しているウェブサイトの一つ

ウェブサイト上で奥行き感を強調するため,スクロールと連動させ,複数の要素を異なるスピードで動かします。事例の多くは,⁠HTML5」⁠JavaScript」⁠CSS3」という技術の組み合わせで制作されています。

図4 奥行きのある動きが特徴的なイギリスの独立系コンサルタント「cultural solutions」のウェブサイト

図4 奥行きのある動きが特徴的なイギリスの独立系コンサルタント「cultural solutions」のウェブサイト

こうした視差を利用したウェブサイトは数年前からありましたが,HTML5への関心の高まり,各種ブラウザのCSS3 transformプロパティへの対応,JavaScriptライブラリの充実などによる環境が整い,ようやく2011年に一般化した表現となりました。ウェブサイトでの新たな表現は,今後もこうした形で,まだまだ生まれてきそうです。

著者プロフィール

Lançamento(ランサメント)

国内外のウェブサイトを日々紹介する Blog『Lançamento』を運営する,自称“フリーランスという名の無職”。目指すは“エクスペリエンスデザイナー”(O'REILLY『Web情報アーキテクチャ』11ページ参照)。2008年の“ジェフの奇跡的な残留”を目の前で見たサッカー好き。

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