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第141回 The Next Rembrandt,Kite - Programming copilot,Meet TacoBot, The New Taco Bell Robot Made for Slack - Taco Bell

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風も爽やかな季節がいよいよ終了し,ジメジメとした空気とぱっとしない天気に,暑くても早く日差しが戻って欲しいなと願ってしまう今日このごろ,皆様いかがお過ごしでしょうか。今回も個人的に感じた,素晴らしいサイトの特徴をいくつかお話したいと思います。

現代によみがえる,レンブラントの世界

The Next Rembrandt

INGグループ,Microsoft,TU Delft(デルフト工科大学)⁠Mauritshuis(マウリッツハイス美術館)⁠Rembrandthuis(レンブラントハウス美術館)による共同プロジェクト,⁠The Next Rembrandt」のウェブサイトです。

図1 現代にレンブラントの新作を生み出すプロジェクト,⁠The Next Rembrandt」のウェブサイト

図1 現代にレンブラントの新作を生み出すプロジェクト,「The Next Rembrandt」のウェブサイト

credit:Superhero Cheesecake

バロック絵画を代表する画家,レンブラント・ファン・レインの新作を現代の技術を使って生み出すというこのプロジェクトのウェブサイトでは,レンブラントの新作として生み出された作品が,どのような過程と技術を使って制作されたのかを詳しく解説しています。

「The Next Rembrandt」の内容を説明した動画

「The Next Rembrandt」プロジェクトで制作された⁠レンブラントの新作⁠は,オランダ・アムステルダムのLooiersgracht 60 Galleryで公開されています。

コンピュータだけで,どこまでできるのか

さまざまな技術を駆使して,⁠レンブラントの新作⁠を完成させた「The Next Rembrandt」ですが,その作品完成までの過程を確認しておきましょう。

  • レンブラントの絵画(346点)を3Dスキャナーでデジタルデータ化
  • 基礎データとして利用するため,レンブラントの筆使いや色使い,レイアウトなどの特徴を,深層学習アルゴリズムを用いて分析し,データベース化
  • 新たな作品を制作するための条件(向かって右を向いた30~40代の白人男性の肖像画)を設定
  • レンブラントの作風(顔の各パーツのレイアウト比率や服,その他描き方の特徴)を再現するアルゴリズムを開発
  • アルゴリズムを使い500時間かけて書き出された画像と,絵画から取得した絵具の塗り重ね(凹凸)の3Dデータを合成
  • 最大13層のUVインクを使い,絵画を3Dプリントして完成

こうして新作の絵画が完成するまでのプロセスを一つ一つ確認していくと,いくつかのステップで,人間自身の作業(アルゴリズムを制作するなど)が必要不可欠です。つまり,実際に題材の決定から,絵画の完成までのすべてをコンピュータが自動で実行してくれるという段階ではないことがわかります。

図2 ウェブサイトでは,レンブラントの新作を生み出すための過程と,必要な技術が解説されている

図2 ウェブサイトでは,レンブラントの新作を生み出すための過程と,必要な技術が解説されている

コンピュータによって再現されたものは,画家本人の持っていた意思決定と高度な技術のほんの一部にすぎません。ですが,技術の組み合わせによって,実際にレンブラント本人の新作と言えるレベルの作品が生み出せる領域に到達しています。

「The Next Rembrandt」は,絵画の完成までに18カ月を要しています。これから技術の進歩によって,作品完成までの期間が短くなれば,過去の偉大な画家,作家,音楽家などの新作が,次々とこの現代に生み出されるかも知れません。それがどのような形で現れるのか,期待しながら待ちたいと思います。

著者プロフィール

Lançamento(ランサメント)

国内外のウェブサイトを日々紹介する Blog『Lançamento』を運営する,自称“フリーランスという名の無職”。目指すは“エクスペリエンスデザイナー”(O'REILLY『Web情報アーキテクチャ』11ページ参照)。2008年の“ジェフの奇跡的な残留”を目の前で見たサッカー好き。

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