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第161回 Disney+,Robinhood,Firefox Private Network Beta

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より安全なインターネットのために

Firefox Private Network Beta: Browser Add-On and Full-Device VPN

2019年9月10日にMozillaがベータ版としてリリースしたVPNサービス,⁠Firefox Private Network Beta」のウェブサイトです。

図3 MozillaがリリースしたVPNサービス「Firefox Private Network Beta」のウェブサイト

図3 MozillaがリリースしたVPNサービス「Firefox Private Network Beta」のウェブサイト

VPN(Virtual Private Network)は,インターネット上に仮想の専用線を作り出すことで,やり取りするデータの盗聴や改ざんができないようにする仕組みです。

データを暗号化できるため,安全に通信ができるなどのメリットがあり,⁠Firefox Private Network Beta」でも,主な機能として,公共のWi-Fiにおけるデータの保護(URLや個人情報など)や,IPアドレスの非表示(広告ネットワークなどの閲覧履歴を追跡しないようにすること)を提供します。

12月3日にはベータ版の拡張が行われ,ブラウザの拡張機能を追加すれば,月12時間は無料でサービスが利用できるようになりました。合わせて,Windows 10に対応した月額4.99USドル(約545円)の有料VPNサービス(アメリカのFirefoxアカウントの所有者が対象)も発表されています。

Mozillaが提供するサービスに課金するのは初めてですが,今回の動きは,Mozillaがユーザーのプライバシー保護に力を入れていく姿勢を示すものです。さらにサービスの収入源は,Mozillaの運営にも非常に大きな力となるでしょう。

プライバシーの保護は,個人と企業を変えるか

近年,個人情報に対するプライバシー保護に対して,ユーザーの意識が高まっています。こうした流れの中で,積極的な動きを見せているのがAppleです。最新のiOS13では,位置情報を使用したアプリなどでデータの利用を確認する画面が出るなど,さまざまな個人情報のプライバシー保護に関する機能を強化しています。

図4 Apple公式サイトに用意されたプライバシー関する特別ページ。ブラウザやアプリなどから得られる個人情報と利用に関して,明確に説明している

図4 Apple公式サイトに用意されたプライバシー関する特別ページ。ブラウザやアプリなどから得られる個人情報と利用に関して,明確に説明している

数年前から,iOSの標準ブラウザであるSafariには「インテリジェントトラッキング防止機能」と呼ばれる,ユーザーの閲覧履歴を第三者に追跡させない機能が追加されています。また公式サイトでは,プライバシーに関する特別ページを用意するなど,ユーザーの個人情報をどのように保護しているかを明確にしています。

Appleの場合,企業としての主な収入源は,iPhoneのなどの端末販売と自らが運営するサービスの利用料です。広告収入を主とする企業とは異なり,個人データの収集にあまり積極的でなくても良いという面もあります。そのため,ユーザーの個人情報を端末の外に出さないことで,ユーザーのプライバシーを保護する方法を進めています。

では,広告収入を主とする企業の場合はどうでしょうか。代表的な企業であるGoogleの例を見てみましょう。

Googleの場合,企業としての主な収入源は,ユーザーに関するデータと広告を組み合わせることで得られる広告収入です。位置情報や検索履歴などのデータは,ユーザーが管理するGoogleアカウントに紐付く形でGoogleに提供されます。

個人情報については,Googleがサービスを提供する際に,ユーザーから利用の許諾を得ています。しかし,サービス上で利用されている全ての情報をGoogleに渡すという形については,プライバシー保護の観点から不安を感じる人も多いのではないでしょうか。

図5 Google Blogでは,スマートフォン「Google Pixel 4」のさまざまな機能機能に必要なものは,すべてデバイス内で処理されることを説明している

図5 Google Blogでは,スマートフォン「Google Pixel 4」のさまざまな機能機能に必要なものは,すべてデバイス内で処理されることを説明している

プライバシー保護に不安を感じるユーザーの声に対して,Googleは対策をしていないわけではありません。最新のスマートフォン「Google Pixel 4」では,位置情報や音声認識,画像認識などの機能で得られた情報は,デバイスの中だけで実行・処理されることを明言しています。今後,どのように個人情報を取得・利用しているのかを,利用する企業側が明確にユーザーに伝える重要性はより高まることでしょう。こうしたプライバシー保護に関する動きが,ユーザーからの支持を得られるのかどうか。また,企業のサービスや製品の売上などにも影響が出てくるのかについても,注目していきたいと思います。

というわけで,今回も最後まで読んでいただき,ありがとうございました。それでは次回をおたのしみに。

著者プロフィール

Lançamento(ランサメント)

国内外のウェブサイトを日々紹介する Blog『Lançamento』を運営する,自称“フリーランスという名の無職”。目指すは“エクスペリエンスデザイナー”(O'REILLY『Web情報アーキテクチャ』11ページ参照)。2008年の“ジェフの奇跡的な残留”を目の前で見たサッカー好き。