Webゆえに考える テキスト編集のテクニカルコンセプト

第7回好まれる"話し方"でユーザに接しよう

文章は"会話"を文字に写し取った物です。読者に情報を伝えると同時に、書き手の人柄=パーソナリティ性が色濃く反映されます。

「店員の話し方がイマイチ気に入らなかったから、その店で買うのは止めにした」…誰にでもこんな経験があることでしょう。これと同じことがWebサイトにも当てはまり、テキストコンテンツを読んで感じる"好き嫌い"は、ページビュー数/コンバージョン率/リピート率など、ランディング以降のサイトパフォーマンス全般に大きく影響します。

パーソナリティ性を自由自在に操れるようになるには、かなりの経験が必要ですが、嫌われないようにふるまうだけなら、配慮すべきポイントはそう多くありません。まずは以下にあげるポイントを念頭に、読者の気持ちを考えながら筆を進めてみてください。

はっきりと表現する

文中に「~などには」⁠~したいと思います」といった曖昧な表現が多いと、自信の無さや、何かごまかし・隠し事があるかのような印象を、読者に与えてしまいます。日常会話では問題のないレベルでも、文章にすると目立つ傾向があるので、できるだけ「~には」⁠~します」といった、はっきりした表現に変えておきましょう。

図1
図1

否定的な表現を避ける

文中に「~ですが」⁠~ありません」⁠~出来ません」といった否定的な表現が多いと、陰気で神経質な性格に見えやすくなります。できるだけ「~です」⁠~なので」⁠~出来ます」といった肯定的な表現を用いるようにしましょう。とくに「~出来ないから~しなければならない」といった、否定から始まる論理展開は、押しつけがましい印象を与えてしまうので要注意です。

図2
図2

相手と同じ言葉を使う

人は誰しも、ものの見方や考え方が似ている相手=同じ地平にいる相手を好むものです。文中で使用する単語や表現、例示対象、価値基準は、出来るだけターゲットとするユーザーに合わせておきましょう。例外として、専門性の高いコンテンツや、高額なサービスのセールス文では、若干高めの地平から語る方がユーザーの信頼を得やすいようです。

図3
図3

なれなれしすぎず、へりくだりすぎない態度

相手を立てる/敬意ある態度で話すことは、ビジネス会話の基本中の基本です。一方で、なれなれしい/くだけた態度で話すことにも、距離感を縮め、心の中に入りやすいというメリットがあります。どのような態度でユーザーに接するのが正解かは一概に言えませんが、例文のように、接続詞と文末表現を言い換えるだけでもかなり調整できるので、いろいろな形を試してみましょう。もちろん、どんなケースでも、誰もが不快に感じる過度な敬語表現は禁物です。

図4
図4

熱すぎず、淡泊すぎない態度

ユーザーの心を動かすには、適度な熱意が必要です。あまりに熱心に商品を勧めてくるセールスマンはうっとうしいものですが、あまりに淡々とした態度で応対されても、せっかく芽生えた購買意欲が冷えてしまうものです。これもまた"正解"の見えにくい要素ではありますが、例文のように、感嘆詞や感嘆符の数を調整するだけでも随分変わるので、いろいろな形を試してみましょう。もちろん、どんなケースでも、誇大広告に見えるほど暑苦しくしてしまうのは禁物です。

図5
図5

ターゲットについて十分理解しておく

ユーザーのことを十分理解しないまま書いた文章は、どうしても独りよがりな表現に陥りがちです。似たようなユーザー層をターゲットとする情報(雑誌・Webサイト・テレビ番組など)に目を通しておく、ターゲットとするユーザーに直接会って話をしてみるなど、ターゲットが普段どんな言葉を使い、何を考え、どんな相手を好むのか、実際のところを良く理解してから執筆に入るようにしましょう。少なくとも、ターゲットすら決めずに執筆に入るのだけは厳禁です。

演じる人物像を具体的に設定しておく

より積極的には、ユーザーに対して最も効果的、かつ自分が演じることの出来るパーソナリティを設定してから執筆に臨むと良いでしょう。常に「その人物ならどう言うか」と考えながら書くことで、一言一句の迷いも減り、部分部分での表現のブレを減らすこともできます。はじめのうちは、だれか"著名人"に例えておくと筆が進みやすいでしょう。独自のキャラクターを用意して、そのキャラクターがユーザーに"話しかける"ような形のコンテンツにするのも上手な方法と言えます。

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