短納期・低コストでiPhone/iPad向け業務アプリのビジネスチャンスをつかむには

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iPhone/iPadが日本で販売され、早3年が経ちました。導入コストの低さや優れたインターフェース、モバイル性から近年では企業導入での場面も多くなってきました。

企業ユースにおける業務アプリケーションをiPhone/iPadで動作させるには、さまざまな学習コストが必要です。画面の大きさやユーザインターフェース、開発言語、既存リソースの移行…… PC向けアプリを実装するのとはまったく違った経験を要求されます。

そこで本レポートでは高速開発ツールと専用のプラットフォームを使った、短納期・低コストで実現するiPhone/iPad向け業務アプリケーションの開発メリットについてご紹介したいと思います。

新しいアプローチの発見

開発言語を使ってあらゆる機能を書くというは、開発者の醍醐味とするところです。とはいうものの、効率的な開発や顧客の細かなニーズへの素早い対応こそが、ビジネスの成功の秘訣です。

今回紹介する開発ツールは、とても豊富な機能があらかじめ実装されたツールであり、現在のビジネスに求められるiPhone、iPad、Windows、Mac、Web全てのプラットフォームをサポートします。また、インターフェース開発、ビジネスロジック開発、データマネジメント開発の3層が統合された構造なため、開発工程が大幅に縮められます。そして、優れた直感的なユーザインターフェースは、効率的で高速な開発作業を実現します。

さて、そのツールは、FileMakerが提供するFileMaker製品ラインです。日本語も含めた14言語をサポートし、世界の60カ国で利用されています。FileMakerは、IT市場の牽引者のAppleの100%出資を受けた子会社です。FileMaker製品ラインは、使いやすさと拡張性の高さが定評のリレーショナルデータベースソフトウェアとして、あらゆる業種のあらゆる業務に利用されており、世界で1600万本以上が出荷されています。

そのiPhone/iPad専用に開発され提供されているアプリが「FileMaker Go」です。FileMaker製品は、IT業界の草創期からの歴史をもった製品なので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。新たに誕生する技術や業界標準の技術を常に取り入れながら、着実な進化を遂げています。すでにFileMakerをご存知の方も、その進化した姿を本記事にて再検証してみてはいかがでしょうか?それでは、まず、FileMaker Goの特徴を簡単にチェックしてみましょう。

iPhone/iPad向け業務アプリケーションを開発&展開するための最も速い方法

iPhone/iPad向けにリリースされているFileMaker Go for iPhoneFileMaker Go for iPadでは、FileMaker Proで作成した業務アプリケーションをiOS上で動作させることができます。スクリプトやリレーションを組んだデータベースアプリケーションを、そのままiPhone/iPadで利用可能になります。タッチジェスチャやピンチ、ダブルタップといった操作にももちろん対応しています。iOSの操作感を、アプリケーション上に簡単に実現することが可能です。

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iPhone/iPad専用アプリFileMaker Goの特徴

FileMaker Proで作成、FileMaker Goで活用

専用のiOSビジネスソリューション作成&活用

  • 一覧、詳細、表形式など、多様なデータ表示
  • 見栄えのいいレイアウトを自在に作成
  • スクリプトや自動処理機能を活用可能
  • 充実のリレーショナルモデルとセキュリティ
  • SQLソースへの接続が可能
  • FileMaker Server を利用したセキュアな運用
  • ソリューションの機能拡張の自動更新

タッチ操作のための秀逸のインターフェース

  • iPhoneやiPadのインターフェースために設計されたコントロール&メニュー
  • ジェスチャのサポート:ピンチ、スワイプ、タップ、ダブルタップ

リモート接続、もしくはデータベースのコピー

  • サーバやデスクトップ上のFileMakerデータベースにリモート接続が可能
  • FileMakerデータベースをEメールで転送、WebやFTPで配布、またはiTunesでコピー

リモート接続して、ネットワーク共有利用

FileMaker GoはFileMaker Proのクライアント版として動作します。レイアウトやスクリプトの変更や作成といった設計変更はFileMaker Proで行います。WindowsやMacの業務アプリケーションをこれまでFileMaker Proで開発してきた要領で、iOS向けアプリケーションを開発するスタイルとなります。

また、SQL Sever、Oracle、MySQLなどのSQLデータベースとライブ接続が可能ですので、既存のSQLベースのアプリケーション向けにiPhone/iPadサポート機能を追加することもできます。

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ほかのiOSアプリケーションとも連携を取れるようにさまざまな機能が用意されています。たとえばバーコードリーダーでデータを読み取り、特定のスキーマを使用することでFileMaker Goにそのデータを渡し、FileMakerで別の処理を行うといったことも可能です。

AirPrintを使い、これまで利用してきた定型の帳票類を紙に印刷したり、PDFにすることができます。A4やB5など、これまで利用してきたサイズとレイアウトを変更すすことなく行えます。たとえば、外出先でFileMaker Goで見積書を作成してそのまま印刷したり、PDFを作成してメールに添付して送信することをiPhoneやiPad上で実現して、ビジネスを効率化できます。iPhone/iPadの優れたユーザエクスペリエンスを、業務アプリケーション上で活用できるようになるのです。

セキュアな FileMaker Sever による運用

作成したアプリケーションはFileMaker Serverに公開してWiFiや3G回線経由で利用が、可能です。

この場合、データは全てサーバにありますし、サーバのセキュリティ設定がこれまでのように利用できます。VPNを利用したアクセスも可能です。また、FileMaker Sever側でチェックボックスにチェックを入れるだけ、FileMaker Goとのデータ転送にSSLを利用もできるようになりますので、安全な運用が可能になります。

さらに、アクセス権設定によるアカウント管理により、フィールド、レコード、ファイル、スクリプトなどに対してのアクセス権管理が可能で、利用するユーザのアカウントごとのソリューションの機能制限が可能です。ソリューションの機能拡張もFileMaker Server側で一度実施するだけで、自動的にすべての利用者がすぐに利用できるようになりますので、ビジネスの進歩に合わせた機能追加が柔軟に、短時間で、しかも安全に行えます。

図1 FileMaker Serverにファイルをホストし、FileMaker Pro/FileMaker Goで利用
図1 FileMaker Serverにファイルをホストし、FileMaker Pro/FileMaker Goで利用
図2 外部ネットワークや、VPNネットワーク越しでの利用も可能
図2 外部ネットワークや、VPNネットワーク越しでの利用も可能

Phone/iPadにコピーして活用

iPhoneやiPadにファイルをコピーして、スタンドアロンで動作させるといったこともできます。何らかの事情でネットワークが利用できない場所でも利用できます。たとえば、訪問営業先でネットワークの確保が不安な場合は、電子カタログや接客ツールをスタンドアロンで利用する方法が可能です。

図3 iTunes経由かメールに添付して、FileMakerファイルをiOSデバイスにコピー
図3 iTunes経由かメールに添付して、FileMakerファイルをiOSデバイスにコピー

ここまで手短に説明しましたが、FileMaker Goの詳しい概要や新機能、ホワイトペーパーなどは、下記を参照すると良いでしょう。

デモムービーFileMaker Go for IT
URL:http://www.filemaker.co.jp/link/GHY_GO_IT.html
FileMaker Go概要
URL:http://www.filemaker.co.jp/link/GHY_GO_OV.html
FileMaker Go新機能
URL:http://www.filemaker.co.jp/link/GHY_GO_NF.html
ホワイトペーパー(PDF)iPadおよびiPhone向け高速開発に革新的オプション
URL:http://www.filemaker.co.jp/link/GHY_GO_WP.html

FileMaker Goを使ったモバイル業務アプリを開発する際には、以下の無料キットで使い方を学ぶのも良いでしょう。

iOSデプロイメントキット
URL:http://www.filemaker.co.jp/link/GHY_IOS.html
テクニカルリソースキット
URL:http://www.filemaker.co.jp/link/GHY_TRK.html

また、FileMaker社が提供するコミュニティ「FileMaker TechNet」や、ユーザ事例や開発方法を直に学ぶことができる「FileMaker カンファレンス 2011 」など、実際にユーザの生の声や情報を収集する機会もあります。詳しくは記事の後半でも説明しますが、これらで情報を収集するのも良いでしょう。

FileMaker TechNet
URL:http://www.filemaker.co.jp/link/GHY_TN.html
FileMaker カンファレンス 2011
URL:http://www.filemaker.co.jp/link/GHY_CON.html

iPhone/iPadソリューションの最近の導入事例

FileMaker GoもほかのFileMakerプロダクトと同様、ワークグループアプリケーションにおいてその恩恵を大きく受けることができます。FileMaker Goの最近の導入事例を見てみましょう。

ホテル
食材仕入れや販売、労務情報などをiPadで情報管理
ビンテージ楽器専門店
iPhone上で商品の検索・更新が可能になり、よりタイムリーな販売システムを構築
コーヒーショップ
店内スタッフのサポート役として、コーヒー豆のフレーバーやテイスト、産地情報をiPadで表示。また、レジと連動したオーダリングシステムとしても機能
医療業界
5,000以上の専門用語を辞書化し、FileMakerに。iPhone/iPadで共有することで、提案書や議事録の作成時に効率向上。電子カルテや症例記入表をiPhone/iPad上で実現
スキーインストラクター
スキー事故の予防策と、ケースごとに異なる救急法をまとめ、iPhone/iPadで参照。電波の届かない雪山でも利用可能
レンタカー業
営業担当者がチェックイン・チェックアウトの操作をiPadで実現。法人向け営業では、その場で見積書を作成・送信し、業務効率を図る
イベントプロモーション会社
ポスターを張る店舗の確認、顧客メモの記録、壁に貼られたポスターの撮影など、これまで煩雑だった管理業務がiPod touchを活用。効率的な情報管理とレポート作成により、スタッフのモチベーションと顧客満足度が向上

このように、個人レベルの業務から、さまざまなビジネスの場面において活躍していることがわかります。多くのiPhone/iPadの事例がファイルメーカー社のFileMaker活用事例で紹介されていますので、こちらをご覧ください。

FileMaker Goにおいて注目しておきたい点は、開発開始から運用開始までの時間の短さです。多種多様な業態・業務において、モバイルデバイスにおけるビジネスの可能性をいち早く手にすることができる、最速の手段と言えるでしょう。

今日からはじめるFileMaker Go - スターターソリューションをチェック

FileMaker社では、FileMaker Goでカスタムビジネスソリューションをより簡単に実現するために、2種類のキットを無償にて配布しています。

FileMaker "On the Go" キット

おもに一般ユーザ向けを対象としているキットです。FileMaker Goをすぐに使い始めるにあたって、テンプレートやサンプルファイル、使い方のビデオや収録されています。

  • すぐ使えるスターターソリューション
  • FileMaker Pro 無料評価版
  • FileMaker Go サンプルファイル
  • FileMaker Pro 概要ビデオ
  • FileMaker Go デモビデオ

FileMaker Goを購入し、何ができるのかを模索している方はまずこれらをチェックしてみると良いでしょう。

FileMaker iOSデプロイメントキット

おもにITユーザや開発者向けを対象としているキットです。FileMaker Goの各種ガイドラインや、仕様について書かれたテクニカルブリーフ、ROIホワイトペーパーが収録されています。

  • FileMaker Pro 無料評価版
  • FileMaker Server Advanced 無料評価版
  • FileMaker ROI ホワイトペーパー
  • FileMaker Go テクニカルブリーフ
  • FileMaker Go デベロプメントガイド
  • FileMaker Go サンプルファイル
  • FileMaker Pro と FileMaker Go のデモビデオ

FileMaker Goを使ったビジネスアプリの展開を考えている方や、現役のFileMakerデベロッパはぜひチェックしておきたいキットとなっています。

2種類のキットの詳細については、FileMaker社のサイト - FileMaker "On the Go" キットにて確認することができます。まずはサンプルビデオをチェックし、どのようなことが実現できるのかを把握しておきたいところです。

より詳しい情報を知りたい方はFileMaker カンファレンスをチェック

FileMaker ProやFileMaker Goのソリューションやビジネスをチェックしたい場合は、ぜひFileMaker カンファレンスに足を運んでみましょう。3回目の開催となるFileMaker カンファレンスでは、FileMaker Goをはじめとするさまざまなユーザ事例やソリューションの開発手法を学ぶことができるほか、最終日のクロージングセッションでは、ビュッフェ式懇親会で、FileMakerユーザ同士、開発者やFileMaker社員と親交を深めることにより、ビジネスに役立つネットワーク作りや情報交換ができる貴重な機会です。

スペシャルイベント
ファイルメーカー株式会社の社長、Bill Epling氏によるFileMakerのビジネスアップデートや、FileMaker Inc.のシステムエンジニアリング・ディレクタである Andrew LeCates氏によるFileMaker製品の最新バージョンにおけるテクニカルアップデートのプレゼンなど
iPhone & iPadトラック
FileMaker GoとiPhone/iPadを活用した開発事例や、導入に向けてのベストプラクティスを紹介
FTSトラック(有料)
通常5日間(40時間)程度で実施されているFileMaker Training Series(FTS)トレーニングコースを、1日5セッション、5時間に凝縮したダイジェスト。FileMakerが公認するFileMaker Authorized Trainerによるトレーニングを受ける絶好の機会です
ソリューショントラック
中規模アプリケーションから期間システムとの連携まで、大規模ソリューションにおける開発事例の紹介
テクニカルトラック
FileMaker Proの開発テクニックから、デザイン、ティップス、FileMaker Serverの管理・メンテナンス手法を幅広く紹介
Webトラック
FileMakerでのWebアプリケーション開発・運用事例といった、Web案件に特化した事例やテクニックを紹介
メディカルトラック
災害時における病院情報の統合管理や、診療リソース統合管理システム、iPhone/iPadを活用した電子カルテシステムなど、医療現場における先進的なFileMakerの活用方法や導入事例を紹介
ショウケース
FileMakerソリューションのコンサルタントやFBAメンバー企業がブース出展し、導入事例やパッケージ製品をチェックできる

これらのトラックはTFSトラックを除いて無償で参加することができます。自分がFileMakerでどのようなものを作成したいか、どのようなビジネスを目指しているかを整理した上で各セッションに参加することで、今後の仕事に効果的に活かすことができるようになるでしょう。

FileMaker カンファレンスは事前登録制となっています。参加を希望される方は、早めに申し込んでおきましょう。

FileMakerコミュニティを活用

FileMakerの熱心なユーザ、デザイナー、デベロッパなどのコミュニティ、FileMaker Technical Network(以下TechNet)は、FileMakerを使うユーザ・デベロッパ・デザイナ向けに、さまざまな技術情報を提供し合うコミュニティの場です。FileMakerの最新技術情報や知識を、いち早くキャッチすることができます。また、ほかのFileMakerユーザやデベロッパとの交流をはかりながら、さまざまなFileMakerの技術や特性を学べるWebサイトとなっています。

Technetは会員制となっています。FileMaker カンファレンスと一緒にチェックしておきましょう。


FileMaker製品を使った短納期・低コストで実現するiPhone/iPad向け業務アプリケーションの導入事例レポート、いかがだったでしょうか。日々刻々と変化する現場業務においてFileMakerを活用すれば、煩雑なシステム開発がビジネスチャンスとなるきっかけになることがおわかりいただけたかと思います。

また、昨年のFileMaker カンファレンスでは、当時まだFileMaker Goがリリースされて間もない製品にもかかわらず、ブースにはすでにFileMaker Goソリューションが数多く展示されており、どれも盛況を博していました。今回のFileMaker カンファレンスでは専用のトラックが設けられたことから、FileMaker Goを使用したモバイルソリューションが、ユーザ間や企業間で広く注目されていることがうかがえます。業務アプリケーションのモバイル展開を考えている方は、ぜひ参加してみましょう。

まずは無償のスターターソリューションをチェックし、ビデオとサンプルファイルを参考にしながら、手元のルーチンワークをFileMaker Pro/FileMaker Goで効率化するところからはじめてみませんか。

従来型の開発はコスト高。高速な統合開発環境を利用

これまで紹介してきたiPhone/iPad専用アプリFileMaker Goで活用する業務アプリケーションは、FileMaker Proで開発します。以降で、FileMaker Proでの開発メリットを紹介します。

  • 優れたインターフェースと学習コストの低さ
  • 既存リソース・情報共有力の高さ
  • 運用中のプログラムに対しての変更・拡張が容易
  • すぐれた管理インタフェース

優れたインターフェースと学習コストの低さ

ビジネスの効率化のためのIT活用の根幹となるデータベースソフトウェアは、当然高機能であるべきですが、加えて、誰もが扱えるツールでもある「使いやすさ」を備えていることが必須というのがFileMakerの製品設計の原点です。

FileMakerを使い始めるにあたっては、開発言語を修得する必要はありません。各種プログラミング言語やSQL文の知識も必要なく、テーブルやフィールドの追加、リレーションの設定から画面設計まですべてGUIで行うことが可能です。それは、インターフェース開発、ビジネスロジック開発、データマネジメント開発の3層が統合された製品設計によります。これにより、ビルド、コンパイルといった工程もなくアプリケーションを完成することができます。

一連の操作やデータの加工を自動化したい場合は、スクリプト機能を使用します。このスクリプトも、GUIでスクリプトステップと呼ばれる処理を組み合わせていくだけで簡単に作成できます。また、チュートリアルやテンプレートも充実しており、簡単にアプリケーションを構築できます。

図4 従来型の開発は高コスト
図4 従来型の開発は高コスト

既存リソース・情報共有力の高さ

一度作成したFileMakerアプリケーションは、⁠FileMakerファイルを渡す」⁠データベース共有機能を使って、ネットワーク内のほかのユーザと共有」といった方法でほかのユーザと簡単に共有することができます。

このツールが秀逸なところのもうひとつが、このネットワーク共有機能をあらかじめ実装しているところです。iPhone、iPad、Windows、Mac、Webの全てのプラットフォームで共有できます。ネットワーク共有のために別途の開発は必要としません。FileMaker 製品のネットワーク共有機能にチェックを入れるだけです。

業務アプリケーションでは、数多くの社員がさまざまな利用環境から活用できることを求められますので、それをあらかじめ機能としてプラットフォームが実装していることは、開発側にとっては効率化になりますし、メーカがサポートしているという信頼もあります。

また、FileMaker Serverを導入すれば、100人や1,000人単位といった規模でアプリケーションを共有することが可能になります。

図5 FileMaker Proのデータベース共有機能を使用すれば、iPhone、iPad、Windows、Mac、Web全てのプラットフォームでの共有利用が可能
図5 FileMaker Proのデータベース共有機能を使用すれば、iPhone、iPad、Windows、Mac、Web全てのプラットフォームでの共有利用が可能

運用中のプログラムに対しての変更・拡張が容易

運用中のアプリケーションでも、気にすることなくプログラムやスクリプトの変更・拡張が可能です。稼働しているデータベースのテーブルにフィールドを追加することや、リレーションを変更することも可能です。

これらは作成時と同様、すべてGUIを使って直感的に行うことができます。ビルド・コンパイルといった手順もありません。

すぐれた管理インターフェース

FileMakerはシステム管理者向けのユーザインタフェースも洗練されています。FileMaker Server管理ツールはGUIで操作できる使いやすさに機能も充実しており、動作設定やActive Directoryとの連携、各種バックアップスケジュールやログ解析を簡単な操作で行うことが可能です。

定期的に実行するバッチ用途のスケジュールでは、FileMaker上で動作するスクリプトのほか、シェルスクリプトを指定することもできます。またこのツールはJavaで作成されており、Windows / Mac OS X両方で同じような操作感覚を提供しています。

また、CUI版の管理ツールが用意されていることも注目しておきたい点です。ssh(1)などでリモートログインし、FileMaker Serverのメンテナンスを行うことができます。

運用中のアプリケーションにもデータベース定義や画面の修正が行えることや、スクリプトで簡単にレコードの操作が可能なことから、FileMakerは取り分けデータベースロジックの変更に強い側面を持っています。

本来、システム開発は仕様を決めてからはじめて開発するのが常です。しかしながら実際の現場では、スタートアップの事業や業務が固まりきっていない状態、予算やスケジュールの都合上、なかなか都合よく設計・開発が進まないこともままあります。このような場面でも柔軟に対応できるFileMakerは、有効な選択肢のひとつと言えるでしょう。

これらの特長から小規模ビジネスの全体、中小企業から大企業までのワークグループ、そして教育、非営利団体から公共機関まで、多種多様なビジネスの場で活用されています。

FileMakerが活きるところは、エンタープライズアプリケーションとデスクトップアプリケーションの中間層

業務アプリケーションを場面ごとに大別すると、おもに次の3層に分かれます。

エンタープライズアプリケーション
大規模ビジネスの基幹業務や経理ソフトウェア。OracleやSQLで実現
ワークグループアプリケーション
プロジェクト管理やR&D、部門単位の業務など、比較的中規模の業務をこなすソフトウェア
デスクトップアプリケーション
営業レポートや集計表、スケジュール管理など、比較的小規模業務をこなすソフトウェア。ExcelやAccessで実現

IT部門がある企業の場合、そのリソースのほとんどがエンタープライズアプリケーションに割かれがちです。ワークグループアプリケーションやデスクトップアプリケーションは、グループ内のITに詳しい方が業務効率向上のために、プリインストールされているソフトウェアでプログラミングをしたり、メンテナンスをしていたりします。

パッケージの業務アプリーケーションが想定する業務と自社の業務がマッチしない場合、自らの手で業務を分析し、設計し、プログラミングを行い、運用に乗せる必要があります。既存のアプリケーションを拡張する場合にいたっては、専門的なSQL・プログラミングの知識が要求されたり、既存の資産をどう引き継ぐか・または捨てるかの選択を迫られます。

FileMakerはこの「ワークグループアプリケーション」という中間層にマッチした特性を持っています。すぐれた開発ユーザインターフェースに加えて

インターフェース・ビジネスロジック・データマネジメントのすべてをFileMaker単体でカバー
HTMLやプログラミング言語、SQLの習得は不要
業界標準の技術をベースとしている
SQLやOracle、Webアプリケーションとも連携可能
デスクトップアプリケーションとの親和性の高さ
CSVやExcelをはじめとしたファイルのインポート/エクスポートをサポート、既存の資産を有効利用。単体でPDFの出力も可能

これらの特長を兼ね備えており、スクラッチからはじめる開発でも、金銭的・時間的コストを1/2~1/3に圧縮することが可能になります。数日で設計やアプリケーションの変更をでき、運用中のアプリケーションに素早く反映できます。少ない人員リソースと設計・開発時間の中でも、最良の結果を得られる開発環境と言えるでしょう。そのため、企業内のIT部門が迅速な開発を実現するため、またワークグループ内のIT担当が業務アプリケーションを開発するためにFileMakerを選んでします。

図6 FileMakerが活きるところは、エンタープライズアプリケーションとデスクトップアプリケーションの中間層 - 部門長から企業内の大部分を占めるナレッジーワーカーが利用するワークグループアプリケーション
図6 FileMakerが活きるところは、エンタープライズアプリケーションとデスクトップアプリケーションの中間層 - 部門長から企業内の大部分を占めるナレッジーワーカーが利用するワークグループアプリケーション
図7 FileMaker Pro/FileMaker ServerはODBC/JDBCで外部QSLデータベースとの連携が可能。各種アプリケーションとの親和性も高い
図7 FileMaker Pro/FileMaker ServerはODBC/JDBCで外部QSLデータベースとの連携が可能。各種アプリケーションとの親和性も高い

アプリケーションに求められる要望が増えることで、ソリューション全体のレベルも上がってきます。このようなときは、FileMakerをベースにした業務アプリケーション開発のスペシャリストが集まるFileMaker Business Alliance(以降、FBAと表記)メンバーに相談することでさらに効果的な開発を進めることが可能です。FBAに所属するサードパーティが開発の協力に入り、業務のコンサルティングからFileMakerの拡張・改良まで、幅広いサポートを受けられます。

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