第4話 はじめてのリーダー,頑張るぞ
2008年4月28日

この春,新しくグループリーダーに昇格したT本さん。オトコ2人,オンナ1人のチームを配下に従えて,自社製品となるパッケージソフトの開発に乗り出すこととなりました。
「リーダーとなったからには,これはオレの製品だ! よぉし,イイものに仕上げて見せるぞ!!」
そんな感じに,鼻息荒く心の中で誓ったものでした。
しかし,プロジェクトがスタートしてはや数ヶ月…。
「むぅ,なんか胃が痛いなぁ」
なんだかストレスの多い今日この頃です。
この数ヶ月,部下の子たちは一生懸命に働いてくれています。
まずはじまったのが,仕様決めの会議会議にまた会議…という繰り返しでした。会議ではみんな,「製品を良くするために」と毎回提案を心がけてくれて,場合によってはプロトタイプまで作ってくれてと,どの会議も活気あるいい内容だったと思います。
「でも,なんか仕様が浅いんだよな」
それがT本さんの素直な感想でした。
機能としての目新しさは追っかけてるんだけど,使う側にたった練り込み感が足りない。つまりは,なんか使いやすくない。
当初は,「オレだったらこうするな」「こう考えないと使いづらいよ」など,出てきた提案に対して率直に意見していたT本さんでした。ところが,部下の子たちの反応を見ていると,スパッと言ったことがあまりにそのまま受け止められてしまっているのです。
つまりT本さんがなにかを言えば,そのままそこはそれが最終決定になってしまう…。
「それじゃ,みんなでやってる意味がないよな。それはオレの思ってる上司像とは違う」
そう考えたT本さんは,極力みんなの意見を尊重するように態度を改め,そうして今に至るのでした。日々心がけているのは,「いかにして皆の意見を吸い出すか」です。
その結果,なにか今ひとつ練り込まれてない感がただよってる。正直壁にぶちあたってる気がする。そんなT本さんでありました。
…それと同時に,悩ましいことがもうひとつ。
「おい,T本。お前がやってる製品のな,売上予想出せよ」
声をかけてきたのはF沢課長。リーダーになってからというもの,売上計画とか開発計画とか,やたらめったら計画書計画書と求められるようになったのです。

「開発のリーダーなんて,ひょっとすると雑用係みたいなもんで,ぜんぜん自分の自由には振る舞えない立場なんですねぇ」
休憩所でそんな風にこぼすT本くんの言葉を受けて,F沢課長は言いました。
「だったらお前,好き勝手にみんなを引っ張りまわしゃいいだけだろ。それができないんだったら,まぁそうなるわな必然的にな」
それができる性格なら悩んでません。そんな恨みがましい目で課長を見上げるT本さん。
果たして彼の抱える開発グループは,満足のいく製品を世に送り出すことができるのでしょうか。少なくともそれまでT本さんの胃は,シクシクと痛むことになりそうです。
「あ,T本。あの売上計画じゃダメだぞ。あれじゃウチの課の目標に達成せんからな」
シクシクシク。
それは胃の痛む音なのか,それとも涙の音なのか。T本さんだけがその答えを知るのです。



