Google Earthのコンテンツでリッチな表現を

第4回 コンテンツが映える3つの技

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3.さらにダイナミックなグラフを実現する

Google Earthでは,さらにダイナミックにグラフを表現することが可能です。Google Earth Pro以上でそれが可能になっているのですが,通常のGoogle Earthでは,そのままでは実現することができません。

それを可能にするものとはなにかというと,GISの世界ではポピュラーに利用されているshapefileと呼ばれるファイルになります。このshapefileに入っているデータベースに値を書き込み,ツールを使うことで,通常のGoogle Earthでもそのダイナミックな結果を得ることが可能です。

図6 日本列島丸ごとグラフ化

図6 日本列島丸ごとグラフ化

Shapefileはポリゴンデータや位置情報を扱うためのファイル形式であり,プレイスマークの情報等を格納するデータベースとポリゴンデータそのものが一緒になったファイル群です。そして,このshapefileをKMLに変換するためのツールが,shp2kmlと呼ばれるフリーソフトです。また,shp2kmlではデータベースの値の変更ができないので,あわせてデータベースの値の変更を行うためのツールも同時に使用します。それが,DBFExplorerです。こちらは,shapefileのファイル群に含まれているデータベースDBFファイルを編集するためのフリーソフトです。

また,今回はshapefileとして,ESRI社が提供しているフリーのShapefileを加工し配布しているRjpWikiのshapefileライブラリの使用条件により,データそのものは配布することができませんが,利用した結果どのような結果を得られるのかをスクリーンショットで示すと次の図のようになります。

図7 平成16年人口動態統計月報年計をグラフ化

図7 平成16年人口動態統計月報年計をグラフ化

上図は,厚生労働省が公開しているいわゆる「出生率」に関する都道府県別の統計データを元に,shapefileにデータを追加し,出生率で高さと色分けを表現しています。対象となる拡張子がSHPのファイルをshp2kmlに読み込ませます。

図8 shapefile群

図8 shapefile群

左の画像が,RjpWikiサイトからダウンロードしたshapefile群で,japank.shpがその対象となるshapefileでデータベースが,japank.dbfというファイルです。あらかじめ統計データそのものは,DBF Explorerでjapank.dbfに列を追加し,値を追加しています。追加する値は,出生率の列および出生率に応じた高さを表現するための数値(出生率を1000倍した値)を列としています。

図9 shpファイルを読み込ませた

図9 shpファイルを読み込ませた

そして,そのshpファイルをshp2kmlへ読み込ませた状態が,図9です。かならず,DatumはWGS 1984を選択するようにしてください。

この後,NextボタンでWizard形式で変換設定を施していきます。英語のソフトウェアの為日本語が使えない不便な点があります。そのままでは,作成後のプレイスマークのタイトルなどが文字化けします。タイトルやプレイスマーク名は後からGoogle Earth上で修正しましょう。

このツールも非常に多機能ですべてを紹介することができませんが,ポイントとなる部分は,この後に設定する,色の設定(Symbology)「Unique Value」を選択することです。それにより,図7のように,値によって色分けをしたり,Balloon Difinitionを利用することで,データベースから読み込んだデータを,プレイスマークのバルーンに取り込めるようになります。また,最後に"どの値をもって,高さを表現するのか?(3D Option)"が用意されているので,好みに応じて設定を施すことができます。以上の指定が終わった後にKMLとして保存して,Google Earthで読み込ませます。

今回の場合,出生率を「Unique Value」で10段階区分表示,そして,高さを1000倍した値を格納した列を指定しています。

また,今回使用したshapefileを提供しているRjpWikiでは,R for Windowsを利用してshapefileをKMLに変換する手段を提供していますが,環境を整えるだけでも相応の準備が必要です。

これら,ツールを用いて完成したKMLにスクリーンオーバーレイで凡例を追加し,エリアによって説明文が表示される仕組み(Region設定⁠⁠,さらには,複数のポリゴンをタイムスケールで表現するなど,これまで紹介した様々なテクニックを組み合わせることで,ひとつの完成したプレゼンテーション資料が完成します。1つ1つじっくりと作り込んでみましょう。

さて,今回はKMLそのものというよりも,KMLで実現できるインパクトの強い表現方法を主に説明しましたが,最近では様々な専用ツールや3Dポリゴンツールが標準でKMLに対応を始めています。高価なツールが多いのでなかなか手がでませんが,フリーソフトでも,ここまで実現することができるようになっています。お手持ちのコンテンツの表現方法に是非,これら動的な表現やグラフを取り入れてみてはいかがでしょうか?

著者プロフィール

郡司裕之(ぐんじひろゆき)

Google Earthを主に取り扱っているウェブサイト「GE Maniacs」の管理人。過去に2冊のGoogle Earthに関する書籍を執筆。一つはGoogle Earth全般の操作に関する書籍,もう一つはKML / COM APIのKMLに関する書籍のKML部分を担当。

無類の地図好きで,夢のツールGoogle Earthを普通に使うに飽きたらず,道具として,また新しい技術習得の土台としての利用を試みている毎日。

URLhttp://virtual.haru.gs/