1年目から身につけたい! チーム開発 6つの心得

第7章 周りの人と協力しあおう―報告・相談に欠かせない3つの情報

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協力を求めよう

個々人がバラバラに作業していては実現できないことでも,チームとして協力し合えば実現できる場合があります。チームで開発しているのであれば,チームならではの力を発揮しないともったいないです。

開発を進めていて,実装のしかたがわからなかったり,実装してみても意図どおりに動かなかったりという風に行き詰まることはよくあります。そのような場合に周囲の人にアドバイスを求めると,1人で考えていては気づかなかった視点を得られたり,知らなかったことを教えてもらえたりして,行き詰まりの解消につながることがあります。

とはいえ,⁠動かないんです」と言って泣きつくだけでは良い結果にはつながりません。良いアドバイスを得るためには,良い相談のしかたで相談する必要があります。

良いアドバイスをもらいやすい相談のしかた

良いアドバイスとは,状況に即した的確な助言のことです。どんなに一般論としてためになる話でも,状況にそぐわないものはアドバイスとは言えません。たとえば,次のようなものは的外れなアドバイスでしょう。

  • 全然違う状況の話をされる
  • 全然違うゴールに向かうための話をされる
  • すでに試して駄目だった案について「これを試してみたら?」と言われる

とはいえ,助言するほうもわざわざ的外れなことを言いたいわけではありません。時間を割いてアドバイスをするからには,有効なアドバイスをしたいと思ってくれていることでしょう。ですから,相談を持ちかけた相手がアドバイスをしやすいような相談のしかたをすることが大切です。

相談するときには,的外れな助言にならないために必要な情報を先に共有して,それから考えるプロセスに移るとよいでしょう。具体的には,先の「的外れなアドバイス」の裏返しとして次の要領で臨むのがおすすめです。

  • 今の状態を説明して,現状を共有する
  • 目指している状態を説明して,ゴールを共有する
  • 相談する前にすでにやったこと,ここまでの経緯を共有する

まず,現状をありのままに伝えます。エラーが出て動かないのであればエラーの内容を,性能が出ずに困っているのであれば現在の性能の測定結果を,説明して共有しましょう。そうして共有できた現状が,そのあとのアドバイスを考えるうえでの出発点になります。

次に,目指しているゴールを伝えます。正常に動くようになったらどういう挙動になるのか,性能が出るようになったらどのような状況になるのか,わかりやすく具体的な目標を共有しましょう。その目標と出発点を結ぶ道筋を一緒に考えるという,プロジェクトのゴールを設定します。

そして,そこまでの間に自分がどんな道筋を通ってきたか,どのルートは大丈夫でどのルートは駄目だったのかを共有します。そうすることで,同じ轍(てつ)を踏まないで済みますし,また,今までのルートで見落としていたポイントがなかったかを再検討できます。

質問と相談は違う

忘れないでおきたいのは,チームメンバーどうしでは「相談」をするということです。一方的に教える側と一方的に教わる側の両者に分かれると,どちらの人も視野が狭まってしまいます。また,未知の問題への取り組みにおいては,相手も答えを知らないことが多いです。

問題の報告と同様に,相談するときも,1つの小さなプロジェクトを一緒に解決に導くために協力し合うチームです。相談を持ちかけた側の自分からも新しいアイデアを出して,積極的に意見をぶつけ合うことで,思ってもみなかった解決策にたどり着けることもあります。また,相談前は頭の中が整理されていなかったのが,相談のために考えを整理したら自然と答えが見えてくることもあります。


あれから僕はずいぶん変わったなあ。それまではスーパーストライカーの個人プレーみたいなものだけしか見えてなかったけど,的確なパス回しのようにチーム内できちんと情報を共有して,チームとして問題に取り組み解決していくことが大事なんだっていうことを,僕はあのとき先輩に教えてもらったんだ。そして今では,僕も人を指導する立場になっている……

ううううう~~~~ん


おや,何を悩んでるんだい?


「もっとちゃんと書きなさい」って言われたんですけど,どうすればいいのかわからなくて……

どれどれ……あぁ,なるほどね。新人さんはそもそも「良いコード」の基準を知らないから,判断に困ってるんだな。じゃあ,これから一緒に見ていこうか

ありがとうございます!!


こうして彼は,先輩から教わったことを次の世代へと語り継いでいくのでした。

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著者プロフィール

足永拓郎(あしえたくろう)

株式会社クリアコード所属。デスクトップや組み込みソフトウェアの自由を求めて活動中。


沖元謙治(おきもとけんじ)

株式会社クリアコード所属。プロジェクトで利用しているライブラリにバグを見つけたら,アップストリームにパッチを投げることを意識しています。


結城洋志(ゆうきひろし)

株式会社クリアコード所属。Firefox黎明期からアドオン開発を手がけ,業務上もMozilla製品の技術サポートを担当。代表作は「ツリー型タブ」「テキストリンクなど。また,日経Linux誌にて「シス管系女子」を連載中。

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