2007年のOSS

2007年のFreeBSD―安定性向上、実行速度改善、マルチプロセッサ効率化

AsiaBSDCon 2007

2007年3月8日(木⁠⁠~11日(日)までの4日間、東京大学武田先端知ビル武田ホール(東京都文京区弥生2-11-16)において、BSDに由来するOSやソフトウェアの開発者、ユーザーによる研究発表および技術の将来について議論することを目的とした国際会議Asia BSD Conference 2007アジアBSD カンファレンス2007が開催されます。

日本は産業界や研究界におけるFreeBSDの活用が活発であるにもかかわらず、世界的な露出が少ない傾向にあります。本国際会議は日本で同会議を開催することで、日本における技術者や研究者と世界の開発者との交流の場を実現し、もって本分野の発展に寄与することを目的としています。ぜひとも多くの関係者の参加をお願いいたします。

安定性の向上と実行速度の向上を目指す―6系

6系は安定性の向上と実行速度の向上を目指したブランチです。リリース時には一連の負荷試験を実施し不安定要素を取り除くなど、徹底した作業を実施しています。すべてのユーザに薦められるバージョンですので、機会をみて移行作業を実施しましょう。

6系で注目するべきは実行速度の向上にもあります。ネットワークサブシステム、ファイルシステム、マルチプロセッサへの対応といった部分で取り組みが実施されており、今後のリリースでさらに改善が実施される見込みです。リリースごとにサーバユースにおいてもデスクトップユースにおいても満足度が向上するものになるでしょう。とくに今のところ動作が不安定になるという理由でデフォルトで有効になっていない高速化機能もあり、今度の実行速度向上に期待がもたれます。

実際にWebサービスを提供しているFreeBSDサーバは依然として4系のファイナルリリースである4.11を採用しているところが多くあります。4.11はそろそろサポートが終了しますので、これを機に6系への移行を実施しましょう。

開発ブランチから安定版ブランチへ―7系は今春にも

現在開発ブランチとして開発が進められている7系は今春にもブランチが切られ、次期安定版ブランチとしての開発が進められます。6系はAPIの変更を伴うような機能変更は取り込まれないため、最新の機能は7系にしか取り込まれていないものがあります。アグレッシブなユーザは今春を目処に7系をためしてみると良いでしょう。

マルチコアプロセッサが普及すると見られる2007年においては、スケジューラをどうするかがより重要な議題になってきます。新しく開発されてきたULEスケジューラと従来の4BSDスケジューラを比較した場合、やはり4BSDのスケジューリングの出来がよいとみる向きがあり、4BSDスケジューラにCPUごとの処理を加味する機能を付加する方法が現実的ではないかとする意見があります。ULEの改善か4BSDの改善か、それとも新しいスケジューラの開発か、今後議論と研究、実施試験などを実施することになるでしょう。今後も目が離せないところです。

2007年、シーンが多様化するFreeBSD

FreeBSDの採用されるシーンは携帯やルータといった組み込み機器からアドミニストレーション用のデスクトップ、複数のアーキテクチャへのインストールなど多様化しています。これまで弱いとされてきたデスクトップOSとしてのシーンも、PC-BSDやFreeSBIEの躍進があり改善されつつあります。portsに登録されているアプリケーションはさらにその数を増やしています。

FreeBSDが発展を続けている背景には、開発に参与している人々たちによる日々の小さな改善の積み重ねがあります。日本は日本のコミュニティで閉じる傾向にありますが、今後は直接本家のグループに参加し、ともに改善をしていく時期にきていると感じます。皆さんの積極的な参加を楽しみにしています。:)

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