Adobe AIRで作るデスクトップアプリケーション

第2回Apollo SDKを使ってみよう

Apolloの開発環境

Apollo Alpha 1での開発環境は2種類あります。1つはFlex Builder 2.0.1にApolloエクステンションを追加して使う方法、もう1つはApollo SDKを使う方法です。統合開発環境のFlex Builderであれば、一貫したインターフェース上で効率的な作業ができます。現時点ではApolloのメイン開発環境と言ってよいでしょう。Flex Builderは有償ですがトライアル版も用意されています。

一方、無償のApollo SDKにはSWFファイルのコンパイルやアプリケーションのデバッグ、パッケージングに必要なコマンドラインツールが含まれています。HTMLベースのApolloアプリケーションであればテキストエディタとApollo SDKだけで作れますし、同じく無償のFlex 2 SDKと併せれば、Flex Builderを使わずにSWFベースのApolloアプリケーションを作ることができます。

SDKのインストール

Apollo SDKとFlex 2 SDKを使ってみましょう。前者はAdobe Labsから、後者は体験版のダウンロードページから入手できます。なお、Javaランタイム(バージョン1.4.2以上)がインストールされていない環境の場合は、あらかじめSunのサイトから入手してインストールしておく必要があります。

SDKにインストーラはありません。Apollo SDKとFlex 2 SDKのZIPファイルを解凍したら任意のフォルダに中身をすべて移動します。ここでは便宜的に、Windowsの場合 C:\Program Files\Apollo_SDK 、Mac OS Xの場合 /Applications/Apollo_SDK とします。両者のSDKには同じ名前のフォルダがあるので、Flex 2 SDK側の該当箇所にApollo SDKのファイルを上書きコピーする要領でまとめます。

ファイルを一箇所にまとめたら、コマンドが扱いやすいようシステムのパスに登録しておきます。

Windowsの場合

  1. マイ コンピュータを右クリックして[システムのプロパティ]を開き、[詳細設定]タブで[環境変数]ボタンを押します。

    環境変数の設定(1) Windowsの場合
  2. [システム環境変数]からPathという変数を選んで[編集]ボタンを押します。

    環境変数の設定(2) Windowsの場合
  3. [変数値]の最後に「;C:\Program Files\Apollo_SDK\bin\」と追加します。

    環境変数の設定(3) Windowsの場合
  4. Mac OS Xの場合

    1. ユーザのホームディレクトリに.profileというファイルを作成します。既にある場合は開きます。ターミナルで作業するか、不可視ファイルに対応したエディタ(miなど)で編集します。

      環境変数の設定(1) Mac OS Xの場合
    2. ファイルの最終行に「PATH=$PATH:/Applications/Apollo_SDK/bin/」と追記し保存します。

      環境変数の設定(2) Mac OS Xの場合
    3. ターミナルからユーザのホームディレクトリで source .profile を実行し、変更を反映させます。

      環境変数の設定(3) Mac OS Xの場合
    4. コマンドラインツールの種類

      Apollo SDKで主に使うのは、以下のコマンドラインツールです。

      AMXMLC
      MXMLファイルやASファイルをApollo向けのSWFファイルにコンパイルするツール
      ADL
      パッケージングやインストールをせずにApolloアプリケーションをプレビューするツール
      ADT
      ApolloアプリケーションをAIRファイルにパッケージングするツール

      Hello World

      では、これらのツールを実際に使ってみましょう。次のようなActionScript 3.0のクラスファイル(ASファイル)とXMLファイルを用意してください。

      HelloWorld.as
      package {
          import flash.display.*;  
          import flash.text.*;  
      	
          public class HelloWorld extends Sprite {
              public function HelloWorld() {
                  var txt:TextField = new TextField();
      	    txt.autoSize=TextFieldAutoSize.LEFT;
                  txt.text="HelloWorld!";
                  addChild(txt);
              }
          }
      }
      HelloWorld-app.xml
      <?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?>
      <application xmlns="http://ns.adobe.com/apollo/application/1.0.M3" appId="jp.anthill.HelloWorld" version="1.0">
          <properties>
              <name>HelloWorld</name>
              <publisher>Yasuhiro Tanaka</publisher>
              <description>Testing Apollo SDK</description>
              <copyright>(c)2007 ants inc.</copyright>
          </properties>
          <rootContent systemChrome="standard" transparent ="false" visible="true">HelloWorld.swf</rootContent>
      </application>

      まずはASファイルをコンパイルします。Windowsではコマンド プロンプト、Mac OS Xではターミナルで次のコマンドを実行してください。ファイルのパスが実際と異なる場合は適宜読み替えてください。

      amxmlc HelloWorld.as

      特に問題がなければ、ASファイルと同じディレクトリにHelloWorld.swfが作成されます。これをApolloアプリケーションとしてプレビューしてみましょう。

      adl HelloWorld-app.xml
      ADLはアプリケーションのプレビューが可能
      ADLはアプリケーションのプレビューが可能

      HelloWorldと表示されましたか? ADLには上記のようにアプリケーション定義ファイルを指定します。このファイルについてはまた改めて説明します。では最後にAIRファイルとしてパッケージングしてみましょう。

      adt -package HelloWorld.air HelloWorld-app.xml HelloWorld.swf

      ADTには第1引数として必ず"-package"を指定し、続いてAIRファイルのパス、アプリケーション定義ファイル、パッケージに含むファイルを指定します。これで指定のAIRファイルが作成されます。

      以上がコマンドラインツールを使ったApolloアプリケーション開発の流れです。

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