ソフトウェア開発の必須アイテム、BTSを使ってみよう

第4回Mantisの導入

今回は、メジャーなBTSの中でも日本で人気のあるMantisを取り上げます。

図1 Mantisの日本語情報ページ
図1 Mantisの日本語情報ページ

Mantisとは

Mantis(マンティス)は、Kenzaburo Ito氏が開発したWebベースのバグ管理システムで、現在はMantisチームにより開発、メンテナンスされています。PHPでできており、PHP、Webサーバ、MySQLがあれば、Windows、OS/2、Mac OS、UNIX互換OSで動きます。

Mantisの公式サイト

URL:http://www.mantisbt.org/
Bugzilla同様多くのプロジェクトでの導入実績があります。

sogabe氏による日本語版の情報サイト
URL:http://www.alles.or.jp/~sogabe/mantis/
日本語版デモサイト
URL:http://bacons.ddo.jp/mantis/main_page.php

Mantisの特徴

Mantisは、日本語の情報が多いうえに簡単にインストールできる評価用パッケージなどもあり、比較的導入しやすいBTSです。

インストールが比較的簡単
セットアップ時のメッセージを丁寧に出してくれるなど、他のBTSと比較してインストールが楽です。InstantMantisというWindows環境に簡単にインストールできる評価用パッケージもあります。
日本語の情報が多い
Bugzilla,Tracなどと比較して日本語の情報が多く、導入しやすくなっています。BTS導入の際は日本語のドキュメントの不足がネックになることが多いのでありがたいことです。とくにsogabe氏の功績は大きいものと思われます。
豊富な機能
機能が豊富で、BTSとしておよそ思いつく限りのことはサポートされています。SubversionやWikiとの統合もできるようになっています。
Excel、Word形式でエクスポート可能
Excel、Word形式での出力があるので、ドキュメント作成の必要がある場合に便利かもしれません。
投票(資金提供)システム
投票(資金提供)という、懸賞金もしくは寄付金額のようなものをチケットに追加していくおもしろいシステムがあります。

Mantisの弱点

Mantisは総合的に見てお勧めしやすいBTSですが、気になる点を挙げてみたいと思います。

ごちゃごちゃとしたUI

BTSは設定項目が多いので自ずと煩雑な画面になりやすいツールです。中でもMantisは特にごちゃごちゃしている印象があります。不要な項目を折りたたんで表示することができるのですが、使い勝手としてはあまり良くありません。慣れないうちは項目の意味に戸惑うことも多いかもしれません。

連携するツールなど

Mantisにはさまざまな連携ツールがあります。おもしろいものががくさんありますが、その中から一部をご紹介します。

MantisConnect
MantisにAPIを提供するサービスで、SOAPをサポートするあらゆる言語から利用可能になります。
Anonymantis
通常バグ登録はBTSにログインして行うわけですが、外部サイトにバグ報告フォームを作ることができます。
JpGraph
グラフ生成用ライブラリを使って、情報をグラフィカルに見ることもできます。

Linuxサーバへのインストール

Mantisのインストールについては、わかりやすい日本語の情報がありますので、そちらをご覧いただくのが良いでしょう。

原稿執筆時点での安定版は1.1.2ですが、致命的なバグが幾つか存在するという情報があります。ここでは1.1.1のインストールについて、マニュアルを補完するような形でご案内してみます。

Mantisの動作に必要な環境は以下の通りです。

  • PHP 4/5
  • MySQL(文字コードはUTF-8を推奨)
  • Webサーバ(ApacheやIISなど)
  1. Mantisダウンロードページの案内に従ってsourceforge.netからmantis-1.1.1.tar.gz をダウンロードします。
  2. 適当な場所で展開しましょう。
  3. # tar zxvf mantis-1.1.1.tar.gz
  4. 展開したファイルをapacheのドキュメントルートに移動しましょう。
  5. # mv <旧ディレクトリ名> mantis

次にデータベースのテーブルを作成し、設定ファイルを用意します。

ブラウザから http://<domain>/mantis/admin/install.php にアクセスしてください。インストールプログラムが作動します。

図2 インストール画面
図2 インストール画面

図2の画面が出ますので、DBの情報を入力して[install/upgrade Database]ボタンを押します。するとデータベースとテーブルが作成され、システムのチェックが行われます。警告が出た箇所は修正してください。

図3 警告が出た場合
図3 警告が出た場合

設定ファイルについては、config_inc.phpを編集しろとメッセージが出ますので、config_defaults_inc.phpをコピーして必要な箇所を編集します。ブラウザ上に編集例が表示されますので、それに従えばよいでしょう。

図4 config_inc.phpの例
図4 config_inc.phpの例

なお、インストールの訳注に

日本語で使用する際には、

$g_default_language = 'japanese_utf8';

をconfig_inc.phpに追加してください。

とありますが、mantis-1.1.1およびmantis-1.1.2のlangファイルにはjapanese_utf8.txtが見当たりませんので

$g_default_language = 'japanese';

としておきましょう。

インストールが完了したら、デフォルトの管理者アカウントadministrator/rootでログインすることができます。

図5 インストール後のログインウィンドウ
図5 インストール後のログインウィンドウ

デフォルトの管理者アカウントをそのままにしておくと危険なので、当初は警告が表示されています。⁠システム管理⁠⁠→⁠アカウント設定]で新しい管理者を作成し、デフォルトの管理者アカウントを削除します。

ここまででインストール作業は完了です。

  • http://<domain>/mantis/manage_proj_create_page.php

にアクセスしてプロジェクトの作成から作業を開始しましょう。

InstantMantis-Jについて

InstantMantisは、MantisをWindows環境で動作させるために必要なApache、MySQL、PHP及びMantisを1つにまとめたもので、Mantisを簡単に試用することができます。InstantMantis-Jはその日本語版です。本格運用目的のものではないとされていますが、導入評価の際には威力を発揮するでしょう。

まとめ

今回はMantisの特徴とインストールについてご案内しました。機能が豊富なうえに日本語の情報が多く、導入しやすいBTSかと思います。ぜひ一度試してみてください。

次回は、玄人好みと噂のTracについてご案内したいと思います。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧