ソフトウェア開発の必須アイテム,BTSを使ってみよう

第8回 BTSにまつわるトラブルと対策

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BTSを使い続けていると,時に思わぬトラブルに出会うことがあります。それらはシステム起因のものもあれば人的なものもあり内容もさまざまですが,発生した際どのように対策を行えば良いでしょうか?

今回はBTSを運用する上で,よくあるトラブルと対策について考えてみたいと思います。

システム上のトラブルなど

BTSそのものの不具合

BTSもひとつのアプリケーションであることに変わりはありませんので,当然不具合の発生する場合がありえます。アプリケーションの性質上とても慎重に作られている上に,品質保障に関わる人々に使われるものですので目立つ不具合に出会うことは少ないのですが,まれにチケットの破損やデータの不整合に出会うことがあります。

チケットが破損すると状態の更新が上手くできなくなったり,そのチケットのページが開けなくなったりします。BTSの中には,非常時用に破損したチケットの除去機能が付いているものもあります。

Tracの管理ツールには破損チケットの除去機能がある

Tracの管理ツールには破損チケットの除去機能がある

その他,チケット数が多くなった場合の検索パフォーマンス低下なども,ときどき出会う現象です。重くなった場合,古い記録を切り離してよければ,チケットの退避かBTSの引越しをすることになるでしょう。

オープンソースのBTSの不具合に関しては,フォーラムなどで取り扱われていますので,対応法や修正バージョンの情報を探すことができます。フォーラムに参加するなどして定期的にチェックしておくようにしましょう

Bugzilla-jpのbugリスト

Bugzilla-jpのbugリスト

BTSの脆弱性

昨今の主流であるWeb上に設置するタイプのBTSでは,脆弱性の問題も忘れてはなりません。とくに私製BTSの場合は,細かいところまで作り切るには非常に労力が掛かるため,危険の大きい状態になっているケースが多いようです。

この問題を考えると,BTSを導入する際は,この連載でご紹介したような,オープンソースで広く実績のあるBTSを使い,フォーラムの脆弱性情報をチェックしておくのが一番安全でしょう。設置しているサーバの脆弱性ももちろん管理対象ですが,併せて情報を確認しておきましょう。

バージョンアップ

正しくはトラブルではなく,頻繁に発生する作業でもありませんが,悩ましい懸案事項としてBTSのバージョンアップがあります。BTSの最新版がリリースされたらアップデートを行うか検討することになります。新バージョンが重要な不具合の修正を含む場合はアップデートを積極的に検討する必要があります。使用している言語のバージョンアップの影響を受けることもあり,最近ではPHP4から5への移行に伴いPHPを使用しているBTSは影響を受けていたようです。

DB/HDDクラッシュ

DB/HDDクラッシュもまれに起こうるトラブルです。前回の記事で,日常の業務としてデータのバックアップについて述べましたが,実際トラブルが発生した場合,BTS復旧までどうしたら良いでしょうか。緊急時の対応方針はあらかじめ決めておくようにしましょう。

通常,1日程度であれば復旧まで待ってもらうことができそうですが,ミッションクリティカルな開発の場合はサブ環境を構築しておくと有効でしょう。

人に起因するトラブル

チケットの炎上

BTSは議論の場としては不適当なのですが,仕様・実装方法について意見が割れた場合など,メンバー間でコメント合戦になりチケットが「炎上」することがあります。BTSのチケットは作業メモ程度の記入量を想定しており,長々とした議論を記録するととても見辛いものとなります。なるべく決定事項のみを追記していくように心がけたいものです。

もしチケットが炎上してしまった場合は一旦議論を止めて,オフラインミーティングなどで直接顔を合わせて議論するようにしましょう。話がまとまった後でチケットを切りなおすのも,スッキリしますのでお勧めです。

チケットの処理ミス

メンバーがまだ不慣れな場合など,まだ終了していないチケットを誤って閉じてしまうことがあります。もしかすると,目障りなチケットを強制的に閉じて無かったことにしたい人もいるかもしれません。

多くのチケットが同時に処理されているときはこれを見逃してしまい,後に障害の原因になったりします。修正確認やクローズなどのフィニッシュに近い操作権限は,正確な作業っぷりが期待できる人に限定し,重要な問題が見過ごされないようにすると良いでしょう。

個人的にも「再開」「クローズ」の2つの状態で押し問答のようになった経験があります。制限する必要がありそうな場合は,こういったやり取りが発生する前に手を打っておきましょう。

まとめ

今回はBTSにまつわるトラブルと対策についてご案内しました。BTSは比較的安定して動作するアプリケーションですが,このようにときどき手の掛かることもあります。事前に対応の心構えを万全にしてトラブルを乗り切りましょう。

次回は,BTSに溜まった運用データを分析することについてお話したいと思います。

著者プロフィール

山本健(やまもとたけし)

ウノウ株式会社 QAエンジニア。パーソナルコンピュータ黎明期にPCを使い始めるも,若気の至りか芸術の道へ大きく寄り道し東京芸術大学大学院で油画を専攻。在学中から始めたサイト制作・携帯コンテンツ運営などを経て2003年より株式会社BEATにて受託開発のテスト業務に携わる。2006年4月よりウノウに参戦し,より早くより深いWebアプリケーションの品質管理を目指して奮闘中。画家としても活動しており,見た目からは連想できない繊細な画風で世間の注目を集めている。白日会会員。

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