エンジニアのスキルを試すコードパズル ─この問題,あなたは解けますか?

第11回 小川卓からの問題(第4回)解説編

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優先度の高い5つのデータ

それでは,質問2を見てみましょう。以下のような内容でした。

分析のためにさらにどういうデータが欲しいですか?

こちらの質問は,質問1以上に正解のバリエーションが広がります。⁠なぜ,そのデータが必要なのか」という論拠があれば,すべて正解といえます。しかし,筆者の分析の経験から,以下の5つのデータは優先度が高いと思われます。

ウェブサイトのゴール(KGI)

そもそも,どのような売上目標があるのかを把握していないと,

  • 「今の数値で足りているのか?(足りているのであればコストカット施策を優先する⁠⁠」
  • 「足りない場合はどれくらい足りないのか?またその見通しは?」
  • 「それをふまえて,どれくらいの量の施策が必要なのか?」

などがまったく見えてきません。分析する前に確認しておきたい内容です。

こちらに関して「回答」として書いていただいた方は,1名しかいらっしゃいませんでした。

コストに関する情報

特に有料の流入施策に関しては,コストも含めて判断しないといけません。いくら,売上が高くても,赤字になっていたとしたら,コストを減らすか,施策そのものを止めることも考えないといけません。ゴール設定が「売上」の場合はあまり気にしなくてもよいのですが,⁠利益」の場合は必須の項目となりました。

こちらに関しては5名くらいの方に回答としていただきました。サイト運営や集客施策を運用されている方から出た意見のように感じました。

流入元(流入キーワード含む)およびランディングページの内訳

これは私の回答や施策のところでも書きましたが,改善施策の精度を上げるためには,これらの情報は必ず必要になります。

  • 「自然検索からの流入の直帰率を改善する」
  • 「その他無料流入からの流入を増やす」

など,改善施策を行ううえで,実際にどのように実施するかを考え,説明する時に必要です。

こちらに関しては,多くの方から「必要な情報」として回答いただきました。

新規とリピーターでの内訳

新規とリピーターでは行動が大きく変わってきます。そもそも新規の人はどこから流入しているのか,どちらのほうが購入金額・購入率・売上単価が高いのか?など,様々な情報を得ることができます。そして,これらの情報は施策を考える上でも非常に有用です。新規の人の直帰率が高いのであれば,サイトにはいってきた時のナビゲーションや説明が不十分かもしれません。施策のアイデアと制度のために確認するべき情報です。

こちらに関して,回答として書いていただいた方はいませんでした。

曜日・時間帯別のアクセス

「新規とリピーターでの内訳」とほぼ同じ理由で必要な情報になります。

  • 「より多くの人が来ているのはいつなのか?」
  • 「購入率が高いのは何曜日の何時なのか?」

といった情報は,メールマガジンの配信やサイトの更新をするタイミングを決める際にも有効です。お客さんがいつ来ているかを把握するのは,分析をするうえでの基本になります。

こちらを回答として書いていただいた方は2名いらっしゃいました。

上記が私の回答になります。いかがでしょうか?

ユニークな回答

他にも必要な情報もたくさんあるでしょうし,⁠自分だったらこういうデータを出す」というアイディアもあるかもしれません。今回の回答の中でユニークなものをいくつかピックアップしてみたので,ご覧ください。

  • 他の同様サイトの分析結果
  • 商品別の売上
  • 顧客ポートフォリオ(過去の売上累計,最後に購入した日付)
  • デバイス別と新規・リピータ別の同じデータ
  • 特集ページの詳細
  • 売上貢献度の高い上位ページ
  • サイト内検索があるならば,その検索履歴の一覧
  • カート破棄までの離脱状況
  • メールマガジンの購買単価が高い理由が分かるデータ (コンテンツ,ランディング先 など)
  • 地域,新規とリピーター,デバイス,可能ならユーザーの性別や年齢などの属性
  • 広告内容

アクセス解析で大事なこと

アクセス解析では,明確な回答があるケースはほとんどありません。アクセス解析ツールで得られた数値を,どう解釈して計算するかが,まずは大切になります。

今回紹介した2つの表は,分析をするうえで参考になるはずです。アクセス解析ツールを導入されている方はぜひ確認してみてください。そして,分析した結果を元に,優先順位と施策を考える。ここは場数があるほうが有利になります。

今までどのような施策を行ったことがあるのか。その結果がどうだったのか。そのような情報があると,非常に参考になります。

施策を考えるうえで有効な方法の1つは,⁠同業他社のサイトを確認してみる」ことです。同業他社のサイトで,ユーザーになりきってサイトを利用し,良いと思った部分・悪いと思った部分を洗い出していきましょう。そこで得られた事実を元に,自分のサイトとデータを確認し,考えていけば,行うべき施策(あるいは逆にやってはいけない施策)が見つかるでしょう。

あらためてご回答いただいた方ありがとうございます!私にとっても非常に勉強になり,あらためて回答の幅を実感いたしました。本記事を読んでいただいた方にとっても,1つでも有用な内容があったことを願っております。ありがとうございました。

著者プロフィール

小川卓(おがわたく)

株式会社サイバーエージェント アメーバ事業 課金戦略室 データコンサルティングチーム

ウェブアナリストとしてサイトの分析や施策の提案などを行っている。個人としても,ブログ「リアルアクセス解析」を運営したり,定期的に都内および地方で講演活動などを行っている。著書に『ウェブ分析論:増補改訂版』『ウェブ分析レポーティング講座』『クチコミページと社長ブログ,売上に貢献しているのはどちら? 〜マンガでわかるウェブ分析』などがある。
趣味はピアノ・風呂・サッカー。最近はまっているものは入浴剤。

ブログ:http://d.hatena.ne.jp/ryuka01/
Twitter:@ryuka01