エンジニア文化を解き明かす!コミュニティ概論【2017年版】

第1回エンジニア文化と切り離せない「コミュニティ」外郭

ITエンジニア、とくにWeb系エンジニアの文化を語る上で、切っても切り離せない存在である「コミュニティ⁠⁠。コミュニティに参加する個人にとどまらず、IT企業や業界全体に大きな影響を与えています。

著者のコミュニティへの参加や運営の経験を踏まえ、コミュニティとは何か、なぜ盛り上がっているのか、どのような効果をもたらしているかなど、さまざまな切り口でコミュニティの姿を解き明かしていきたいと思います。

エンジニア文化における「コミュニティ」とは

エンジニア界隈の「ナレッジをシェアする文化」をご存知でしょうか。ITエンジニア、とくにWeb系エンジニアには、開発技術に関するナレッジはもちろん、開発ツール、開発体制、エンジニアキャリアの積み方、ひいては健康維持の方法など、あらゆるテーマに関してナレッジをシェアする文化があります。そのナレッジのシェアを通してエンジニア同士がコミュニケーションをとる場が、エンジニア文化における「コミュニティ」だと考えています。

コミュニティはさまざまな形態を取っており、言語・サービスで縛ったもの、地域・性別・職種などの属性で括ったもの、ざっくばらんに集ったものまで多種多様です。勉強会やミートアップの開催を主軸としたコミュニティが多く、エンジニア界隈では連日さまざまなコミュニティイベントが開催されています。イベントの規模も、数人でもくもく(各々作業)するイベントから、毎月200人以上集めるイベント、年に1度1,000人以上を集めるカンファレンスイベントまでさまざまです。

イベント開催を管理できるWebツールのconnpassdoorkeeperATNDカレンダーから一覧で開催情報を確認できるTECH PLAYなどを見ると、コミュニティの多さや規模感を感じることができると思います。

高まるコミュニティ熱

エンジニアのコミュニティ形成は最近に始まった話ではありませんが、業界全体として年々注目度が高まってきています。イベント数自体が増加したり、コミュニティのためのイベントスペースが増えたりということに加えて、カンファレンスなどの大規模イベントでもコミュニティをテーマとしたセッションをよく目にするようになりました。

ITエンジニアの祭典Developers Summit(通称デブサミ)の2017 Summerでは全体のテーマを「エンジニアコミュニティ」として、さまざまな切り口のセッションを設けていたのが記憶に新しいところです。

コミュニティに最先端の技術ナレッジが集まっていたりコミュニティが技術を牽引していたりということも多く、⁠コミュニティのトップ層=優秀なエンジニア」という図式もめずらしくありません。コミュニティで活躍することでエンジニア個人が自分自身をブランディングできるといったケースも増えており、業界全体としてコミュニティへの積極的な参加を推奨している風潮があります。

企業もコミュニティに注目

企業にとっても、コミュニティの存在は見過ごせないものとなっています。カンファレスなどの大規模イベントへのスポンサードはもちろん、小人数の勉強会やミートアップへのスポンサードも増えてきました。

また「DevRel(Developer Relations⁠⁠」というエンジニアに向けたマーケティング手法の中で、企業自身がコミュニティを形成するという手段を取ることもあります。DevRelを担当するエバンジェリストやコミュニティマネージャといった職の重要性は近年たびたび議題に挙げられています。⁠コミュニティへの注目の高まり = DevRelへの注目の高まり」とも言えるかもしれません。

DevRelとコミュニティの関係については、本連載の中でテーマの1つとして取り上げ詳しく紹介したいと思います。

コミュニティと上手に付き合うために

エンジニア界隈のなかで大きな力を持つ「コミュニティ」について理解を深め活用していくことで、エンジニアは自身のエンジニアライフをより充実させることができたり、企業はサービスをより効果的にプロモーションしたりすることが可能になると思います。

本連載ではさまざまな切り口からコミュニティについて解説し、企業・個人の読者のみなさまがコミュニティと上手く付き合っていく手助けをできればと思っています。

次回は手始めにコミュニティの分類について深掘りしていきたいと思います。それではまた。

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