サイバーエージェントを支える技術者たち

第15回 “アメーバピグの進化を支えるキーマン”──アメーバ事業本部 ピグディビジョン 浅木康之

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浅木康之氏

浅木康之氏

ピグドームにおける動画配信を用いた大規模なイベントや,映画や企業の商品プロモーションイベントなど,さまざまな取り組みでメディアとしても魅力を増し続けているサイバーエージェントの「アメーバピグ」⁠アバターを使ったコミュニケーションやゲームが楽しめることに加え,こうしたイベントに参加できることもこのサービスの魅力となっています。今回は,このアメーバピグにおいて企画やデザインなどに携わる,アメーバ事業本部 ピグディビジョンの浅木康之氏にお話を伺いました。

スマートフォン向けのアメーバピグの開発も担当

―― まず,担当されているサービスや業務内容を教えてください。

アメーバピグに初期の段階から携わっているのですが,サービス全体におけるクリエイティブのディレクションや機能の開発,改善,企画プロデュースなどを行ってきました。コンテンツホルダーと提携して新しいビジネスを創出したりするといったことにも取り組んできました。最近は担当領域が少し変わり,現在注力しているスマートフォン向けのアメーバピグの開発を中心に担当しています。

―― アメーバピグはすでにAndroid版を提供されていると思いますが,それとは別にということでしょうか?

そうですね。現状の「アメーバピグ for Android」はAdobe AIRを利用して開発していますが,今回はスマートフォン向けのアプリをゼロベースで開発しています。そのためどういったところでトラブルが起こるのか予測できない部分もあり心配もありますが,チャレンジしながら開発を進めています。また,今後はスマートフォン向けのアプリを多数開発していくことになると思うので,そのためのノウハウも蓄積していきたいですね。その上で,PC上で楽しむアメーバピグとは異なる,スマートフォンならではのコミュニケーションを実現したいと考えています。

―― アメーバピグには初期の段階から携わられていたということですが,利用者数を大きく伸ばすブレークスルーになったサービスとしてはどういったものが挙げられますか?

釣りやカジノといったゲームの登場が大きなポイントになったと思います。ソーシャルゲーム的な要素が加わったことでユーザの幅も広がり,ビジネス的な展開も変わってきたかなと思います。また,映像を見ながらアーティスト本人のピグとライブイベントを楽しめる「ピグドーム」は多くのユーザに喜んでいただけたかなと考えています。とくに,AKB48とコラボレーションしたときは本当に盛り上がりました。

―― アメーバピグを立ち上げた当初から,ゲーム展開を意識されていたのですか?

将来的にはアメーバピグの中でゲーム展開もできればいいなと開発当初から考えていました。ただし,まずはアバターの着せ替えや,仮想空間で他のユーザとのリアルタイムなコミュニケーションを楽しむサービスをいかにして構築するかを第一に考えてきました。ゲーム展開はまさにこれから,さらに力を入れていく予定です。

―― 新しいゲームなどは考えられているのでしょうか?

今度,ピグライフという新しいゲームを出します。ガーデニングのような感じで農園や庭を造るというゲームで,現在はβ版として公開しています。植物をきちんと育てて収穫するとポイントがたまったり,レベルが上がって庭で栽培できる植物の種類が増えたりするので,長く遊べるゲームになっていると思います。

―― アメーバピグは豊富なアイテムやアクションも特徴だと思いますが,これはどのように作られるのでしょうか?

結構いろんなパターンがありますが,通常のアイテムなら季節感のあるアイテムなどから着想して,デザイナーやイラストレーターを含めて話し合うことが多いですね。

あと,アクションもみんなで案を出し合って考えています。このアクションはアメーバピグの中では大切なコミュニケーション手段の1つと考えています。会話だけだと行き詰まりとかあるじゃないですか。そこで,どう返事すればいいのか困ったときに,手を振ったり変な顔をしてごまかしたりできるのはアクションの便利で面白いところかなと思います。

アメーバピグにおけるスマートフォンの対応は,すでに「アメーバピグ for Android」として実現していますが,それとは別にAndroidやiPhoneでアメーバピグの世界観を楽しめるアプリの開発を進めているとのこと。アメーバピグがどのようにスマートフォンに進出し新しい魅力を提供できるのか,注目したいところです。

後半では,入社の経緯やサイバーエージェントについて感じていることなどについてお話を伺っています。

ユーザ本意での開発を貫くアメーバピグのプロジェクトチーム

―― サイバーエージェントには,どういった経緯で入社されたのでしょうか?

サイバーエージェントに入社する前は,もともとデザインをやっていて劇団で小道具やフライヤー,ポスターを作ったりもしていました。そのときに「最近はWebサイトも作るのが普通だよ」という話を聞いて,⁠じゃあ,ちょっと作れるようになろうかな」と学校に通って勉強してみたら面白かったんです。制作会社に勤めたり,フリーで働いたりした後,最終的にサイバーエージェントに入社しました。

―― サイバーエージェントに入社されて,どういった印象を持たれたのでしょうか?

みんなが楽しそうに働いていることにビックリしました。⁠なんかすごくいいなあ」と単純に思いましたね。それまでは「これをやっておいて」と言われたものをこなしていくという働き方だったのですが,サイバーエージェントではみんなで考えてみんなで作るという雰囲気なので,本当に全然違いました。

ただ,自由にサービスで採用する技術を選び,企画を考えられるのとセットで,自分が選択したことについて責任を持つことが求められます。ただそれもマイナス要素ではなく,1人1人が「自分でやっているんだ」と感じられていることがモチベーションアップにつながっているように思います。

―― アメーバピグに携わることになったきっかけは,どういったことだったのでしょうか?

もともと女性用コミュニティサービスの「プーペガール」のディレクターをやっていました。このサービスでもアバターを使って着せ替えを楽しむという要素があり,そこでの経験を買われて声がかかりました。予想外のことでしたが,アメーバピグのプロジェクトが立ち上がったときに面白そうだと思っていたので嬉しかったです。

―― 実際にアメーバピグに関わって,どういった点がよかったと思いますか?

ユーザのことを考えて作っていくというところは,アメーバピグのプロジェクトの中ですごく勉強になった部分だと考えています。何かを作るとき,何より第一にユーザのことを意識していて,開発側の都合を押し付けるという発想が,プロジェクトメンバーの中には一切ないんです。

もうすぐリリースだという時期でも,⁠このユーザインターフェイスが使いづらいかもしれない」という話になったら,⁠じゃあ今から直そう」と。ついつい「いや,もう時間がないので間に合わない」とか,⁠一度,このまま出してみよう」とかっていう妥協をしてしまう可能性もあると思うんです。でも,そうではなくて「使いづらいことを認識したまま出すわけにはいかないよね。」とみなが限られた時間の中で寝る間を惜しんで作業に取り組んでいました。本当にユーザに面白いものを届けたいという一心で,そこに妥協はないですね。

―― スキルアップのために取り組んでいることはありますか?

業務を通してですが,社長である藤田が主催する「ポイントすすむくん」という会議体があり,最近ではこれがすごく勉強になっています。この会議はAmeba全体のサービスに対し,ユーザ視点で改善案を提案するというもので,提案した改善案に対して藤田の判断でポイントが付与され,参加メンバーでその数を競い合うという内容です。

この会議では週に2つの提案をする決まりになっていて,それを考えるプロセスが勉強になっていますね。徹底的にユーザ視点で考えることが自然と身に付きますし,自分の担当プロジェクト以外での提案というルールがあるので,普段関わっていないプロジェクトへの理解を深めるきっかけにもなっています。

リリース直前で修正すべき箇所が見つかったとき,スケジュールを遅らせてでも直すのか,それともそのままリリースするのかの判断は難しいところでしょう。もちろん,致命的なミスであればスケジュールを遅らせてでも直すというケースが多いと思いますが,そうでなければなかなか判断がしづらいところです。ただ,アメーバピグではそこで妥協せず,修正するという道を迷わず選ぶとのこと。このあたりの一貫した姿勢が,アメーバピグの人気を支えている秘密,なのかもしれません。

サイバーエージェント公式エンジニアブログ
URL:http://ameblo.jp/principia-ca
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著者プロフィール

川添貴生(かわぞえたかお)

株式会社インサイトイメージ代表取締役。企業サイトの構築及び運用支援のほか、エンタープライズ領域を中心に執筆活動を展開している。

メール:mail@insightimage.jp

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