サイバーエージェントを支える技術者たち

第30回 研究課題レポート運営プロジェクト[後編]

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サイバーエージェントにおいて定期的に実施されているイベントの1つに「研究課題レポート」があります。これは社内のエンジニアからレポートを公募し,その中からとくに優れたものを選出して,表彰するという制度です。このイベントについて,前編に引き続いてアメーバ事業本部Ameba Technology Laboratoryの鈴木俊裕氏,深澤宏仁氏にお話を伺っていきます。

レポートの3つの評価基準

エンジニアのレベルアップやナレッジの共有,そして対外的なアピールのための取り組みとして,サイバーエージェントで年2回開催されているのが「研究課題レポート」と呼ばれるイベントです。これは各エンジニアが興味を持った内容について調査,研究した結果をレポートとして提出,それを社内の第三者が評価したうえで最優秀賞や優秀賞を決めるというもの。これまでに8回開催されており,すでにサイバーエージェントの恒例行事の1つとして根付いているようです。

では,このイベントで提出されたレポートはどのような基準で評価されるのでしょうか。具体的な評価基準を研究課題レポートの運営に携わる鈴木氏に伺ったところ,次のような説明が返ってきました。

「研究課題レポートでは,3つの軸で評価を行っています。まず1つは新規性です。どれだけ新しいアイデアが含まれているか,チャレンジする姿勢が見られるかをチェックします。2つめは有用性で,たとえば現場で実際に使えるかどうかといった観点ですね。そして3つめが信頼性 です。それぞれのレポートで主張する内容が,きちんと検証されているかどうか。たとえばミドルウェアについてのレポートであれば,そのミドルウェアを実際に動かしてパフォーマンスなどを検証しているかどうかなどがチェックされます(鈴木氏)⁠

鈴木俊裕氏

鈴木俊裕氏

ちなみに研究対象として取り上げられることが多いのは,そのときどきにトレンドになっている技術とのこと。たとえば最近で言えばマイクロソフトの「Kinect」や3Dコンテンツの開発環境である「Unity」⁠あるいはシステム管理ツールの「Chef」などを取り上げるレポートが増えているようです。こうした最新技術に時間を使ってじっくり向き合えるのは,エンジニアにとって研究課題レポートに取り組む大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

エンジニアのレベルアップに貢献

それでは,研究課題レポートというイベントはどのように運営されているのでしょうか。まずスタートになるのは,評価委員の選定だと深澤氏は説明します。

「研究課題レポートは,まず評価委員の選定から始まります。基準となるのはこれまでの実績,たとえば過去にこの研究課題レポートで各賞を受賞したエンジニア,あるいは業務上で優れた成果を上げているエンジニアなどです。それらの評価委員が決まったあとは,レポート提出を依頼するエンジニアを選出します。基本的には,希望するエンジニアが自由にレポートを提出しますが,一部優秀なエンジニアには質の高いアウトプットを期待して,レポートの提出を委員から依頼する形をとっています。こちらも過去の実績や上長の推薦などによって決まるので,選出されることは名誉なことだという認識が社内には浸透しています。最終的に80名くらいが提出するので,レポートを評価するための審査も大がかりになりますね(深澤氏)⁠

最優秀賞や優秀賞の選定では,喧々諤々の議論になることもあるそうです。⁠圧倒的に質の高いレポートなら満場一致で決定ということもありますが,クオリティの差が小さいときは簡単には決まらないですね(深澤氏)⁠

深澤宏仁氏

深澤宏仁氏

さらに第6回からは「研究課題レポート発表会」も行われています。これは各回の優秀賞以上のレポートについて,5分間のライトニングトーク形式でレポート提出者が内容を発表するというもの。発表会にはサイバーエージェントのエンジニアのほぼ全員が出席し,受賞したレポートの内容についてナレッジの共有が図られています。

さて,この研究課題レポートに取り組む意義として,鈴木氏が強調するのは,レポートをまとめてアウトプットすることの重要性です。

「レポートを書いてまとめるという作業は,エンジニアとしてのレベルアップにすごく役立つと感じています。それほど力を入れて取り組めない場合でも,レポートにまとめようとすればそれなりに調べる必要がありますし,どのようにアウトプットするのかも考えなければなりません。運営側から半強制的にレポート提出を求める場合もありますし,時間も労力も掛かるハードなものではありますが,レポートをまとめるという作業はエンジニアのレベルアップに大いに貢献すると考えています(鈴木氏)⁠

新しい技術に積極的に取り組むことの重要性を理解していても,実際には多忙でそのような新技術をじっくり調査する時間がないというエンジニアは多いことでしょう。こうした課題を解決し,エンジニアのレベルアップをサポートするしくみとして,研究課題レポートが大きな役割を果たしているのは間違いなさそうです。

研究課題レポート発表会の様子

研究課題レポート発表会の様子

サイバーエージェント公式エンジニアブログ
URL:http://ameblo.jp/principia-ca
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著者プロフィール

川添貴生(かわぞえたかお)

株式会社インサイトイメージ代表取締役。企業サイトの構築及び運用支援のほか、エンタープライズ領域を中心に執筆活動を展開している。

メール:mail@insightimage.jp

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