サイバーエージェントを支える技術者たち

第39回 北欧のIT先進国からやってきたエンジニア[後編]

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サイバーエージェントがスマートフォン向けに提供しているアプリの1つとして人気を博しているのが,キャラクターを使ったチャットを気軽に楽しめる「cubie talk」です。前回に引き続き,サイバーエージェントでエンジニアとして働くフェルト・クリスチアン(Kristian Faeldt)氏にお話を伺っていきます。

フェルト・クリスチアン氏

フェルト・クリスチアン氏

WebSocket対応の負荷試験ソフトを自作

平安時代の古典文学を専攻していたというほど日本好きだったフェルト・クリスチアン氏(以下,フェルト氏)は,日本人女性との結婚を機に来日,サイバーエージェントでエンジニアとして働いています。現在担当しているのは,スマートフォン向けのチャットサービスである「cubie talk」です。これは,iOS向けのアプリとしてすでに提供されていた「cubie House」と同じキャラクターを利用し,さまざまなユーザとリアルタイムにチャットを楽しめるというサービスになっています。

このcubie talkでは,Webアプリケーションサーバとして「Node.js」を利用して作られているほか,データベースとしてはドキュメント指向データベースである「MongoDB」が活用されています。スウェーデンでもIT系企業にエンジニアとして勤めていたというフェルト氏ですが,そこではWindows環境でのB2B系の開発がメインで,Node.jsとMongoDBについてはいずれもサイバーエージェントで初めて触れたといいます。最初は戸惑いもあったようですが,しだいに慣れて,スムースに開発を進められたとのこと。ただ,cubie talkの開発にはいくつかの困難もあったようです。

「cubie talkでは,Node.jsのsocket.ioというリアルタイムフレームワークを採用しているのですが,残念ながらこれに適した負荷試験ソフトがなかったので自作しなければなりませんでした。またAndroidはハードウェアスペックが機種によって異なるため,端末によってアニメーションがスムースに動かないということがあり,それを調整するのも苦労しました(フェルト氏)⁠

ちなみに,WebSocketはもともとHTML5の一部として仕様策定が進められていましたが,現在はHTML5から切り離され,単独のプロトコルとして標準化が進められています。ただ,まさに標準化のまっただ中ということもあり,フェルト氏が話すようにインターネット上の情報は決して多いとは言えず,また実装もまだまだ少ないのが現状です。

このように環境が整っていない状況でもWebSocketを採用した背景には,クライアントとサーバ間でコネクションを維持できるというメリットが挙げられるでしょう。通常のHTTP通信はコネクションを維持できないため,チャットのようなサービスをWebアプリケーションで実装する場合,通信が発生するつどコネクションを張りなおすか,あるいは何らかの方法でコネクションを維持するロジックを組み込んで対処しなければなりません。しかし,プロトコルレベルでコネクションが維持されるWebSocketであれば,こうした処理が不要になり,さらにサーバやクライアントのリソースを無駄にすることがないといったメリットがあるわけです。

外国籍エンジニアを積極的に採用

さて,cubie talkはフェルト氏を含めて現在4名で開発が進められており,ほかのメンバーは全員日本人とのこと。コミュニケーションに問題はないのかを聞いたところ,以下のような答えが返ってきました。

「まだ日本語は勉強中ですが,業務上のコミュニケーションはほとんど問題ありません。週末のプライベートな話など,くだけた会話の中ではうまく伝わっていない部分も多少あるかもしれませんが(笑)⁠仕事をするうえで困ることはないですね(フェルト氏)⁠

なお,サイバーエージェントでは外国籍のエンジニアの採用を強化しており,フェルト氏以外にも数多くの外国人エンジニアが活躍しています。同社ではさまざまなグローバル事業を展開しており,それを支えるエンジニアもグローバル化が必要だということでしょう。

サイバーエージェントのこうした姿勢は,外国籍のエンジニアにとって大きなチャンスであるのはもちろんですが,日本人エンジニアにとっても魅力的ではないでしょうか。事業のグローバル化を推し進めるサイバーエージェントでキャリアを積めば,日本市場のみをターゲットとする企業では得ることが難しいスキルを習得できる可能性があるほか,外国籍のエンジニアが身近にいることで,海外の文化や彼らが持つ技術に触れられるといったメリットも見逃せません。こうしたグローバル展開をはじめ,サイバーエージェントの今後の動向に要注目です。

サイバーエージェント公式エンジニアブログ
URL:http://ameblo.jp/principia-ca
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著者プロフィール

川添貴生(かわぞえたかお)

株式会社インサイトイメージ代表取締役。企業サイトの構築及び運用支援のほか、エンタープライズ領域を中心に執筆活動を展開している。

メール:mail@insightimage.jp

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