サイバーエージェントを支える技術者たち

第48回 運用の自動化に向けてプライベートクラウドを構築

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独自にツールを開発してデータセンターを可視化

運用の自動化のため,データセンター環境を可視化するためのツールも自作しています。

写真6 村越俊克氏

写真6 村越俊克氏

「実はこれまで使っていたデータセンターでは,可視化がうまくできていませんでした。つまり,サーバやネットワークが現在どういう状況なのかは,設定を読んだり図面を見たりして追っかけなければわからなかったのです。現状把握のためだけにそうした作業を行うのは時間の無駄ですよね。そこで,仮想サーバやネットワークを動的に検知して,データセンター全体を可視化するようなツールを作りました」⁠村越俊克氏)

サーバやネットワークをグラフィカルにマッピングするツールはいくつかありますが,既存のツールでは満足できなかったようです。

「運用監視系のツールはいくつかありますが,もう少し気の利いたものにしたかったんです。既存のツールもけっして悪いわけではなく,それぞれに良いところもあるのですが,自分の理想には足りなかったのです。具体的には,グラフィカルに表示する部分ですね。たとえば,ネットワークにつながっているサーバやネットワーク機器を一覧形式で表示するものはよくあるんですが,それだけではなくてトポロジーをグラフィカルに表示し,そこに描かれる機器や機器をつなぐ線から,設定やモニタリングなどの詳細情報とリンクしたいと考えていました。自動的に生成される図面から機器の詳細情報へすぐにたどり着くことができるので,知りたいときに知りたい情報を簡単に取得できます。トポロジーはドラッグ&ドロップでノードを自由に動かすことができ,ノード間をつなぐ線はトラフィック量や帯域で色や太さが変化します。また,物理的な接続図から論理的な接続図まで描画するしくみを盛り込んでいます」⁠村越氏)

なお新しいプライベートクラウドの特徴として,IPv6対応であることも挙げられます。ただ日本では,IPv6が普及しているとは言いにくい状況でしょう。それでもIPv6対応にした理由について,村越氏はグローバルを見据えた結果だと話します。

「海外に向けて積極的にサービスを展開していく際,地域にかかわらずシステムをデプロイできるようにしたいと考えています。当分の間はIPv4が使えるとは思いますが,地域によっては突然IPv6しか割り当ててもらえないということになる可能性もありますし,そもそもユーザ側のIPv6対応が進んでいる地域もあるので,それらの状況に対応するという意味で,新しいプライベートクラウドの内部はIPv6を基本としています」⁠村越氏)

ユーザにとってメリットのあるプライベートクラウドを目指して

サイバーエージェントの新しいプライベートクラウドはすでに運用に入っていますが,これから積極的に改善を進めていくと,それぞれのエンジニアは声をそろえます。

「当初考えていた機能が100%実現できているわけではなく,またシステムを利用するエンジニアからもいろいろと要望を受けているので,そこのキャッチアップを進めながら必要な開発や機能の追加を進めていきたいと考えています」⁠長谷部氏)

「まだ思っていることは全然実現できていないんですね。現状で運用の自動化を進めることはできましたが,それは僕らがインフラを運用していくうえでの自動化にすぎないわけです。たとえば自動でデータセンターの状況が可視化されたり,あるいはサーバがホスティングされたりというのは,基本的に僕らにしか恩恵がない。実際のユーザであるエンジニアには,そこまでのメリットが生まれていない状況だと思うので,それを実現するためのものをこれから作っていく必要があると感じています」⁠奈良氏)

大量のサーバを効率的に運用するという難しい課題に対し,自ら開発したソフトウェアを中心にプライベートクラウドを構築して運用するサイバーエージェントの取り組みは,多くの企業にとって注目に値するものと言えるでしょう。

サイバーエージェント公式エンジニアブログ
URL:http://ameblo.jp/principia-ca
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著者プロフィール

川添貴生(かわぞえたかお)

株式会社インサイトイメージ代表取締役。企業サイトの構築及び運用支援のほか、エンタープライズ領域を中心に執筆活動を展開している。

メール:mail@insightimage.jp