サイバーエージェントを支える技術者たち

第61回 わずか3ヵ月で完了したシステム内製化プロジェクトの裏側

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インフラ設計・構築のおもしろさとやりがい

――今回のプロジェクトではインフラ面を担当されたとのことですが,以前からインフラエンジニアとして業務されていたのでしょうか。

鷹雄:サイバーエージェントに転職する前はアプリ開発をやっていましたが,サイバーエージェントではIaaSを使ったインフラの設計から上位レイヤの開発まで手がけました。実は,あまりレイヤにはこだわっていなくて,サイバーエージェントに入社する際に,アプリ開発とサーバサイドエンジニア,インフラエンジニアのいずれかを選んでほしいと言われましたが,1つには絞れないという話をしたことを覚えています。実際,1~2年ほど前からフルスタックエンジニアというキーワードが出てきて,レイヤの隔たりがなくなってきた印象です。

今回のプロジェクトでも,インフラやアプリ開発まで担当していたことで解決できた問題もあります。パフォーマンス面で問題が発生した際,ボトルネックになっているのがアプリケーションやミドルウェアなのか,それともインフラ側なのかを見極め,どのように改善するか考えたときには,両方を知っていることのメリットを感じました。

もちろん,サイバーエージェント社内でもインフラを専門的に担当するエンジニアはいます。しかし,昔と変わってきているのは,インフラの構築やネットワークの管理だけではなく,たとえばChefで運用を自動化するという話になるとRubyを覚えなければならないなど,インフラエンジニアにもプログラミングの知識が求められるケースが増えていることです。そういった意味で,レイヤの境目は徐々に薄れてきているのではないでしょうか。

――インフラの設計や構築をしていて,おもしろさややりがいを感じるのはどういったところですか。

鷹雄:サイバーエージェントで提供するサービスのインフラ設計と構築という点で言えば,個人で開発したサービスでは扱えない膨大なトラフィックを処理する基盤を作れることです。どれだけ勉強しても,実際に膨大なトラフィックを処理するために何が必要になるのかは,経験してみないとなかなかわかりません。ハードウェアベンダーの方にお話を伺っても,それだけのトラフィックをはたして処理できるかどうか保証はできない,と言われることもあるほどです。そのようなトラフィックと向き合えるのはおもしろいですし,やりがいもあります。

またサイバーエージェントであれば,インフラの設計や構築といった業務において,適切に評価が行われていることも大きいですね。インフラは動いて当たり前で,障害が発生すると怒られるといった風潮があります。いくら仕事がおもしろくても,適切に評価されなければモチベーションを維持するのが難しいと思いますが,サイバーエージェントでは技術力に基づいて適切に評価が行われます。そういった点でストレスを覚えることなく仕事に取り組めるのは,サイバーエージェントの良いところだと考えています。

――評価という面以外での,サイバーエージェントの魅力を教えてください。

鷹雄:サイバーエージェントグループ内の数多くのエンジニアとコミュニケーションできることです。グループ間の情報共有やコミュニケーションに敷居がなく,何かを知りたいときにすぐに聞けるので助かっています。

エンジニアが働きやすい環境を整えるということに,すごく気を配っている点もありがたいですね。オフィスのレイアウトも工夫されていますし,机やいすも集中して作業できるものが選ばれています。こういったところは,サイバーエージェントがエンジニアの会社なんだなと感じる部分です。

――サイバーエージェントグループでは,広告配信事業を展開している事業会社のエンジニアを集約してシステムを強化する方向を打ち出しています。その中で,インフラ面では今後どのような展開を予定しているのでしょうか。

鷹雄:2014年1月に新たな組織として「Coresystem Infrastructure Association」を立ち上げました。この組織は各グループ会社のすべてのインフラを統合し,ビッグデータ処理を支える基盤を構築していきます。また各社でノウハウを共有したり,データセンターの集約による効率化,そして新技術の研究なども目的としています。

現在アドテク本部写真2では,データサイエンティストチームが日々改善施策を考案しており,その内容を配信システムチームがシステムに適用することで,広告主側とメディア側の双方で大きな効果を生み出しています。このようにビジネスが拡大していく中で,Coresystem Infrastructure Associationはより高いレベルの要求に応えられるように,広告配信のためのインフラを強化していきます。

写真2 アドテク本部のオフィス風景

オフィス全体 ダーツ

会議室C ビタミンバー

レイアウトやいす,机など,さまざまな点にこだわって作られたサイバーエージェントアドテク本部のオフィス

著者プロフィール

川添貴生(かわぞえたかお)

株式会社インサイトイメージ代表取締役。企業サイトの構築及び運用支援のほか、エンタープライズ領域を中心に執筆活動を展開している。

メール:mail@insightimage.jp