はじめてのWebアプリケーション

第2部 Webアプリケーションの歩み
第2回 プロトコルとWebサーバの誕生

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前回は,Webサイトへのアクセスを可能にする最も基本的なシステムである,インターネットやドメイン名について説明しました。今回は,インターネットによる通信を可能にするプロトコルとサーバについて説明していきます。

インターネットで用いられるプロトコル

ネットワーク上で情報を送受信するためには,通信をするマシン同士で共通した解釈が可能なプロトコル(Protocol)が必要です。Protocolのもともとの意味は条約,協定などを指し,互いに共通した認識を持つための取り決めということです。

Webアプリケーションで主に扱われるのは,HTTP(Hypertext Transfer Protocol)です。URLの先頭にhttp://~と書かれているのは,そのあとのURLで示したデータをHTTPによる通信で参照しますという意味なのです。

今でこそ,最も普及したプロトコルとなったHTTPですが,インターネットの開始当初から存在していたわけではありません。それまでにどんなプロトコルが用いられてきたのか,RFCにより規定されたものを表1にリストアップしてみます。

なお,この表で示したRFCと策定年は,最もバージョンが早いものであり,新しいRFCで改定されている場合があります。

表1 RFCで規定された主なプロトコル(最も早いバージョンのもの)

名称用途策定年RFC
Telnet端末操作1972RFC318
FTP(File Transfer Protocol)ファイル送受信1973RFC438
TCP(Transmission Control Program)伝送制御1974RFC675
SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)メール転送1981RFC788
POP(Post Office Protocol)メール受信1984RFC918
NNTP(Network News Transfer Protocol)ニュース転送1986RFC977
IMAP2(Interactive Mail Access Protocol)メール受信1988RFC1064
MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)メールによるデータ転送1992RFC1341
Gopher文書検索・取得1993RFC1436
IRC(Internet Relay Chat)チャット1993RFC1459
IMAP4メール受信1994RFC1730
POP3メール受信1996RFC1939
HTTP(Hypertext Transfer Protocol)1.0ハイパーテキスト転送1996RFC1945
HTTP1.1ハイパーテキスト転送1997RFC2068
S-HTTP(Secure HyperText Transfer Protocol)暗号化したHTTP1999RFC2660

この中で,あなたがご存知のものはいくつありましたか? NNTPGopherを懐かしいと思えるのであれば,かなりインターネット歴が長いユーザでしょう。これらは,それぞれネットニュースドキュメント検索のためのプロトコルです。もしかしたらネットニュースという単語すら知らないユーザのほうが今は多いのかもしれません。SMTP,POP,IMAP,MIMEは現在もメール送受信の際に使われているプロトコルです。

FTPはWebページをアップロードする際に用いられることが多いプロトコルですが,最近はブログやSNSへの投稿という形で自分のWebサイトを構築することが多くなり,HTMLを自分で作成するユーザはもはやほとんどいないのかもしれません。

Webサーバ/ブラウザの開発と発展

HTTP1.0がRFCで策定されたのは1996年ですが,欧州原子核研究機構(CERN)のTim Berners-Lee(ティム・バーナーズ・リー)氏により最初にプロトコルが開発されたのは1989年でした(システム提案時の資料 Information Management: A Proposal)。同氏は,HTTPが実際に動作するシステムとして,1990年にCERN httpdというWebサーバを,1991年にWorldWideWebというWebブラウザ兼HTMLエディタを開発・公開しました。このとき,Webはまだ文章(主に学術論文)にリンクを付け加えた程度の機能しか有していませんでした。

それに画像表示の機能を付け加えたのが,1993年にリリースされたNCSA MosaicというWebブラウザです。NCSAとは米国立スーパーコンピュータ応用研究所のことです。同年にNCSAはWebサーバNCSA httpdも開発しました。これにはCGI(Common Gateway Interface)やSSI(Server Side Include)という機能が実装されて,プログラムによるWebページの生成が可能になります。これらの登場と,インターネットの商用利用の解禁(1990年)という動きもあって,Webは一気にユーザー数を増大させていきます。

そしてNCSA Mosaicは,後に一時代を築くWebブラウザNetscape Navigatorへ,NCSA httpdは,最も有名なWebサーバApacheへと発展していくのです。

参考Webサイト

著者プロフィール

沖林正紀(おきばやしまさのり)

SE/プログラマを経て,WebアプリケーションやXMLなどについて雑誌記事や書籍の執筆活動を始める。大手メーカで製品資料の作成や,セミナーの講師を担当したこともある。現在は,取材記事や製品レビューなどに執筆活動の幅を広げる一方,プログラミング教材の開発も手がけている。

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