マイコンだけがあってもネギは振れない
前回は,ネギ振りを自動化するためのマイコン・プログラミングの概要を説明しました。しかし,実際にネギを振らせるには,1個のICでしかないマイコンだけではどうしようもなく,体(電磁石)や電源をつながなければなりません。そのためには,プログラミングとはまた違った,電気に関する知識が若干必要となります。今回はそれを説明します。
マイクロはちゅねに最低限要る回路
マイクロはちゅねの最も素朴な回路構成を図1と以下のPDFに示します。回路図に抵抗感があるかもしれませんが,マイクロはちゅねのような小電流・低速な回路では細部に神経質になる必要はありません。大まかな意味を把握すれば大丈夫です。
回路は大きく分けて,コイル駆動部,マイコン部,電源部の3つのブロックからなります。その名前のとおり,マイコン部はマイコンのICそのもの,コイル駆動部は電磁石とマイコンをつなぐためのインターフェース回路,電源部はマイコンや電磁石への電力を供給する回路です。どのようなマイコン工作でも,これらの回路は必ず必要になってきます。
部品の意味が分かると面白いコイル駆動部
今回の鍵となるコイル駆動部から説明します。複雑に見えますが,この回路ができてくる過程を理解すれば,とくに難しいものではありません。
マイコンで制御したくなるパーツとしては,モーター,リレー(はちゅねの電磁石もこれと同類),LED,電球など各種ありますが,土台となる回路は共通です。図2のとおり,駆動する部品の一方を電源の+か-につなぎ,他方をマイコンのI/Oポートにつなげば部品のON/OFFができます。要するにマイコンがスイッチということです。
ここで注意する必要があるのは,部品を電源の+につないだ場合はI/Oポートの電圧がLow(プログラムでは0を書く)でON,-につないだ場合はHighでONになることです。電流の向きも逆になります。どちらでも良さそうなものですが,両者の最大電流が異なる場合などに使い分けの必要が生じます。
さて,図2を土台として図1の回路に至る過程を,図3に示します。
図3-1は図2の回路図です。この回路では,コイルの巻き数にもよりますが数十mA~数Aの電流が流れます。たとえば電源電圧が5Vでコイルの直流抵抗が50Ωなら,100mA流れます。ところが,マイコンのI/Oポートに流せる最大電流は20mA~40mA程度なので(必ずデータシートの絶対最大定格の欄を確認してください),このままではマイコンが壊れる原因になります。このため,図3-2のようにFET(電界効果トランジスタ)という電子的なスイッチを外付けします。品種によりますが,小型のFETでも数百mA~数十Aの電流を扱えます。
さらに,電磁石,モータ,リレーなどのコイルを駆動するときには,図3-3のようにダイオードを入れます。ダイオードとは,図の矢印の方向のみに電流を通す部品です。これをつけないと,コイルがOFFした瞬間に数十V~数百Vといった電圧がFETへかかり,壊れる原因となります(図3-2)。この電圧は電流の大きさとON→OFFにかかる時間から決まるので,FETのゲートに抵抗器を入れて電流変化をゆっくりにする場合もあります(ゲート抵抗には他の意味もあるが,ここでは省略)。また,コイルの直流抵抗が小さいときは,抵抗器を入れるなどの方法で電流を制限し,コイルが焼けたりしないよう保護します。これはLEDを駆動する時なども同じです。
マイクロはちゅねのように扱う電流が高々100mA程度で小さいときは,以上のような保護回路を忘れても,わりあい平気で動いてしまいます。しかし,ロボットやラジコンのモータ制御などをするつもりなら,数Aや数十Aの電流を扱うことにもなるので,丁寧に回路を設計しなければなりません。そうしないと,すぐに回路が焼けてしまったりします。

