がんばれ情シス!―激動の時代をリードするために―

第3回 情報発信と社内メディア

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変革への障害となるコミュニケーション不全

前回は、従来の情報システムの役割が、機能体としてのコミュニケーション、つまり組織分業に伴うフォーマルな情報流通の改善であったのに対して、今はそれ以前に共同体としてのコミュニケーションを何とかしなければならない状態であるということに触れました。ではどうやってコミュニケーションを改善すればよいのでしょうか。今回はそれを考えてみます。

ITへの期待が高まる一方で、プロジェクトの成功率は、とある調査では3割弱と相変わらず非常に低いのが実態です。ではどうしてIT化がうまくいかないのか。一見するとプロジェクト管理の手法や要件定義の失敗などが目につきます。ですが、ではなぜそのようになったのかということについてなぜを5回の気持ち注1で追求していくと、そのほとんどがコミュニケーションの問題に到達します。

注1)
トヨタ生産方式では問題の真因を見いだすために、「なぜ」を5回繰り返して自問自答しながら掘り下げることを求めています。

板挟みにされる情シス

プロジェクトの規模が小さければコミュニケーションを必要とするステークホルダの絶対数も相対的に少なくなるため、比較的コミュニケーションは円滑に進みます。逆に規模が大きくなるほど、つまり関与する人が増えればそれだけコミュニケーションをしなければならないことが増大します。ところが、このコミュニケーションを暗に明に拒否するケースが多々見受けられます。

一般には、プロジェクト推進の責任を担うものとして、その調整を引き受けることになるのが情報システム部門です。ところが、ごく一部を除いては情シスには部門横断で強権発動できるような権限を与えられていないことが大半です。下手すると、コストセンターとしてほかの部門よりも弱い立場に置かれてしまっていることすらあります。かくして各部門の要請を聞いて調整を繰り返しながら疲弊してしまっていることが多かったりします。

情報発信の重要性

調整というのは想像以上にたいへんなことで、情シスはこの非常に苦しくて難しいことを行っているのですが、ここでもう一つのコミュニケーション不全が発生しています。情シスの仕事がどういうものなのかが、ほかの部署に伝わっていなかったりするのです。ですから、どれだけ調整でたいへんな思いをしているのかが、ほかの部署からはわからないのです。他部門にはコンピュータとかネットワークなんていうのは自分たちには関係ないと思っている人もまだまだ多いので、「何かよくわからんことをやっている部署」という風にすら見られてしまうこともあります。

情シスは、ともすれば各部門の話を聞く側に回りがちですが、自分たちの側から積極的に情報発信しなければならない時期に来ているのではないかと感じます。

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まずは日常の様子を伝えるところから

では、どういう情報を発信すればよいのでしょうか。難しく考える必要はないでしょう。むしろここはシンプルイズベストです。3行ブログのような感じで、今日行ったイレギュラー対応であるとかプロジェクトの進捗などを伝えるところからでも十分だと思います。ここで重要なのは「継続」です。この手の取り組みは思いつきから数ヵ月も経つと廃れてしまうことが多いのですが、何としてもまず1年は続けることが重要です。そのためにも大げさに始めるのではなく、あくまでも小さく産んで地道に育てる気持ちが大切です。

最初はなかなか誰も関心を示してくれない状態が続きます。ところが継続していくと少しずつ変化が生じます。あって当然のものとして認知され始めるのです。それは「社内メディア化している」と言ってもよいでしょう。情報発信がされて当然になってきます。ここまで来ると、この自前の社内メディアを使って共同体のコミュニケーションを推進していくための情報発信をしていくことが可能になります。そこで重宝するのが情シスの持つ「取材力」です。

では情シスの持つ取材力とはどういうものなのか。それを次回は考えてみたいと思います。

著者プロフィール

羽生章洋(はぶあきひろ)

(株)スターロジック 代表取締役。現在は受託開発や業務分析の分野で活躍中。執筆・講演など多方面の活動も精力的にこなしている。なお,本誌では創刊号からVol.34まで,6年間毎号欠かさず執筆したという記録保持者。

URLhttp://blog.livedoor.jp/habuakihiro/

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