[The Interview]エンジニア向けQAサイト「teratail」とは

第3回teratail ユーザ座談会を開催!

自社メディアの運営や人材関連事業、そしてシステムエンジニアリングなどのビジネスを展開しているレバレジーズでは、IT業界のエンジニア向けQ&Aサービスとしてteratail⁠テラテイル)を運営しています。オープンしたばかりのサービスですが、Markdown記法で書き込めるほか、シンタックスハイライトにも対応した使い勝手の良さなどから、日々多くの質問や回答が投稿されています。今回は、このteratailで実際に活躍する3人のユーザに集まっていただき、レバレジーズのエンジニアやプロデューサーと座談会を開催しました。さまざまな話題で盛り上がった座談会の模様をお届けします。

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User Profile

katoy

https://teratail.com/users/katoy

Ruby on Railsを使ったWebサイトの構築に従事するエンジニア。現在はRubyをメインに使用している。Java開発の経験を持つほか、関数型言語Scalaにも取り組む。

h_sakurai

https://teratail.com/users/h_sakurai

もともとソーシャルゲーム開発者だったが、一念発起して会社を退職し、現在は新たなプログラミング言語の開発に取り組んでいる。

yohshiy

https://teratail.com/users/yohshiy

科学計算技術機器メーカー勤務。おもにデスクトップアプリケーションの開発に従事するほか、個人としてRedmineのプラグインも開発。

海外Q&Aサイトにはないteratailの価値

編集部:さっそくですが、みなさんは何をきっかけにteratailを使うようになったのでしょうか。

katoy:teratailがオープンしたことはニュースを見て知っていたのですが、そのときは余裕がなくてスルーしていたんです。そのあと、お盆休みの間にちょっとアクセスし、質問に回答したことがきっかけです。

h_sakurai:私はほかのWebサイトでteratailはあまり質問のレベルが高くないという書き込みを見て、なぜか「じゃあ俺が難しい質問をしてやるか」と思ったんです(笑⁠⁠。そこから、質問したり回答したりと、いろいろ書き込むようになりました。

yohshiy:僕はkatoyさんと同じで、ニュースでteratailのことを知りました。プログラマ向けのQ&AサイトとしてはStack Overflowが有名ですが、やっぱり英語なのでしんどいですよね。日本でも同じようなサービスができないかと思っていたので、teratailを知ったときはうれしかったです。現状はWeb系プログラミングの質問が多いようですが、できればほかの分野の人にも使ってほしいところです。

エンジニア向けQ&Aサイト「teratail」
エンジニア向け

h_sakurai:プログラミング関係のことを調べていると、だいたいStack Overflowに行き着きますよね。

yohshiy:でも、英語で質問するのは難しい。だから、その日本語版を求めていたんです。

テラテイル:大学生だったころにStack Overflowで質問しようとするとき、この現象は英語でどう説明するのかと悩むことがありました。プログラマ特有の言い回しもあって日本人にはハードルが高い。teratailを立ち上げたときは、そういったところも実は意識していたんです。

yohshiy:Stack Overflowでは質問をほかの人が編集できるのですが、自分が投稿した質問を一度しっかりした英語に修正してもらったことがあり、やっぱり英語は大変だなと思っていたので、日本語でやりとりできるのは助かりますね。

3人のユーザが語った“質問に回答する理由”

編集部:teratailにはさまざまな質問が投稿されていますが、それについてどのような印象を持たれていますか。

katoy:調べればわかるような質問が多いと感じています。これから質問のレベルが上がっていけばいいなとは思いますが、一方で初心者の人たちを置き去りにすべきではないでしょう。こういったサービスで質問するような、壁を1つ越えた人たちをもっと育てることができれば、日本のソフトウェア産業のレベルアップにつながると考えています。

テラテイル:teratailはまさにその気持ちで取り組んでいるんです。よくマネタイズについて聞かれるのですが、現状ではあまりそこは意識していなくて、日本のエンジニアの技術力が高まり、それによって業界が発展して自分たちのメリットにつながればいいなと考えています。

編集部:本日お越しいただいたみなさんは質問するより回答をされることが多いように思いますが、モチベーションはどこから来るのでしょうか。

katoy:自分の知識が少しでもほかの人の役に立てば、という気持ちですね。人にペイしていれば、いつか自分に返ってくるかもしれないと。

h_sakurai:僕は若い人を育てる気持ちで質問に回答しています。一方で、無料で何でも教わるのは虫が良過ぎるんじゃないかという思いもあって、ちょっと悩むところもあります。とはいえ回答してコメントで感謝されるとうれしいので、その辺が自分のモチベーションにつながっています。

yohshiy:回答していれば、いつか自分のメリットにつながるのではという思いがあります。それと、誰かにわからないことがあり、それを自分がわかっているのであれば教えてあげたいという気持ちです。

h_sakurai氏、katoy氏、編集部村下(左から)
h_sakurai氏、katoy氏、編集部村下(左から)

ユーザの本音が見えた!? teratailにこんな機能がほしい!

テラテイル:teratailにはユーザを評価するスコアリングのしくみを盛り込んでいますが、スコアはモチベーションに関わりますか。

h_sakurai:最初はおもしろいなと思ってチェックしていましたが、最近はあまり気にならなくなりました。

katoy:変動し過ぎてよくわからないというのもありますね。さっきまで90だったのに、数時間後に見ると80あまりに下がっているとか。

テラテイル:スコアリングの意図は、有益な回答をしているエンジニアがわかるようにしたいというものですが、今はその指標をどのような基準で導き出せばよいか試行錯誤している段階です。ロジックの変更も多く、それがスコアにも影響するので、落ち着くまでもう少しお待ちください。

yohshiy:ベストアンサーに選ばれてもスコアが上がらない気がしますが、あまり重視されていないのでしょうか。

テラテイル:ベストアンサーは日次で集計した結果を反映する形のため、リアルタイムではなく時間差で反映される仕様なんです。なので、次の日に見ていただくとスコアが変わると思います。ちなみに、スコアリングのロジックはあえて公開していないのですが、ある程度ロジックが見えたほうがよいでしょうか。

yohshiy:個人的にはロジックがわからなくてもかまわないですね。teratailを使っていたらいつの間にかスコアが上がっていたというのも楽しいので。ただ、頻繁な変動には戸惑うので、早くロジックを固めてもらえるとうれしいです。

h_sakurai:「次にこれをやるとスコアが上がる」みたいな目標設定があるといいですね。ちょっと頑張ってみようかという気持ちになりますし、新しい楽しさにつながる気がします。

テラテイル:teratailに対して改善してほしいところはありますか。

yohshiy:細かいことを言えばいろいろありますが、ぜひほしいのは質問や回答、コメントの編集や削除の機能です。

katoy:質問や回答をまとめて記事全体を構成する編集機能はぜひほしいですね。たとえば質問をして、もらった回答の1つをベストアンサーにしたけれど、あとからもっといい回答が来る場面も考えられるでしょう。それと、まとめ回答のようなものが作れるといいなと思っています。回答のどれかをベストアンサーにすると、あとから来た人はそれしか読まないことが多いと思いますが、別の回答にいいことが書かれていることも多いですよね。そこでいくつかの回答をまとめておけば、より有益な情報源にできます。質問も同じで、似た質問をまとめられれば便利でしょう。

テラテイル:まとめることで、質問や回答をブラッシュアップしていくイメージですね。

katoy:そうそう。編集機能が入ることで情報の価値が高まったり探しやすくなったりするわけです。それが実現すればteratailの実用性はもっと高まると思います。

teratailが目指すのはIT業界の“寺子屋”

h_sakurai:回答したあとで、質問した人とコミュニケーションしたいなとも思います。問題がちゃんと解決したのか気になることがあるので。

yohshiy:そうですね。質問に回答したあと、結局どうなったのか知りたいことはあります。

katoy:問題を解決したら実際にどのようなコードになったか投稿できればいいのかもしれませんね。回答者は問題が解決したとわかりますし、コードレビューもできて便利でしょう。

テラテイル:それはおもしろいですね。Q&Aがあって、改善後のコードまでシェアできる。そこからコミュニケーションがつながっていくという形ですよね。

katoy:そうしてサイクルが回るといいですね。そのサイクルの中で学んだ人が別の質問に回答するようになり、コミュニケーションが広まっていく。オンラインで集まるIT業界版寺子屋のイメージですね。

テラテイル:僕たちが考えていたのも、まさにそこです。この活動は、Q&Aサイトをやりたいということではなく、katoyさんに言っていただいた寺子屋のように、困ったときに来れば誰かがいて教えてくれる存在なんです。まだサービスは始まったばかりですが、teratailで目指しているのはそういったサービスです。

編集部:teratailにアクセスしているエンジニアは、どのような人たちだとイメージされていますか。

katoy:回答している人は、スキルが高い人が多いように感じます。

yohshiy:自分が回答した質問でも、ほかの人の回答を見て勉強になることがありますね。

テラテイル:ちなみに、印象に残っている質問や回答はありますか。

yohshiy:かなり前の質問ですが、エディタに何を使っているかという質問があって、Q&Aだけじゃなく、そういった情報交換にも使えるのはいいなと思ったことを覚えています。

katoy:それは私も覚えています。エディタの質問は、ほかだと絶対に炎上しますよね。みんな自分が使っているのが一番と思っているから。でもteratailでは炎上しない。そこはちょっと不思議だなと思いながら見ていました。

h_sakurai:テンプレートエンジンのSmartyか何かの質問に対して、2時間くらいかけて一所懸命回答を書いたら、すごく感謝されたことが一番印象に残っています。あのときは本当にうれしかったですね。

テラテイル:なぜ2時間もかかったんですか。

h_sakurai:回答を書いていたら、その途中でこれも書きたい、あれも書きたいとなってしまって。なぜタダでこんなに書いているんだとは思いましたが(笑⁠⁠。

テラテイル:回答するときは丁寧に答えようと思うものなんですね。

yohshiy:たとえば調べればすぐにわかるような質問であっても、ただマニュアルのような内容を書くのではなく、自分の経験も踏まえながら少し詳しく書いて回答しようといった意識はあります。

h_sakurai:答えをポンと出してしまうとそれで終わってしまうので、自力で調べるコツのようなものを書くこともあります。

katoy:おなかが空いている人に魚をあげるのがいいのか、それとも釣りのしかたを教えてあげるのがいいのかという話ですよね。そういう意味では、まず魚をあげて、それに加えて釣り方を教えてあげるといいんじゃないかなと思います。こういうキーワードで検索するといいよとか、マニュアルはこうやって読むんだよみたいな。

テラテイル:すごいですね。本当に教育者だ。今日はいろいろな意見をいただき、本当に参考になりました。今日のお話も踏まえ、これからもteratailをよりよいサービスにするために改善を続けていきますので、ぜひ今後もご協力をお願いします。本日はありがとうございました!

teratail開発チーム 本橋氏、藤本氏、實重氏(左から)
teratail開発チーム 本橋氏、藤本氏、實重氏(左から)
teratail(テラテイル)
http://teratail.com
取材協力/レバレジーズ株式会社
http://leverages.jp

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