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第53回 確率の数学 期待値・分散・標準偏差 [後編]

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前回は期待値・分散・標準偏差の定義と,具体的な計算方法を確認しました。今回はそのおさらいとして,数学的に各値を求めたあと,シミュレーションを行い,2つの場合の値を比較する問題に取り組みましょう。手で計算した結果とシミュレーションの結果は一致するでしょうか。それとも,一致は難しいでしょうか。

問題 5枚のコインを投げあげて,何枚表が出るだろうか。表の出る枚数を確率変数Xとし,確率分布,期待値,分散,標準偏差をそれぞれ求めましょう。

前回と同様,数学的に各値を求め,その後にシミュレーションプログラムを作成し,統計的に値を求めてください。

解説

問題 5枚のコインを投げあげて,何枚表が出るだろうか。表の出る枚数を確率変数Xとし,確率分布,期待値,分散,標準偏差をそれぞれ求めましょう。

数学的に各値を求める

先ずは数学的に計算してみましょう。

コインを1枚投げあげて表の出る確率は半分です。2枚のコインを投げあげる場合,コインA,Bとコインを区別して考えます。この2枚のコインが表になるか,裏になるかの場合の数は,2×2=22です。どちらも表にならない場合の数はたった1つです。ですから,その確率はとなります。

表が1枚だけ出る場合の数は,Aが表になる場合とBが表になる場合の2つ。これをもう少しきちんと数式で表すために,次のように考えます。「Aが表,Bが裏になる確率」「Aが裏,Bが表になる確率」を合計したものが,1枚だけが表になる確率です。言い換えると,「2枚のコインのうち1枚だけが表である確率を,1枚だけ表である組合せの数ほど合計したもの」が,求める確率の値です※1)。

具体的な計算式は次の通りです。

2枚とも表が出る場合はたった1つ。以上の計算から表52.1のような確率分布が得られました。

表52.1 2枚のコインを投げあげた場合の確率分布

この調子で考えると,n枚のコインを投げあげ,m枚のコインが表になる場合の確率は次のようになるでしょう。

一般式が得られましたので,コインが5枚の場合の確率分布表52.2を作成してみます。

表52.2 5枚のコインを投げあげた場合の確率分布

確率分布が得られましたので,期待値が計算できます。

期待値は2.5となりました。この場合は平均値といった方がふさわしい場合ですね。5枚のコインを振れば,半分は表になるだろう,という予想が立ちます。

分散と標準偏差はこの期待値(平均値)を用いて次のように計算できます。

以上で確率分布,期待値,分散,標準偏差を全て得ることが出来ました。

※1)
反復試行の場合の確率の考え方です。

著者プロフィール

平田敦(ひらたあつし)

地方都市の公立工業高等学校教諭。趣味はプログラミングと日本の端っこ踏破旅行。2010年のLotYはRuby。結城浩氏のような仕事をしたいと妄想する30代後半♂。

コメント

  • 試験の結果はいかがでしたか?

    問題の紹介、ありがとうございます。
    試験の結果はいかがでしたでしょうか。

    試験に出されると、簡単な問題でも深く考えすぎてしまったりして、変な落とし穴にはまったりしますよね。

    セツカさんはこの問題、どう解かれましたか?
    セツカさんの解をネタに、お話を広げられると楽しそうですね。

    よろしければ、どうぞ。

    Commented : #2  平田敦 (2009/05/23, 20:06)

  • 確率とその応用 試験問題

    1.黒と白のサイコロの目が出る確率
    2.確率変数の確率分布と平均を求め!

    Commented : #1  セツカ (2009/05/23, 03:21)

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