組込み教育委員会

4-1 組込み技術者試験制度(ETEC) 第4回

ETECはあなたのためにあるのです!

今回はETEC(JASA組込みソフトウェア技術者試験)は誰のためにあるのか、ということについて触れたと思います。

組込みソフトウェア技術者試験ができた背景としては、IT系技術者には多くの試験が存在しているのに、組込み技術者のための試験がほとんどなかったということに尽きます。また組込み系技術者は幅広い知識とハードウェア技術についても精通していなければなりません。業界としては日本のものづくり産業に欠かせない組込み技術の整理と技術者のスキル特性を測るべく、ETSS(前ページ)が2005年に制定されました。そのETSSをベースとして(社)組込みシステム技術協会(JASA)が2006年11月よりスタートさせた「組込みソフトウェア技術者試験クラス2」⁠クラス2試験と呼びます)は、組込みシステム業界初の、また世界初の組込みソフトウェア技術者向け試験です。ETECは組込み技術者試験制度(=Embedded Technology Engineer Certification)の略称でイーテックと呼びます。

クラス2試験は、組込みソフトウェアエンジニアのエントリレベルが最低限有している知識を対象としていますが、スコア方式(点数)ですから、未経験者から開発経験10年選手くらいまでも対象となります。また、どの年代の組込み技術者でも「最低限持っていてほしい知識」ですので、技術知識の確認、コミュニケーション知識のベンチマークとして最適です。特に組込みアプリケーションのソフトウェア開発者にはぜひ、ハードウェアを意識した組込みソフトウェア技術を習得していただく意味でトライされることをお勧めします。

企業での採用状況

大手製品メーカーや組込みソリューションベンダの受験が極めて目立ちますが、図1に示すように企業・団体と個人の受験比率では圧倒的に企業の受験が多いことから、現時点では人材を多く抱えている企業の人材育成・教育支援のしくみとして、組込みソフトウェア技術者試験を活用していることが伺えます。

図1 受験者の比率:企業受験と個人受験
図1 受験者の比率:企業受験と個人受験

しかし、携帯アプリケーションやカーナビゲーション開発、リアルタイムOS周辺開発など、組込みソフトウェア技術者は忙しい立場にあり、⁠勉強をしている暇などない!」と考えている人も多いのではないでしょうか。JASAとしては技術者に自己研鑽と向上心を持って学習するしくみとして企業内での受験制度を整備してほしいと思っています。

各企業はどのように試験を活用しているか事例を図2~4で紹介します。それぞれ企業内での採用の形態はさまざまですが、組込みソフトウェア技術者の評価に客観的資料として活用している事例といえます。

図2 ⁠事例1】情報家電メーカーの場合
図2 【事例1】情報家電メーカーの場合
図3 ⁠事例2】メーカー系組込みソフト開発会社の場合
図3 【事例2】メーカー系組込みソフト開発会社の場合
図4 ⁠事例3】大手電気会社とグループ企業の場合
図4 【事例3】大手電気会社とグループ企業の場合

導入のメリット

企業と個人でのメリットは、次のようなものが挙げられます。

「JASA組込みソフトウェア技術者試験」は誰のためにあるのか? という問いには、⁠すべては信頼のため」と言えるでしょう。

模擬問題

サンプルで模擬問題を紹介します。下記の問題は、スキルチェックミニテストで公開されているものの1つです。同サイトでは、自動正誤チェックのほか、簡単な解説もついていますので、ぜひチャレンジしてください。

Q:主メモリを共有するマルチMPUシステムにおいて、主メモリ上の共有メモリの排他制御に用いられるものはどれか。

  • [A]TS(TEST&SET)命令
  • [B]イベントフラグ
  • [C]セマフォ
  • [D]割込み禁止

※答えは[A]です。

トライアル受験プログラム

「JASA組込みソフトウェア技術者試験クラス2」の採用を検討している企業で、試験評価を希望の場合、トライアル受験をお勧めします。トライアル受験プログラムを希望される方や来期新人研修や技術者教育予算策定のために情報が必要な方もお気軽にETEC運営事務局までお問合せください。企業での採用方法、試験の使い方、受験結果分析支援、受験料特別割引などもWebサイトで公開しています。

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