体験!マイコンボードで組込みLinux

第17回 Fedora Coreの導入[その1]

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今回はrpmパッケージベースのFedora CoreをT-SH7706LSRボードの導入に挑戦してみます。

Fedora Coreパッケージについて

SHアーキテクチャの現状について

以前まではSHプロセッサ向けの組込みLinuxサポートは,SH搭載組込みLinuxボードの普及や日立製作所等による非公式サポートもあって,その導入も比較的簡単にできていました。しかし昨今はSHプロセッサそのもののシェア低下や,昨今の日立製作所等の体力低下にともなう非公式サポートの低化により,SHアーキテクチャLinuxサポートサイトの消滅傾向に拍車がかかっています。

ルネサスのLinux向けプロセッサは,最初はSH3が主力でしたが,やがてSH4プロセッサとなり,現在ではSH4Aプロセッサに移行してきました。そのためルネサスでは利益率の大きいSH4Aプロセッサの拡販に力を入れており,SH3プロセッサは過去のものにしたいようです。

ただ,ルネサスの思惑とは別に,組み込みボードを使う現場では,さほど過剰な処理能力を必要としておらず,Linuxの資産のみ活用したいというケースもまだまだ根強いようです。その証拠に,最近になってT-SH7706LSRボードの販売量が増加してきました。

しかし,過去にはSH3プロセッサを対象としたディストリビューションのサイトがいくつか存在しましたが,現在では消滅の危機にさらされています。

SH3プロセッサ向けFedora Coreパッケージ

2012年4月現在ではかろうじてSH3プロセッサ向けのFedora Coreが以下で一般公開されています。

このサイトでもFedora Core8以降はSH3プロセッサのサポートは打ち切っていますので,Fedora Core7までとなっています。今回はFedora Core7を導入するので,下記フォルダのパッケージを導入します。

SH3プロセッサ向けのFedora Coreパッケージは,PC Linuxをベースとしたものなので,組込みボードで必要のないパッケージがかなり含まれています。ただし,たとえ組み込みボードで必要のないパッケージであっても,お互いの依存関係が複雑になっており,またrpmコマンドでは依存関係に応じて自動的にパッケージを導入する機能がないので,とりあえずは全部のパッケージを確保する必要があります。

パッケージの精選は,とりあえずディストリビューションまるごとの導入が成功してから行います。

T-SH7706LSR配布パッケージ

T-SH7706LSR配布パッケージについて

SH3プロセッサ向けのFedora Coreパッケージは,T-SH7706LSR向けではないので,そのまま導入をしても正常に起動をしません。T-SH7706LSRに依存する部分で起動に最低限必要な部分は変更をしなければなりません。その変更のベースとなるものを,T-SH7706LSR配布パッケージからFedora Coreへ持ってきます。

いきなりFedora Coreを導入する前に,念のためにT-SH7706LSR配布パッケージを導入し,ひととおりの動作確認をしておく必要があります。

T-SH7706LSR配布パッケージの導入

すでにT-SH7706LSR配布パッケージでT-SH7706LSRで運用している場合は作業は不要ですが,そうでない場合は,SDカードに対してT-SH7706LSR配布パッケージの導入します。このパッケージ自体はほとんど容量はありませんが,Fedora Coreパッケージ導入を視野に入れて8Gバイト以上のメディアにします。

購入時点ではLinuxパーティションがないので,第1パーティションは起動用のFATパーティションを約32Mバイト程度,第2パーティションはLinuxパーティションで,残り容量全部を下記の構成例のように割り当てます。

コマンド (m でヘルプ): p

ディスク /dev/sdb: 7948 MB, 7948206080 バイト
ヘッド 255, セクタ 63, シリンダ 966, 合計 15523840 セクタ
Units = セクタ数 of 1 * 512 = 512 バイト
セクタサイズ (論理 / 物理): 512 バイト / 512 バイト
I/O サイズ (最小 / 推奨): 512 バイト / 512 バイト
ディスク識別子: 0x00000000

デバイス ブート      始点        終点     ブロック   Id  システム
/dev/sdb1              63       80324       40131    b  W95 FAT32
/dev/sdb2           80325    15518789     7719232+  83  Linux

パーティションを設定したら,以下のようにファイルシステムのフォーマットをします。

# mkfs -t vfat [第1パーティション]
# mkfs -t ext3 [第2パーティション]

T-SH7706LSRの配布サイトでファイルを入手し,第1パーティションに以下のファイルをコピーします。

  • boot.exe
  • initrd.img
  • vmlinux

第2パーティションには rootfs.tar.gz の内容をそのまま展開をします。SDカードへのインストールをしたら,実際のT-SH7706LSRでLinuxの起動を確認します。

SH3版Fedora Coreのインストール

インストール準備

PC上でファイルシステムのインストールを行います。場所は任意ですが,ここでは,rpmパッケージの置き場所を~/fc7_rpm,ファイルシステムの置き場所を~/fc7_fsとします。

あらかじめ,SH3プロセッサ向けのFedora Core7パッケージをすべて ~/fc7_rpm にダウンロードしておきます。最初にrpmパッケージ管理に必要なフォルダを以下のように作成します。

# mkdir ~/fc7_fs/var
# mkdir ~/fc7_fs/var/tmp
# mkdir ~/fc7_fs/var/lib
# mkdir ~/fc7_fs/var/lib/rpm

ファイルシステムのインストール

次にrpmパッケージ管理データベースを以下のように初期化をします。このときに注意しなければいけないことは,PC上のrpmパッケージ管理データベースを誤って初期化しないように気をつけなければなりません。

# rpm --root ~/fc7_fs --initdb

rpmパッケージ管理データベースを初期化したら,rpmパッケージのフォルダに移動して,ファイルシステムの場所に対してrpmパッケージのインストールを行います。

# cd ~/fc7_rpm
# rpm --root ~/fc7_fs -ivh --force --nodeps --ignorearch --noscripts *.rpm

このときにPC上のアカウントとFedora Core 7のアカウントが異なることによる警告メッセージが出ますが,これは無視をしていいです。これらのファイル容量は4Gバイト以上あるので,それなりの時間がかかります。

著者プロフィール

みついわゆきお

1986年日立製作所入所,その3年後に自社ワークステーションでの開発業務をきっかけにBSDを経てLinux利用を始める。

1991年日立を退社し,その後,ボランティアでLinux関連ツールの整備と開発しながらWindows否定運動およびLinux普及運動を開始し,Linuxディストリビューション草創期にはPlamoLinuxのメンテナンスにもかかわる。

2001年ごろより非営利ベースでボードコンピュータの開発を開始し,やがて,無償によりハードとソフトを開発したH8マイコンボードの販売を秋月電子にて開始した。

現在,ボードコンピュータ用基本ソフトMES2.5や,SHプロセッサ向けLinuxパッチおよびTOPPERS/JSPパッチを無償で一般に提供しながら,ティーエーシーやエムイーシステムより原価率100%を目標(ただし,販売店の営業・販売費用や開発・製造の際の差損を除く)としたSuperHボードコンピュータを販売中。

また,現在でも頑固にMS社否定及びWindows撲滅運動に邁進中。

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